実際の賃金の変動率は、財政検証と違う
ところが、実績値を確認すると、2005年度以降の15年間で年金改定額に用いられる賃金変動率(名目手取り賃金変動率)が物価変動率を上回ったのは2005年度だけです。それ以降14年連続で賃金変動率が物価変動率を下回っており、財政検証の前提とは大きく異なっています。
▼年金支給額の改定に用いられる物価変動率と賃金変動率の推移
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出所:厚生労働省「年金額の改定ルールとマクロ経済スライドについて」、「平成31年度の年金額改定についてお知らせします」を基に筆者作成
年金額の改定率は、65歳以上の年金受給権者(既裁定者)の場合、物価変動率を基準にマクロ経済スライドによるスライド調整をするのですが、賃金変動率が物価変動率を下回った場合(物価変動率>賃金変動率>0の場合)は、賃金変動率を基準とするルールとなっています。