日本株の下げが大きくなったのは、円高進行の影響と考えられる

 先週の日経平均の下げが大きくなったのは、久々に対ドルで円高が進んだことが影響したと見ています。

<ドル/円為替レートの動き:2017年末~2020年7月31日>

 1ドル104円台に入る円高は、2018年以降、5回ありました。それぞれ簡単に振り返ります。

【1】2018年3月
 世界的な株安を受けて、リスクオフの円買いが進みました。この頃は、まだ世界景気は好調でした。米国の長期金利が3%に近づいたこと、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めスタンスを強めていたことが嫌気され、世界株安になりました。実際、FRBは2018年に0.25%の利上げを4回実施しました。ただし、4月以降、世界的に株が反発したことを受けて、再び、円安が進みました。

【2】2019年1月
 2018年末にかけて世界景気が急激に悪化してきたことを嫌気して世界株安が起こりました。世界株安を嫌気して、リスクオフの円高が進みました。1月2日東京で、ドルのフラッシュ・クラッシュが起こりました。一時1ドル104円台をつけましたが、その日のうちに、108円台まで戻りました。

【3】2019年8月
 2019年2~4月は、世界的に株が反発したことを受けて、一時、リスクオンの円安が進みました。ところが、5~8月は、再び円高が進みました。2019年に入ってから、米FRBがハト派に転換、積極的に利下げを始めたことを受け、日米金利差の縮小。円高が進みました。

【4】2020年3月
 コロナ・ショックで、世界的に株が暴落すると、リスクオフの円高が進みました。ただし、4月以降、世界的に株が反発すると円安が進みました。

【5】2020年7月
 米FRBが、積極的な量的緩和を実施、ドルのゼロ金利が長期化する見通しとなったことを受け、じりじりと円高が進みました。

 足元、急激な円高が進んだのは、リスクオフの円高ではなく、日米金利差の縮小を織り込む動きであると思います。

<日米2年金利差(2年国債利回りの差)推移:2008年1月~2020年7月>

 米国でゼロ金利が長期化する見通しとなったことから、日米金利差が縮んだまま、戻りにくくなることを、改めて織り込む動きだったと思います。

 今後、ドル/円は、1ドル105円を中心にプラスマイナス5円程度の範囲で動くと考えています。

日本株の投資判断

 結論は毎回述べていることと、変わりません。日本株は割安で、長期的に買い場との判断を維持します。

 ただ、短期的には急落急騰を繰り返すと思います。時間分散しながら、割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えます。

 先週のように、日経平均が大きく下がった時は、積極的に投資していくべきと考えます。

▼著者おすすめのバックナンバー
2020年7月27日:アフター・コロナを見据えた2020年後半の日本株投資戦略。今買うなら高配当利回り株?