日経平均が再び急落

 先週の日経平均株価は、1週間で711円下がり、2万1,181円となりました。NYダウが再び大きく下がったことから始まった、世界的な株安「第2波」に飲み込まれました。円高が進んだことも、日経平均が売られる要因となりました。

<日経平均日足:2017年10月2日~2018年3月2日>

 

 日経平均は再び、2万1,000円割れを試す展開となりそうです。日経平均日足を見る限り、底入れ感はまったくありません。日経平均で2万1,000円より上では、「上げはゆっくり、下げは急」であることがわかります。下げの第1波、第2波とも、下げのモメンタムが強く、2万1,000円割れを一度トライしそうな情勢と言えます。

 日経平均は、長期投資では買い場を迎えていると考えていますが、短期的には下値リスクが払拭されていないことを、意識しておく必要があります。

 

NYダウ・日経平均を急落させた2つの発言

 先週2つの発言が、NYダウ・日経平均を急落させる要因となりました。2月27日のパウエル議長発言と、3月1日のトランプ大統領発言です。

2月27日パウエルFRB議長の下院での議会証言

 米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)議長に2月に就任したばかりのパウエル氏がどういう人か、金融市場ではつかみ切れていません。パウエル氏は弁護士で、エコノミスト出身でないからです。

 2月27日の下院での議会証言の注目点は、パウエル議長が株式市場にとってフレンドリーか否か、見極めることでした。つまり、株式市場に悪影響を及ぼさないように金融政策をコントロールするハト派か、引き締めを強行するタカ派か、どういうニュアンスで話すかが、注目されていました。

 タカともハトとも明確にはわからない無難な発言に終始しましたが、以下2つの発言から、「市場イメージよりタカ派」ととられました。

 1つは、冒頭声明で、株価急落が「景気や雇用、物価の見通しに大きな影響をもたらすとはみていない」と述べたこと。もう1つは、質疑応答の中で、「個人的には米景気の見通しがさらに強くなった」と答えたことです。

「株価急落を気にしていない、景気は強い」と言ったこととなり、「今後、利上げのピッチが速くなる」と解釈され、NYダウが再び急落するきっかけとなりました。

 パウエル議長は、自らの発言が株価急落を招いたことを意識してか、3月1日の上院での議会証言では、一転して、ハト派色の発言を行いました。質疑応答で「現時点で景気過熱の証拠はない。賃金上昇の加速を示すものはない」と回答したことです。これで、株式市場は、やや落ち着きを取り戻しました。ところが、同じ日に出た、トランプ大統領の次の発言が、さらなるNYダウの急落を招きました。