7月1日~5日 原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は反落。米中通商協議再開、石油輸出国機構(OPEC)らによる協調減産継続などを受け、WTI期近8月限は節目の60ドルを上抜いた。しかし、主要イベントを通過したことで利食い売りが集まり下落に転じた。米国の原油在庫が予想ほど減少しなかったことも圧迫要因となった。

 週明けは買いが先行した。前々週末の米中首脳会談で、両国は通商協議再開で合意した。貿易摩擦への警戒が和らぎ、経済失速に伴う原油需要抑制への懸念が後退した。先行き景気に対する見方が好転したことにより投資家心理は改善、安全資産とされる債券や金が売られる一方、リスク資産とされる株式市場が上昇し、原油相場はこの動きに追随した。また、OPECは週明け1日に開催された総会で、今年1月から6月末まで続けてきた減産を7月以降も継続することで合意、来年3月末までの延長が決まった。減産幅についても従来の割当を維持する。翌2日開催のロシアを含む会合で、ロシアもこの動きに同調することが見込まれたため、供給面からも原油相場は押し上げられた。これまで抵抗となっていた60ドルをブレイクし、一時60.28ドルまで上昇した。

 しかし、翌営業日には大幅反落した。ロシアを含むOPECプラスの会合でも減産継続で合意したが、すでに織り込み済みとの見方が広がり、買いが促されるには至らなかった。むしろ主要なイベントを通過したことにより、買いに一服感が強まった。60ドル超え後の上げ足が思いのほか鈍かったことも買い気後退につながり、短期戻り一巡と判断した向きが利食い売りに動くと、市場のセンチメントは弱気に傾倒した。ベアな雰囲気になったことで、需要伸長への期待が薄い、米中通商協議再開は歓迎だが米欧の貿易摩擦が警戒される、などの見方がさらに弱気を誘い、高値から3ドル以上もの下落となった。

 週央、米国の金融緩和期待の高まりから株価が上昇したことに連れ、原油相場も戻したが上値は重かった。米国の原油在庫は4週連続の減少となったが、市場予想ほど減少しなかった。また、ガソリン在庫も予想ほどは減少せず、ディスティレート在庫は予想外の増加となるなど、在庫統計の内容は強気を誘うものではなかった。米国の需給の緩みが警戒され、これが相場の重石となった格好。その後、週後半は決め手難の展開。独立記念日に伴い4日の市場は休場、5日も週末前ということもあり積極的な商いは手控えられた。