やっぱり、今週の相場を左右するのはあの銘柄

 そのため、今週以降も買いの勢いが続くかが米国株市場の焦点となるわけですが、その行方を左右しそうなのが、28日(水)に決算発表予定の米半導体企業のエヌビディアです。

図7 米エヌビディア(日足)の動き(2024年8月23日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを基に筆者作成

 先週末23日(金)のエヌビディア株の終値は129.37ドルでした。ここ2~3週間の株価は戻り基調を描き、25日や50日移動平均線を上抜けてきましたが、ここ数営業日は6月20日と7月11日の高値どうしを結んだ「上値ライン」を意識する攻防戦の値動きとなっています。

 恐らく決算発表日の28日(水)まではこのような値動きが続き、決算を受けて上下のいずれかの方向へ動き出す展開が想定されます。

 直近の過去2回の同社決算では、「市場の高い期待をさらに上回る業績見通しを示す」ことで、決算発表後の株価が大きく上振れてきましたが、今回の決算も同様の展開が繰り返されるのかが注目されます。

 とはいえ、決算の度に期待のハードルが上がってきていることもあり、決算がかなり良い内容だったとしても、市場がネガティブに反応してしまうことも考えられます。そのため、エヌビディア決算に対する市場のスタンスは、結構「出たとこ勝負」な面で、決算後の株価の値動きが大きくなるかもしれません。

日本株は円高の重石に抗えるかが焦点

 また、足元の日本株については、こうした米国株市場の動きに加え、「為替市場の円高の重石にどこまで抗えるか?」が焦点になります。

 先週末のパウエルFRB議長の講演を受けた為替市場は1ドル=145円台から144円台へと円高が進行しました。

 しかし、トヨタ自動車(7203)の想定為替レートが145円前後で、7月に公表された日銀短観での2024年度のレートが144.77円(全規模・全産業)となっているため、ここからさらに円高が進んでしまうと、企業業績の円安効果が剥落することから、現在の為替レートは株式市場が敏感に反応しやすい水準であると言えます。

図8 ドル円(日足)の動き(2024年8月23日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを基に筆者作成

 このほか、米国では先週の21日(水)に、米労働省が雇用統計の年次改定を行い、この1年間の就業者数の増加が下方修正される見込みであることが発表され、労働市場が思ったよりも良くない可能性が浮上してきました。ひとまず、先週末23日(金)のパウエルFRB議長の講演は無難に通過できましたが、最大のヤマ場は来週末9月6日(金)の米雇用統計(8月分)になります。

 さらに、再来週の10日(火)、米大統領選挙戦のトランプ共和党候補とハリス民主党候補の討論会が開催され、13日(金)には国内先物取引の「メジャーSQ日」であることなど、市場のスケジュールはかなり慌ただしくなります。

 市場がひとつひとつのイベントに過敏に反応していくのか、それとも、材料が多過ぎるためにかえって動きにくくなるのか、相場環境はとても読みにくくなり、地味にカオスっぽくなっている点には気をつけておきたいところです。