国民投票当日の朝までは残留期待から上昇が続くが、離脱派勝利で16年ぶりの急落

先週の予測では、イギリスのEU離脱の賛否を問う国民投票の結果待ちで、上にも下にも行きにくいとしました。投資の考え方としては方向性が分からない時は、リスクをとって投資する必要はないとし、すべきでないとしました。

結果的には、残留派支持有利の見方から欧米株式が下げすぎの戻りの動きとなったことで、日本市場も同じ動きとなり、16,000円台回復の動きとなりましたが、週末の24日(金)はイギリスの国民投票の結果が離脱派の勝利となったことで一転急落となり、一時▼1,374円の14,864円と16年ぶりの大幅安となり、▼1,286円の14,952円で引けました。

週明けの20日(月)は、直近の世論調査で残留派が離脱派に対して巻き戻していると伝えられ、為替も円高一服となったことで残留期待から主力株中心に下げすぎた分の買い戻しが入り△365円の15,965円の大幅続伸となりました。21日(火)は前日の欧米株式のリスク回避の巻き戻しで大幅高となったのを受け、△203円の16,169円と1週間ぶりに16,000円台を回復しました。22日(水)は利益確定売りから▼103円の16,065円と4日ぶりに反落するものの、23日(木)は、さらに残留派優位の世論調査が続き、△172円の16,238円と反発しました。しかし、低水準の商いが続いており先物主導での買い戻しによる上昇だと考えられます。そして注目の24日(金)は、前場は10時ごろまでは残留派優勢との観測から16,389円まで買われるものの、一転して離脱派有利の報道から急落となり、前場は▼495円の15,742円で引けました。日本時間の昼過ぎにイギリスBBC放送から「EU離脱派勝利」報道が伝わると為替は2年7カ月ぶりに1ドル=100円を割れ、日経平均は▼1,374円の14,864円と1990年3月19日以来の16年ぶりの大幅安となりました。値上がり銘柄数6銘柄と過去最小となる歴史的下落でした。終値は▼1,280円の14,952円で引けました。

日本市場の引け後の欧米株式は急落となりました。アメリカ市場ではNYダウは一時17,356ドルまで下げ終値は▼610ドルの17,400ドルとなりました。シカゴの日経先物は暴落後の自律反発から大証比△170円の15,120円と15,000円を回復しています。

 

今週は、自律反発しても下ブレに要注意

今週は、イギリスのEU離脱を受け、EUの一部の国にも離脱ムードが広がらないか警戒しつつ各国の対応を注視しながら底入れを探る展開となりそうです。

イギリスのEU離脱を受けスコットランドは、イギリスから独立してEUに残るために2度目の国民投票実施の準備を進めると明らかにしています。さらに、オランダ、スペイン、ギリシャなどの各国もEU離脱派の勢力が動き出せば連鎖反応が起こり、EU諸国の政治が不安定化し今後不透明感の強い状況が続くことになると思われます。そのためEU首脳は、イギリスに対して早く離脱の手続きをするよう要求してきました。これらの動きをみながらの相場展開となりそうです。早い段階で落ち着けばリバウンド相場にはいっていきますが、不透明感が強まれば下値確認の動きが続くことになると思われます。

日経平均をみると、先週末の24日(金)の▼1,374円の14,864円という16年ぶりの大幅安は、目先のショック安を織り込んだとの見方もできますので、イギリスのEU離脱がとりあえず落ち着けば24日の終値14,952円(ザラ場安値14,864円)は今年の2月12日の終値14,952円(ザラ場安値14,865円)に対するダブル底となっており、リバウンドに向かう可能性があります。

しかし、またイギリスのEU離脱の影響が各国に波及すれば、下値をさぐる動きとなり、このダブル底を切ると2014年10月の日銀の追加緩和直前の水準14,500円が下値メドとなります。ここを切ると14,300円水準となりますが、ここではほぼ止まる可能性があります。

