景気先行きに不透明感。ディフェンシブな大型ディープ・バリュー株に注目

 今日は、昨日のレポートの続きです。昨日の要約は、以下の通りです。

昨日のレポート要約

世界景気は、2019年に減速、20年に回復と予想。2019年の世界景気が停滞か後退か、株式市場は手探り中。日本株は、前半、景気減速で低迷、後半に2020年の景気回復を織り込んで上昇と予想。日本株ポートフォリオで、今はディフェンシブ株を多めに、景気敏感株を少なめに保有すべきと判断。

 今日のレポートでは、今、持つならばどのような株が良いか、私の考えをお伝えします。結論からいうと、「ディフェンシブな大型ディープ・バリュー株」が良いと思います。いきなりカタカナだらけで、意味不明だったかもしれません。まず、言葉の意味を説明します。

 

◆ディフェンシブ=防衛的

 世界景気や為替変動の影響を受けにくいビジネスをやっている企業の株を、ディフェンシブ株と言います。医薬品、食品、電鉄、情報通信、日用品小売り、サービス業などの業種に多いです。景気が悪化するときに、株価の下落率が相対的に小さいと期待されます。ただし、景気変動の影響が相対的に小さいだけで、影響を受けないわけではありません。また、株である以上、短期的に乱高下することもあります。

 

◆ディープ・バリュー=激安(とても割安)

 株価指標から割安な株を「バリュー株」といいます。中でも、株価指標から見た割安度が際立っているものを「ディープ・バリュー株」といいます。

 株価の割安度を測る最も代表的な指標は、PER(株価収益率)です。株価が1株当たり利益(今期予想)の何倍まで買われているか、示します。PERが高いと「株価は割高」、PERが低いと「株価は割安」と判断します。東証一部の平均PERは、12月12日時点で13.6倍です。それより、PERが大幅に低い銘柄は、ディープ・バリュー株の候補となります。

 詳しい説明は割愛しますが、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れている銘柄や、予想配当利回りが4%を超えているような銘柄も、ディープ・バリュー株の候補となります。

 ただし、ディープ・バリュー株を買ったら必ず値上がりするわけではありません。株価指標で見て割安な銘柄がさらに売り込まれることもあります。たとえば、PERが低い銘柄が、業績予想の大幅下方修正を発表すると、PERが高くなるので、割安だったはずの株が割安ではなくなります。また、配当利回りの高い銘柄が減配を発表すると、配当利回りが下がるので割安ではなくなります。そうなると、株価が下がることもあります。

 以下に、筆者がディフェンシブな大型ディープ・バリュー株の候補と考える銘柄を挙げます。

ディフェンシブな大型ディープ・バリュー株の候補

コード 銘柄名 業態 株価
:円
配当
利回り
:%
PER
:倍
PBR
:倍
8306 三菱UFJ FG メガバンク 587.2 3.7 8 0.5
8316 三井住友FG メガバンク 3,910.0 4.3 8 0.5
2914 日本たばこ産業 タバコ 2,854.0 5.3 14 1.9
9433 KDDI 通信 2,651.0 3.8 10 1.5
9437 NTTドコモ 通信 2,575.0 4.3 14 1.6
出所:楽天証券経済研究所が作成。配当利回りは、1株当たりの年間配当金(会社予想)を12月12日の株価で割って計算。PERは、12月12日株価を今期1株当たり利益(会社予想または会社目標)で割って算出