「1銘柄に集中投資」のメリット

――「10万円から始める!」のタイトル通り、10万円で1銘柄に集中投資すべきですか。

 株式投資をするには10万円では銘柄の選択肢が狭いので、できれば30万円くらいあったほうがいいですが、どちらにしろ1銘柄に集中投資します。例えば30万円の資金を10万円ずつ3銘柄に投資する場合、これもおもしろそう、こちらも良さそうとなって、どうしても銘柄選びに甘さが出てしまう。1銘柄しか選べないという縛りがあれば本気で銘柄を探すはずです。1年以内に株価3倍以上になる「小型株」を見つけて、1銘柄に集中投資することが基本戦略です。

 また、1銘柄に集中することによって銘柄の癖(値動きの傾向)が分かるようになるはずです。たくさんの銘柄を保有すると癖を把握することが難しくなりますが、1銘柄をずっと見ていれば、この状況ならこう動く可能性が高いということが分かってくるのです。

――最初は少額から始めたいという気持ちがある一方で、10万円の資金では、値上がりしても大して利益が出ないよな、という思いもあります。

 10万円スタートの場合、株価が10%値上がりしても利益は1万円、10%値下がりしても損失は1万円。それならアルバイトをしたほうが確実にもうかると考えるかもしれません。でも、10%増やした、損をしたという経験が大事なのです。自転車に補助輪なしで乗る練習をしているようなものだと考えるとどうでしょうか。最初は必ず転びますが、資金が小さいからケガも小さくて済む。しかも失敗した経験が糧になって、同じ失敗を繰り返さないから、歴史的なマーケットの下落がない限り、大きな資金を運用しても大損することがないのです。

 利益が出たときも気づきを得られます。そろそろ値下がりすると思って売ったところ、さらに値上がりが続いている。悔しいからその理由を探っていくうちに、自分の勘がチューニングされていくはずです。

 反対に最初から1,000万円をつぎ込んだとすると10%値下がりで100万円の損失。転んだときに致命傷を負って株式投資をやめたくなります。もったいないですよね。

――投資がうまくいったとして、資産は右肩上がりで増えますか。

 スタートが10万円でも、給料から生活費を除いた分を追加して投資額を増やしていけば、1年で元手資金を含めて100万~200万円は十分目指せる金額です。100万円になると銘柄の選択肢が広がって、資産も急角度で増やせる可能性がアップしますが、1,000万円近辺で壁にぶつかります。経験上、この壁を超えるのが難しいのですが、1,000万円を突破できれば、100万円を1,000万円に増やした感覚で1,000万円を1億円に増やせました。

――後編「1億円達成のための銘柄選びの極意」へ続く

遠藤洋(えんどう・ひろし)氏プロフィール

 6年前まで普通のサラリーマン、いまは投資家・自由人。大学卒業後、ベンチャー企業に入社するも、投資で得たばく大な資金を元手に26歳で独立。本質的な価値を見極め「1年以内に株価3倍以上になる小型株」へ集中投資するスタイルで、最大年間利回り+600%、1銘柄の最大投資益+1,200%など、1銘柄だけでも億単位のリターンを達成。その投資経験をベースに、経営者、上場企業役員、医者、弁護士、ビジネスパーソンなど、これまで1,200人以上の個人投資家を指導し「勝てる投資家」を数多く輩出中。

『10万円から始める!小型株集中投資で1億円』(ダイヤモンド社刊行)