6月27日(月)の動きは、急落後の反動と政策期待で△357円の15,309円と大幅反発となりました。27日(月)の午前8:00から政府と日銀が緊急会合を開き安倍首相は、麻生財務相に対して日銀と連携して金融市場の安定を図るよう指示しました。これを受けて投資家心理が改善し、政策期待が下支えとなって急落後の反動も加わって大幅反発となりました。しかし、まだ為替次第では再び下ブレの可能性も残っています。戻りが多少続いても再び下値確認となってくるのがふつうですので、買いそこなった人は再度の下落を待ち、安いところで買った人は利食いのタイミングに集中するところです。

 

 

(指標)日経平均

先週は基本的には、23日のイギリスの国民投票までは、リスク回避の流れが続くことになるが残留派の女性議員が射殺され同情票が集まる可能性があるものの方向性のない展開を想定しました。

しかし、週明けに直近での世論調査が残留派に有利という報道から下げすぎの買い戻しの動きとなり、2日連続高のあと一服し、6月23日(木)には△172円の16,238円となりました。6月24日(金)は前場の10時までは残留派有利の報道で16,389円まで上昇するが、離脱派有利で一転して急落し、午後は離脱派の勝利確認で一段安となってザラ場安値14,864円の終値14,952円となりました。ザラ場、終値ともに2月12日に対するダブル底となりました。

今週は、イギリスのEU離脱後のヨーロッパ各国の反応をみながら、下値を確認する動きが想定されます。チャートをみると、終値、ザラ場ともに6月24日は2月12日に対するきれいなダブル底となっており、ヨーロッパが目先混乱しなければ当面の底打ちとなる可能性があります。但し、混乱が続いてダブル底の形を切ると14,500円水準が次の下値ポイントとなります。

6月27日(月)は、先週末の急落の反動と政府の政策期待から△357円の15,309円の大幅反発となりました。ダブル底の確定は6月23日の16,263円を終値で上回ってからとなりますので、大反発であっても自律反発の範囲と考えられます。又、イギリスのEU離脱の影響は不透明ですので注意が必要です。

日経平均

 

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、23日のイギリスの国民投票を前にリスク回避の流れが続き投票の結果待ちとしました。

しかし、週始めから残留派優勢の見方から株式市場は上昇し、6月23日には18,011ドルと18,000ドルを回復しました。ところが国民投票の結果は離脱派の勝利となったことで急落し、一時17,356ドルまで下げて終値は▼610ドルの17,400ドルで引けました。売転換となり目先下放れの形となっています。

今週は、イギリスのEU離脱を受け、欧州各国の反応をみながらの下値確認の動きとなりそうです。29日のイエレン議長の発言で早期利上げの後退がより高まればドル売り・円買いとなり、目先は株式は上昇に転じる可能性はあります。中長期でみると欧州の一部の国でEU離脱の動きが誘発されれば、不透明感が残って株式市場は低迷してくることになります。5月19日の17,331ドルを終値で切ると17,100ドルが次の下値ポイントとなります。

NYダウ

 

 

(指標)ドル/円

先週は、イギリスの国民投票の結果待ちとしました。それまでは残留支持派の女性議員が射殺されたことで同情から残留支持派優勢の報道でドルの買い戻しが期待できるとしました。結果的に離脱派が勝利し円の急騰(円高)とまりました。6月23日までは、残留派有利の調査報告が相次ぎ、ドルは買い戻し優勢となり6月23日の開票直前には108円台までのドル買い・円売りとなっていました。しかし日本時間の6月24日の午前10時過ぎから離脱派有利となり、午後には勝利が決定すると円は急騰し一時100円を割って99.0円をつける動きとなりました。100円割れは2013年11月以来の円高となります。

今週は、イギリスのEU離脱後の影響を見極める展開となります。100円を切ると政府・日銀の介入の思惑があることから100~105円の間でのもみあいとなりそうです。日銀の介入思惑とアメリカの早期利上げ後退(ドル売り・円買い)との綱引きとなる状況が続くことになります。

ドル/円