フェイスブック
フェイスブックを取り巻く今後の成長懸念と成長期待は以下のとおりです。
成長懸念
a. 消費者のフェイスブック離れ
b. セキュリティー対策コスト
c. マネジメント態勢の不安定さ
成長期待
d. 消費者の需要に沿ったサービス開発
株価見通し
フェイスブックはビジネスモデル自体を見直す転換期にあると考えられますが、マネジメント態勢が不安定な中、改革がスムーズに進むのか不透明な状況です。株価は下値を模索する展開となるでしょう。
成長懸念
a. 消費者のフェイスブック離れ
同社のアクティブユーザー数の前四半期増加率は低下傾向にあります。同社の相次ぐ情報漏えい報道を受け、ユーザーの気持ちが、「個人情報を公開する」「多くの人々とつながる」というフェイスブックのコンセプトから離れている可能性があります。
アクティブユーザー数の前四半期増加率推移
地域別でデイリーアクティブユーザー数の前四半期増減率を確認すると、同社売上高の約半分を担う米国・カナダでは既に伸びなくなっており、市場が成熟しつつあることが伺えます。将来の成長をけん引する役割が期待されるアジア太平洋でも伸び率が鈍化傾向です。
地域別デイリーアクティブユーザー数の前四半期増減率
デイリーアクティブユーザーの伸び率鈍化傾向は、広告事業にとって好ましくないでしょう。同社の売上高のうち99%は広告事業です。広告主を呼び込めなくなった場合、フェイスブックの業績は縮小せざるを得ません。
売上高構成比(2018年12月期第3四半期)
b. セキュリティー対策コスト
堅固なセキュリティーの構築や不適切なニュースフィードの管理を強化していますが、会社側は「まだまだ改善したいところがある」と述べており、会社側が目指す理想の姿が完成するまでに時間がかかりそうです。当面、セキュリティー改革に資金と時間を費やすことになるでしょう。
c. マネジメント態勢の不安定さ
フェイスブック傘下でサービスを展開してきたメンバーの退職報道が相次いでいます。メッセージアプリ「ワッツアップ」の創業者、写真共有アプリ「インスタグラム」の創業者、VRのオキュラス創業者などです。退職理由について、データ保護を重視していた「ワッツアップ」の創業者については、セキュリティーの考え方に関する対立、「インスタグラム」については、フェイスブックからの積極的な介入などが指摘されています。また、シェリル・サンドバーグCOOが、フェイスブック内のロシアの世論操作問題を取締役会に知られないように画策したという報道まで浮上しており、マネジメント態勢の不安定さが懸念されます。
成長期待
d. 消費者の需要に沿ったサービス開発
インスタントメッセージのメッセンジャーや動画の強化、中古品売買など、新しい切り口をユーザーに提案しています。しかし、インスタントメッセンジャーであればアップルの「iMessage」、動画であればアルファベットの「Youtube」、中古品売買では「イーベイ(EBAY)」など、既に巨大な競合が活躍しています。大手競合とどのように戦っていくかに注目です。
フェイスブックの業績(単位:百万ドル)
フェイスブックのEPS推移(単位:ドル)
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