3.遠のく中期経営計画達成

 2020年2月期の会社計画は、1%増収、8%営業増益、当期純利益が6%増です。しかし、この利益拡大スピードでは、2017年に同社が掲げた、2021年2月期をゴールとする中期経営計画の利益水準達成は難しくなってきた印象を受けます。

イオンの業績推移

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成

 

4.長期では成長の芽あり

 ただし、長期では成長の芽があります。それは、

  1. 海外の利益拡大
  2. 子会社ウエルシアHDの成長
  3. 国内SM、GMSの構造改革

 です。

  1. 海外の営業利益構成比が着実に拡大しています。2018年2月期の海外の連結営業利益構成比は11.0%でしたが、2019年2月期は16.8%となりました。海外の金融事業の他、後述するイオンモールの海外における収益性改善が寄与しています。
  2. ウエルシアHDは、2019年2月期は12%増収、営業微増益にとどまりましたが、2020年2月期会社計画は9%増収、14%営業増益となる見通しです。2019年2月期の既存店売上高は5.2%増、国内店舗数は187店舗増の1,874店に拡大しており、トップラインの中長期な成長に期待が持てます。2019年2月期は人件費をコントロールできず営業利益が圧迫されましたが、今期についてはその対応策を打ち出しています。
  3. 国内SM、GMSの構造改革については、利益としての成果が出るまで相当の時間がかかると考えられますが、減損などが一巡すれば当期純利益の成長ハードルが下がるとみられます。