意外と奥深いのが年末調整。今回は、生命保険料控除や住宅ローン控除を受ける際の注意点や、年末調整をし損なった場合どうすればよいかについて説明します。

生命保険料控除は証明書のどの数字を書けばよい?

 年末調整にはさまざまな注意点があります。今回は生命保険料や住宅ローン控除など、各種控除を受ける際の注意点について取りあげていきます。

 まずは生命保険料控除についてです。

 生命保険料控除を受ける際は「給与所得者の保険料控除申告書」の必要事項に記載の上、会社に提出します。この保険料控除申告書の記載内容は、誤りがとても多いです。

 最も多いのは、保険料の金額自体の記載誤りです。生命保険料控除証明書には通常2種類の金額が記載されています。このうち上の方に書かれている金額は証明書発行日時点で支払済みの保険料で、下の方に書かれている金額は12月末までの支払い見込み額を含めた年間トータルの保険料です。

 この保険契約を解約等せずに、年末まで保険料を期日通りに支払う見込みであれば、「給与所得者の保険料控除申告書」に記載する生命保険料の金額は下の方の金額です。しかし誤って上の方の金額を書く人がかなりいます。

 この誤りにより、あるべき額よりも生命保険料控除の金額が小さくなり、結果として余計な税金を払うことになってしまうのです。

 保険料控除申告書の記載内容自体も結構誤りがあります。「新保険料」なのか「旧保険料」なのか、そして「一般の保険料」なのか「介護医療保険料」なのか「個人年金保険料」なのかを控除証明書の内容をよく確かめながら記載してください。

 1つの保険で複数の保険料の控除(一般の保険料と介護医療保険料)を受けられるケースや、保険に「年金」の名称がついているのに個人年金保険料ではなく一般の保険料に分類されるケースは誤りやすいです。

 保険料控除申告書は少しややこしいですが、説明を見ながら記入すれば正しい控除額が導き出せるはずです。余計な税金を払うことのないよう、しっかりと内容を確認して記載してください。

住宅ローン控除が年末調整で使えるのは2年目から

 年末調整では、住宅ローン控除の適用を受けることができます。ただし、適用できるのは2年目からで、1年目はご自身で確定申告をする必要があります。

 1年目に確定申告をすると、税務署から翌年以降年末調整で住宅ローン控除をするために必要な書類が届きます。2年目からはその書類を年末調整の時に提出することになります。

 住宅ローン控除を受ける際は、金融機関等が発行した借入金残高の証明書が必要です。この証明書も、10月頃に作成され、12月末時点での残高の見積もり額が記載されています。

 したがって、例えば年末近くになり住宅ローンの一部を繰り上げ返済したような場合は、年末残高が証明書に記載されている額より小さくなります。その点を加味した金額で住宅ローン控除の額を計算する必要があります。