2.2020年3月期会社予想業績は上方修正された

 今3Qまでの高水準な業績を見て、会社側は2020年3月期予想業績を前回予想の売上高2,470億円(前年比12.6%減)、営業利益450億円(同30.4%減)から、売上高2,700億円(同4.4%減)、営業利益560億円(同13.4%減)へ上方修正しました。事業別売上高の会社予想を見ると、SoCテスタ、メモリ・テスタだけでなく、メカトロニクス関連事業、サービス他も上方修正されています(表2)。

 新しい会社予想では、今4Qは今3Q比で減収、大幅営業減益となり前年比でも減収減益となる見通しです。ただし、業績のトレンドに勢いがあるため、楽天証券では、2020年3月期通期予想を売上高2,750億円(前年比2.6%減)、営業利益580億円(同10.3%減)と予想します。このため、今4Qの楽天証券予想は、売上高673億円(同5.3%増)、営業利益109億円(同6.6%増)と今3Q比では減収減益となるものの、前年比では増収増益に転換すると予想します。

 なお、今期末に繰延税金資産の計上を行うため、今期の見掛け上の税率が低くなる見込みです。

表2 アドバンテストの事業別売上高

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成。

3.2021年3月期はSoCテスタ高水準、メモリ・テスタ本格回復で業績続伸へ

 会社側は表3のように、2020年のテスタ市場の見通しを、SoCテスタは横ばい、メモリ・テスタは23.1%増と伸びはするが比較的低い伸びに留まるとしています。会社側は足元の高水準な業績について、SoCテスタの中の5Gテスタは想定より早く拡大しすぎており、メモリ・テスタはLPDDR-5向けが想定よりも早く立ち上がっているため、今後反動がありうることを懸念しているもようです。ただし、私の見解では会社側の5G用テスタの需要見通しは5Gスマホの需要と生産の勢いから考えて控えめ過ぎると思われます。

 楽天証券では、来期2021年3月期を売上高3,300億円(前年比20.0%増)、営業利益810億円(同39.7%増)と予想します。前回予想の売上高3,200億円、営業利益800億円から上方修正しますが、これは今回買収した米Essai社(テスタ用ソケットの大手、年間売上高約1億ドルで黒字)の収益を上乗せしたことによります。来期もSoCテスタ需要は一定の伸びが続き、メモリ・テスタはNAND向けの伸びにLPDDR-5向けの本格化が加わって大きく伸びると予想します。メカトロニクス関連、サービス他も今期同様伸びると予想されます。

表3 アドバンテストの半導体テスタ市場予想

単位:100万ドル、暦年
出所:アドバンテスト資料より楽天証券作成

4.今後6~12カ月間の目標株価は9,000円を維持する

 今後6~12カ月間のアドバンテストの目標株価は、前回の9,000円を維持します。楽天証券の2021年3月期予想EPS329.2円に想定PER25~30倍を当てはめました。引き続き投資妙味を感じます。

表4 アドバンテストの受注高

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成

表5 アドバンテストの売上高

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成