預金と債券の違い

 債券は、発行体にお金を貸して利子をもらい、満期で元本を返してもらう権利を表す有価証券です。そのため、他の人に売却することが可能です。つまり、需要と供給によって、価格が日々変動します。一方、預金は売買されるものではありませんので、価格という概念がなく、価格変動もありません。

まとめると、以下のとおりとなります。

  • 預金も債券も、誰かにお金を貸し、利子をもらう点では、性質は同じ。
  • 預金も債券も、お金を貸した相手が潰れなければ、利子がもらえ、元本が返ってくる。
  • 債券は、有価証券として売買が可能なため、価格があり、価格変動もある一方、預貯金は売買されるものではないので、価格がなく、価格変動がない。
  • 両方とも特性上、ローリスク・ローリターンの商品である。

 

為替変動の影響について

 預金も債券も、円建てのものと外貨建てのものがあります。円建てのものは、前述のとおりの性質ですが、外貨建てのものは性質が異なります。

 外貨建てのものは、預金は外貨預金、債券は外国債券となります。これらは両方とも、現地通貨建ての債券に、為替変動の影響が加わった商品性を持ちます。

 ここで思い出していただきたいのですが、前回の連載で、為替の価格変動は大きいと書きました。預金や債券は、価格変動がないか、あっても小さく、ローリスク・ローリターンの商品ですが、為替の影響が加わると、価格変動が大きくなり、ハイリスク・ハイリターンの商品に変身してしまいます。

【外貨預金、外国債券のリスクリターン】
 現地通貨建ての債券「ローリスク・ローリターン」+「為替変動リスク」=ハイリスク・ハイリターン

 つまり、円建ての預金や債券は「安全資産」ですが、為替変動の影響が加わった外貨預金や外国債券は「リスク性資産」になってしまうのです。これは、どんな預金や債券でも例外はありません。為替リスクがあれば、「リスク性資産」としての性質を持つことになります。

 ただし、外国債券には、一定のコストを払うことで為替ヘッジを付け、為替変動リスクを取り除くという手段があります。為替変動リスクがない外国債券(為替ヘッジあり)は、純粋に債券の価格変動リスクしか負いませんので、「安全資産」となります。なお、外貨預金には、為替ヘッジを付けるということはありませんので、外貨預金(為替ヘッジあり)というものはありません。

 これまでの話をまとめますと、下表のようになります。

 上記の表は、安全資産を説明するために作成しましたが、実は簡易的なものです。なぜなら、債券には、為替変動リスクを負わなくても、「安全資産」にはならず、「リスク性資産」に該当するものがあるからです。

 次回は、「安全資産」をもっとよく知っていただくために、様々な債券の種類について、ご説明したいと思います。