NYダウの上昇と金利低下のギャップ

 ところがNYダウと金利の関係で気になる点があります。1月中旬と2月とでは違った動きをしている点です。NYダウが1月中旬に2万9,000ドル台に上昇した時、ドル/円も110円台前半に上昇しましたが、米10年債金利は1.8%台でした。その後1月の終わりに新型肺炎の急速な拡大が懸念され株は調整しましたが、NYダウは2月に入ってから再び2万9,000ドル台に乗せました。ドル/円も110円近くまで上昇しましたが、米10年債金利は1.5%台と、1月中旬の時よりも低下しています。

 その理由としてFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ再開期待から金利が低下し、株が上昇しているとの見方が多いのですが、金利の動きは新型肺炎による経済への影響を気にしている動きかもしれません。今後この株高と金利低下のギャップをどのようにマーケットが埋めていくのか注目です。このギャップが景気悪化を懸念して株安で埋まるのか、米国に対する影響は軽微との見方から金利上昇で埋まるのか注目したいと思います。

 少し付け加えると、ギャップが株安で埋まるケースとして、経済指標の悪化が続き、景気悪化懸念が高まるような状況が想定されます。その場合、FRBの利下げ期待が高まり株は一時的に上昇するかもしれません。しかし、経済指標の悪化が続くため、利下げが実行されても株高が維持されず、ギャップが埋まっていくというシナリオです。