欧米株式の大幅安にもかかわらず、日経平均は小幅な下げにとどまる

先週の予測としては、上昇基調をどこまで維持できるかどうかに注目とし、その上昇基調の変動要因として、ギリシャ債務問題やアメリカの5月の雇用統計に要注意としました。

結果的には、6月1日(月)の△6円の20,569円で12日連騰がストップし、全体としてはこう着感が強い展開となりました。2日(火)は、為替が日本市場で2002年12月以来の一時125円台にのせた後、一服したことで、日経平均も利益確定売りから▼26円の20,543円と13日ぶりの反落となりました。3日(水)は、ギリシャ債務問題で欧米株式が下落したことを受けて▼69円の20,473円と2日続落となりました。4日(木)は△14円の20,488円と反発するものの、5日(金)は、前日のアメリカ市場で再びギリシャ債務問題からNYダウが▼170ドルの17,905ドルの大幅下落となったことで日経平均は20,363円まで売られましたが、その後押し目買いが入って▼27円の20,460円で引けました。欧米市場の大幅下落に対して日本市場は利益確定売りが強まる局面があったものの、出遅れている業種や銘柄が買われ、小幅な下げにとどまりました。

5日(金)の日本市場の引け後のアメリカ市場では、注目の5月の雇用統計で雇用者数が予想の22.5万人を大きく上回る28万人となったことで9月の利上げ観測の思惑が高まり、為替は1ドル=125.86円という2002年6月以来の高値をつけました。10年債利回りも一時2.435%と昨年10月以来の高水準となったことで、NYダウは▼56ドルの17,849ドルの続落となりました。シカゴの日経先物は、円安を好感して△120円の20,580円で引けました。

 

今週は、先週に引き続き出遅れ株や中小型株の物色の可能性

今週は、先週末のアメリカの5月雇用統計の予想を大きく上回る結果を受け、利上げの時期に対する思惑が株式相場の変動要因になりそうです。週末には、ドル・円相場は1ドル=125.86円と2002年6月以来の高値となったことで、9月の利上げ観測の見方も台頭してきました。今週もアメリカでは経済指標の発表が相次ぎ、その内容が予想を上回るものであれば、9月のFOMCでの利上げが意識されることになります。そうなれば、金利上昇から株式市場は下落につながる可能性があります。

 

今週は、週末の12日(金)にメジャーSQを控え、またギリシャ債務問題やアメリカの早期利上げへの思惑が交錯し、先週と同様にこう着感の強い相場展開となって主力株は動きにくく、出遅れの業種や好業績の中小型株が物色される可能性が高いと思われます。日経平均の指数は、5月25日(月)の安値20,310円と5月28日(木)の高値20,655円のレンジ内の動きとなっており、丁度2週間この中でもみあっている状況です。この中で株価の値動きが小さくなっており、変動率(当日終値と前日終値の比較)が1%以下が続いています。これは投資家の強弱感の対立や、ギリシャ問題やアメリカの利上げ時期への不透明感を示しています。

基本は、今週もこう着状態と想定されますが、20,655円を終値で上に抜けると2000年4月12日の20,833円を試す動き、逆に20,310円を下に切ると2万円を試す動きが想定されます。ここからの一段の円安が中長期的には日本経済にプラスになるとしても、短期的にはアメリカの金利上昇から株式が売られ、日本株のみが上昇を続けることは考えにくいところです。

本日8日(月)は、円安を受けて主力輸出株に追い風となって買い先行で始まるものの、買い一巡後は利益確定売りから一時20,359円まで下げる場面がありました。ここから押し目買いが入りプラスに戻す場面もありましたが、▼3円の20,457円で引けました。

 

 

 

(指標)日経平均

先週の予測では、アメリカで週末に5月雇用統計を控え、日経平均の連騰がストップするのか続くのか注目になるとし、連騰が止まれば目先の目標達成感から調整気味の推移も考えられるとしました。

結果的に、1日(月)の△6円の20,569円で12日連続続伸となって、2日(火)は▼26円の20,543円と13日ぶりの反落となり、12連騰でストップとなりました。その後は高値警戒感と先高期待とのもみあいとなり、3日(水)は▼69円の20,473円、4日(木)は△14円の20,488円、そして週末5日(金)は、前日のアメリカ株式が大幅下落となっていたことで前場は20,363円まで売られるものの、後場には上海株式の持ち直しを受けて下げ幅を縮小し、▼27円の20,460円で引けました。引け後のアメリカ市場で5月雇用統計が予想を大きく上回ったことで、為替が1ドル=125.86円と2002年6月以来の高値をつけたことからシカゴCMEは△120円の20,580円となりました。

今週は、先週末のアメリカの雇用統計の大幅改善を受けて早期利上げ観測が台頭し、一段のドル買い・円売りとなりますが、円安がそのまま日経平均の指数を引き上げていくのかどうか注目するところです。週末12日(金)にメジャーSQを控え、ギリシャ債務問題やアメリカの早期利上げへの思惑があり、先週と同様こう着状態が続く可能性があります。20,300~20,650円のレンジ内での動きが想定されるところです。

週明け8日(月)は、円安を受けて輸出関連株が買われ買い先行で始まるものの20,544円をつけると一転して利益確定売りで20,359円まで下落しました。しかしここから押し目買いが入ってプラスに転じる場面もありましたが、▼3円の20,457円で引けました。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、週末5日(金)に5月雇用統計を控えていることやその前に多くの経済指標の発表があり、利上げの動向に注目とし、目先では5月19日の18,351ドルをピークに調整気味としました。

週前半は18,000ドル台でもみあっていましたが、4日(木)は、欧州株式がギリシャ債務問題を警戒して下落したことや新規失業保険申請件数が改善したことで年内利上げが意識され、▼170ドルの17,905ドルと18,000ドルを下回って引けました。更に週末5日(金)は、注目の5月雇用統計が予想を大きく上回ったことで、為替は1ドル=125.86円までドルが買われ長期金利が上昇したことで、▼56ドルの17,849ドルとなりました。

先週末は5月雇用統計の結果を受けて年内の利上げ観測が高まり、株価下落の要因となりました。今週も発表される経済指標が大きく改善されると9月のFOMCでの利上げが意識され、株価は下落につながる可能性があります。柴田罫線では、引線の終値で17,776ドルを切ると売転換となって、短期の調整に入ると想定しています。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、ドル買い・円売りの流れはあるものの週末に5月雇用統計を控えて様子見ムードもあり、予想を上回ればドル買い・円売りの流れが継続し、予想を下回ればドル売り・円買いの可能性もあるが、円の高値は限定的と考えられるとしました。

結果的には、週初めはドル買い・円売りの流れとなり、2日(火)は一時125.05円までドルが買われました。しかし、ギリシャ債務問題の懸念から一転してリスク回避の円買いで123円台後半まで円高が進行しました。その後は124円を挟んでもみあいとなりましたが、週末5日(金)は、5月雇用統計が予想を大きく上回ったことでドルが買われ、一時125.86円と2002年6月以来の高値となりました。引け値は125.58円でした。

今週は、先週末のアメリカの雇用統計の予想を大きく上回る結果を受けてドルが125.86円まで買われましたが、今週も経済指標の結果によってはドル買いの流れが続き、早期利上げへの思惑が強まることになります。124~127円台を想定。

ドル/円