■回答と解説■小麦 関連国☆コモディティクイズ

回答1:小麦の生産国の正解は…

出所:USDAのデータをもとに筆者作成

[解説]

1位EU(20.0%)、2位中国(17.1%)、3位インド(13.0%)でした。

 生産国上位にランクインした国の中には、先述の「小麦の生産地ごとの作付と収穫時期」で触れた《冬小麦》と《春小麦》の両方の生産が行われている国があります。

 中国、ロシア、米国、ウクライナですが、これらの国は広い国土を有しており地域によって気候に差があるため、冬小麦・春小麦の両方が生産されています。

 どの国も冬小麦がメインで生産されていますが、春小麦の生産が可能な点はこれらの国の生産量を増加させている一因と言えます。

 生産国の上位にランクインした国は、大規模に消費するために大規模に生産している面(大量消費タイプ)、外貨を獲得する目的で自国で生産が可能な小麦を生産している面(外貨獲得タイプ)、あるいは両方を有していると考えられます。

 以下の輸出量と消費量の箇所も触れますが、前者の《大量消費タイプ》はEU、中国、インドなどで、後者の《外貨獲得タイプ》はカナダ、ウクライナ、オーストラリアなどです。米国とロシアは両方のタイプを合わせ持っていると考えられます。大量消費タイプは消費国の上位に、外貨獲得タイプは輸出国の上位にランクインしています。

 

回答2:小麦の輸出国の正解は…

出所:USDAのデータをもとに筆者作成

[解説]

1位ロシア(20.9%)、2位米国(13.3%)、3位EU(13.0%)でした。

 輸出率(輸出量÷生産量)を見てみると、ロシア45%、米国52%、EU16%、カナダ75%、ウクライナ64%、オーストラリア79%、アルゼンチン81%、カザフスタン54%などとなっています。

 生産国ランキングの箇所で触れた《大量消費タイプ》と《外貨獲得タイプ》において、《大量消費タイプ》としたEU、中国、インドの輸出率は、EUが16%と低水準、中国とインドはUSDAの統計では輸出上位国に名前が挙がっていません。

 一方、《外貨獲得タイプ》としたカナダは75%、ウクライナは64%、オーストラリアは79%と、輸出率が比較的高いことがわかります。《両方のタイプ》とした米国は52%、ロシアが45%と、おおむね生産分の半分を自国で消費し、もう半分を輸出していることがわかります。

回答3:小麦の輸入国の正解は…

出所:USDAのデータをもとに筆者作成

[解説]

1位インドネシア(6.8%)、2位エジプト(6.5%)、3位アルジェリア(4.3%)でした。

 1位のインドネシアですが、以下で触れますが、世界10位の消費量です。比較的大きな規模の消費量にあって輸入量が世界1位です。

 インドネシアの小麦の輸入依存度(輸入量÷消費量)は、およそ103%でした。消費すべてを輸入に頼り、在庫を積み上げている計算になります。(インドネシアは生産上位国に名前が挙がっていません)。このインドネシアは前回の砂糖の回でも輸入量ランキング1位でした。(砂糖の輸入依存度は67%)

 経済発展のスピードが比較的速いと言われるインドネシアでは、人口増加と食文化の欧米化が起きており、小麦を原材料とした食品や(パンや麺以外に、インスタント食品なども)、小麦と砂糖を用いて作られるお菓子(甘いお菓子もスナック菓子も)の需要が大きく高まっていると考えられます。

 また、2位と3位のエジプトとアルジェリアは北アフリカに位置する国ですが、乾燥し水資源に制約があるこれらの国では、主食のパンを作るために半数以上を輸入に頼っています。ともに輸入依存度は60%超と比較的高い状態にあります。

 2位のエジプトと3位のアルジェリア、そして8位のトルコ、その他の北アフリカや中東諸国(ランク外ですが、輸入量ランキング16位のモロッコ、19位サウジアラビアなど)はウクライナやロシアなどから小麦を輸入しています。

 2010年半ばごろにロシア西部のウクライナ周辺で発生した大規模な干ばつにより、小麦の生産が大きく減少する懸念が発生しました。(先述の生産国ランキングより、ロシアは4位、ウクライナは7位。2カ国合わせた生産シェアは14.7%)

 その影響で小麦価格が上昇し、同年8月以降、ロシアとウクライナが小麦の輸出制限措置を実施しました。それにより、小麦価格はさらに上昇しました。(先述の輸出国ランキングより、ロシアは1位、ウクライナは5位。2カ国合わせた輸出シェアは30.2%)

 小麦価格の上昇は、北アフリカ・中東地域の貧困層のさらなる困窮を招き、民主化運動の波「アラブの春」が進む一因となったと言われています。

 

回答4:小麦の消費国の正解は…

出所:USDAのデータをもとに筆者作成 

[解説]

1位EU(17.6%)、2位中国(15.7%)、3位インド(13.1%)でした。

 先述の生産国ランキングで《大量消費タイプ》としたEU、中国、インドが1位から3位となりました。

 これら3つの国・地域の小麦消費量が多いのは、膨大な人口を抱えていること、歴史的に小麦を食べる文化が深く根差していること、つまり《人口の多さ》と《食文化》の両面で消費が喚起されているためだと考えられます。

 歴史的に小麦を食べる文化が根差したのは、国土が広いことと気候が栽培に適しているため小麦が身近にたくさんあったこと、そして品種改良や製粉・加工などの小麦にまつわる技術がその地で向上してきたことが影響していると考えられえます。

 技術の向上は、生産量を増やしたり、小麦をバラエティに富んださまざまな食品に変えたりする大きな助けとなります。バラエティに富んだ食品の登場は、人々の食への楽しみを増大させ、その結果、消費が増加した面もあるのではないか?と筆者は考えています。

 小麦に関連する国を見てきました。主食から間食、お酒まで・・・小麦は非常に身近な農産品だと言えます。時には歴史を変える要因になったり、外交上の武器になったりすることもあります。

 小麦のことを知る上で、関連国を知ることは非常に重要かつ有効であると思います。余裕のある人は、ランキング上位3か国だけでなく、4位以下も覚えてみると面白いかもしれません。