facebook twitter
これからの大問題!認知症と相続対策について最低限知っておきたいこと(その1)
足立 武志
知らなきゃ損する!今日から使える税金のキホン
難しくよくわからない「税金」。だれでもわかるように、知らないと損する情報を公認会計士・税理士かつ個人投資家がお届けします。

これからの大問題!認知症と相続対策について最低限知っておきたいこと(その1)

2016/4/22
近年大きな社会問題となりつつあるのが認知症問題です。実は、認知症は相続対策の「大敵」です。認知症になるとほとんどの相続対策が実行できなくなってしまいます。そこで今回と次回は、認知症と相続対策との関連で、これだけは知っておいていただきたいことをお話ししたいと思います。
facebook twitter メールで送る 印刷

近年大きな社会問題となりつつあるのが認知症問題です。実は、認知症は相続対策の「大敵」です。認知症になるとほとんどの相続対策が実行できなくなってしまいます。そこで今回と次回は、認知症と相続対策との関連で、これだけは知っておいていただきたいことをお話ししたいと思います。

いよいよ認知症700万人時代へ突入

そもそも認知症とはどんな状況を指すのでしょうか。認知症は、判断能力が不十分となり、契約などの法律行為を適切に行うことができない状態をいいます。簡単に言えば、自分自身で何かを決めて実行する能力がなくなってしまうことです。

厚生労働省によると、2025年には全国で認知症を患う人の数が700万人に達すると予想されています。現時点で認知症患者の数は500万人を超えているものと思われますが、これが毎年増加を続けていくのです。

700万人とは、65歳以上の高齢者の5人に1人に当たります。80歳以上でみればこれよりはるかに高い割合で認知症となってしまいます。もう他人事ではすまなくなっているのが認知症問題なのです。

認知症になるとどんな点で困るのか?

認知症になると様々な面で不都合が起こりますが、例えば次のようなことがよくあります。

  • 預金がおろせなくなる

本人が認知症であることを銀行に知られると、本人の預金がおろせなくなってしまいます。本人の老人ホームの費用や医療費など必要な支出を本人の口座から支払うことができなくなりますし、不足している残高を賄うために他の口座から移し替えることもできなくなってしまいます。

  • 不動産が売却できなくなる

例えば不動産市況の良い今のうちに不要な不動産を売却して現金化しようとしても、本人が認知症の場合、売却することができません。

不動産売買の際は、本人の判断能力があることを確かめるため、司法書士が本人の住まいや老人ホームなどへ出向き、認知症でないかどうか面会に行くこともあります。その結果問題ないと判断されてはじめて不動産売買契約が有効に締結され、所有権移転登記も実行されます。

もし認知症である場合は、後で説明する後見人をつけなければ売買を実行できません。

  • 遺産分割協議ができなくなる

例えば本人の配偶者がなくなったとき、本人は相続人となりますが、認知症により本人に判断能力がないと遺産分割協議ができなくなります。つまり、亡くなった人の遺産を相続人の間で分けることができなくなってしまうのです。遺産分割を行うためには後見人が必要となります。

そもそも成年後見制度の目的とは?

このように、認知症の方が不動産売却や遺産分割など種々の行為を行うためには後見人という手助けの存在が必要となりますが、このための仕組みが「成年後見制度」です。

成年後見制度とは、認知症や精神障害などにより判断能力が不十分な方を法律的に保護し、支えるための制度です。判断能力が不十分な方を成年被後見人(以下「被後見人」)、被後見人を援助する方を成年後見人(以下「後見人」)と呼びます。

後見人には親族のほか、司法書士や弁護士などの専門家が選任されることもあります。最近では、親族よりも専門家が選任される割合が増えてきています。

後見人の職務には、身上配慮義務(被後見人の意思を尊重し、心身状態や生活状況に配慮する)や財産管理義務(財産を適正に管理する)といったものがあります。

そして、不動産売却や遺産分割を進めるためにどうしても必要である一方、相続対策を実行するうえでネックになってくるのが、この「財産管理義務」なのです。

注)成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」があり、さらに法定後見制度には「成年後見」「補佐」「補助」の3つの類型があります。本コラムでは特に断りのない限り、「成年後見制度」や「成年後見」といった表現は、法定後見制度の成年後見を指すものとして話を進めます。

成年後見制度を使うにはどうしたらよいの?

成年後見制度を使い、後見人を立てるためには家庭裁判所へ法定後見の申し立てをする必要があります。

概ね、次のような流れになります(東京家庭裁判所の場合)。

  • 申し立てのための書類作成、資料収集(戸籍謄本、住民票、親族関係図、財産目録、収支状況報告書など)
  • 申し立てのための面接日を家庭裁判所へ予約
  • 申し立ての面接
  • 本人調査(被後見人となる本人との面接)
  • 鑑定(本人に判断能力がどの程度あるかを医学的に判定。申し立て時の医師による診断書の内容によっては省略されることもあります)
  • 審判
  • 審判確定(審判書が後見人に届いてから2週間で確定となります)
  • 後見登記(裁判所から法務局へ職権で申請されます)

申し立てから後見登記が完了するまで2~4カ月程度かかります。申し立てに必要な資料準備・打ち合わせなども含めると、6カ月程度はみておいた方が良いかもしれません。

東京家庭裁判所では「成年後見申立ての手引」を作成しています。詳しくはホームページをご覧ください。

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/koken/seinen-koken/index.html

最近は親族ではなく司法書士や弁護士などの専門家が後見人として選ばれることが増えており、親族だけで申し立てをすると、全く面識のない専門家が後見人になることもあります。そのため、事前に信頼のおける専門家に相談し、親族が後見人になれなくともその専門家が後見人に選任されるような事前準備をしておくのがよいと思います。

次回は、後見人を立てることにより、具体的に相続対策にどのような影響があるのか、それに対してどのように対処していったらよいのかをお話ししたいと思います。

【この記事に対するアンケート回答はこちらから】

トウシルのオススメ記事

▲トウシルトップページへ

 

1周年特集
投資の失敗
桐谷広人
このレポートについてご意見・ご感想をお聞かせくださいこれからの大問題!認知症と相続対策について最低限知っておきたいこと(その1)

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

記事についてのアンケート回答確認

これからの大問題!認知症と相続対策について最低限知っておきたいこと(その1)

今回のレポートはいかがでしたか?
コメント
1周年特集
 
ハゲタカ
 
世界のリスクを総点検
投資の失敗
 
はじめての下落相場と損
 
株主優待・桐谷広人
美白YouTuberが紹介!無理なくカンタンな貯蓄術のススメ
 
老後破綻
 
動画でわかる
メールマガジン

直近1日の記事を配信します

配信:平日毎営業日配信
祝日・GW・夏季/冬季休暇 を除く

公式SNS

タイムリーな情報を
ゲットできます

配信:記事配信時 随時
facebookおよびTwitterには一部配信しない記事もあります

TOP
×
トウシル メールマガジン および SNSについて
メールマガジン 申込み

トウシルメールマガジンではレポートやコンテンツ等、直近1日の記事をお知らせします。
本メールは配信希望のお客様に平日毎日お届けしております。
リアルタイムでの情報取得は、公式SNS(facebook、twitter)もあわせてご利用ください。

  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。
メールマガジン サンプル
メールマガジンサンプル
  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。