先週はアメリカ株式の大幅下落受け、円高進行で日経平均15,500円割れ

先週の予測では、アメリカ株式の大幅下落の背景に10月末に終了するQE3への警戒があり、これにユーロ圏経済の減速懸念が加わって世界経済への不透明感が高まったことで、NYダウはまだ値幅調整+日柄調整が必要となるとしました。そうなると、足元の景気が減速している日本経済の状況下では、日経平均は「アメリカ株式の調整の程度」に左右されることになるとも想定しました。

結果的に、NYダウは、7日(火)にIMFの世界経済見通しの下方修正を嫌気して▼272ドルの16,719ドルとなって柴田罫線で売転換が出現し、その後は大きな上下動を繰り返して、週末の10日(金)は16,544ドルで引けています。為替は長期金利が一転して低下となり、ドル売りとなって107円台後半で引けました。

以上のようなアメリカ市場の動きを背景に、日経平均は週初めは大幅高スタートとなって△182円の15,890円となるものの、25日移動平均線を抜けず翌日は反落となり、8日(水)になると▼187円の15,595円となって、柴田罫線では前日のNYダウに続いて日経平均にも売転換出現となりました。その後も為替が円高に振れたことから主力の輸出関連株中心に売られました。9日(木)は▼117円の15,478円、10日(金)は前日のNYダウの4カ月ぶりの大幅下落を受けて▼178円の15,300円で引けました。NYダウは、10日(金)は▼115ドルの16,544ドル、更に週明けの13日(月)は▼223ドルの16,321ドルとなって8月7日の安値16,333ドルを終値で切りました。

当面の底打ちはどこなのか…「アメリカ株式の調整の程度」による

先週の日経平均は4日続落で500円を超える急落となり、9月25日の年初来高値16,374円からみると10月10日の15,221円まで1,153円の下げ幅となっており、下げ率で約7%となっています。経験則では8~10%の下げ率から反発するのが多いようですが、今回はNYダウが下げ足りずの状況となっており、日経平均の下値は「アメリカ株式の調整の程度」によることになります。結局、本日14日(火)の日経平均は、昨日のNYダウの大幅下落を受けて一時14,919円まで下がって▼364円の14,936円となり、下げ率で8.9%となっています。

  • 現水準から反発する場合

    日経平均の下げ止まりは「アメリカ株式の調整の程度」としていますが、先週まではNYダウは大きく下げているようにみえますが、9月19日の17,350ドルの最高値から先週末の安値16,543ドルまでで約4.7%の下げに過ぎません。今年の1月末から2月5日の15,340ドルまで下げた時の下落率の7.5%に遠く及びません。しかし、日本が休日の昨日のNYダウは▼233ドルの16,321ドルと、8月7日の安値16,333ドルを切って引けました。下げ率で6%となってきました。既に200日移動平均線を切っており、NYダウも16,000ドルを試す可能性(下げ率で7.8%)があります。この16,333ドルを切ったところから反発できれば、日経平均も15,000円を切ったところからの反発となりますが、そうなっても自律反発の範囲内となって再下落の可能性で出てきます。

  • 8月8日の14,753円を試した後に反発する場合

    NYダウは昨日に1つ目の下値ポイントであった8月7日の安値16,333ドルを切ってきました。この翌日の8月8日に日経平均は14,753円をつけていますので、NYダウがもう一段安となれば、この14,753円を試してもおかしくありません。次のNYダウの下値ポイントは心理的節目の16,000ドル水準であり、ここまで下げると約7.8%の下落率となり、1月末から2月5日の安値までの下落率とほぼ同じになります。そうなると、14,753円を試しても、売りが加速して14,500円水準くらいまでの可能性もあります。最高の買い場ですが一時的な動きですので、思い切って下に指値をするぐらいでないと買うのは難しいと思われます。

(指標)日経平均

先週の予測では、アメリカ株式の上昇が続かず円安一服となれば15,500~16,000円の日柄調整も考えられるとしました。しかし、結果的にNYダウが下落に転じ、為替も円高へ振れたことで15,500円を下放れする動きとなりました。7日(火)にIMFが世界経済の見通しを下方修正したことでNYダウが▼272ドルの16,719ドルで売転換し、これを受けて8日(水)に日経平均は▼187円の15,595円で売転換となり、そのまま続落となって9日(木)は▼117円の15,478円と15,500円を割り込み、週末の10日(金)は▼178円の15,300円で引けました。

今週は底値を探る値動きになりそうですが、底値を確認するには欧米株式の下落がいったん落ち着くかどうかにかかっています。チャートをみると、5月21日の13,964円から9月25日の16,374円まで3カ月以上続いた上昇相場からの下げとなっており、高値から1,000円近く下げて15,000円台の下値抵抗ゾーンに接近しています。200日移動平均線(10月10日時点15,123円)を切ると心理的フシの15,000円、その下は8月8日の安値14,753円となります。

連休明けの14日(火)は、NYダウが前日の13日(月)も大幅続落となっていたことで全面安となり、前場は15,000円台を守っていたものの後場には一段安となって▼364円の14,936円で引け、2カ月ぶりの15,000円割れとなりました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、アメリカ経済の底堅さが確認できるかどうかとし、アルコアの決算やFOMC議事録に注目としました。上昇できずに反落して16,800ドルと切って引けると売転換となるとしました。結局、7日(火)にIMFの世界経済見通しの下方修正を受けて▼272ドルの16,719ドルとなり、柴田罫線で売転換出現となりました。8日(水)には△274ドルの16,994ドルと大幅反発するものの、9日(木)は欧州経済の減速懸念や原油価格の急落を受けて▼334ドルの16,659ドルと大幅反落、週末の10日(金)も▼115ドルの16,544ドルの続落で引けました。昨年の10月9日の14,719ドルからの上昇トレンド(A)を下に切ってきました。目先の下値ポイントは8月7日の16,333ドル、その下は16,000ドルとなります。

今週は、欧州株式の動きや企業決算をみながらの不安定な展開が想定されます。先週末は16,544ドルで引け、昨年の10月9日の14,719ドルからの上昇トレンド(A)を下に切ってきています。高値からの下げ幅は約4.7%と値幅調整としては十分とはいえません。今年の初め、高値から2月5日の15,340ドルまで下げたときは約7.5%の下げ幅ですから、現時点の下落率はそれほど大きくないといえます。同じくらい下げる(約7.5%)とすると、16,000ドル台まで下げることになります。まずは、8月7日の16,333ドル近辺で止まるのかどうかとなります。

週明けの13日(月)は、エボラ感染熱被害拡大懸念やS&Pが2012年以降初めて200日移動平均線を割り込んだことを嫌気し、▼223ドルの16,321ドルと8月7日の16,333ドルを切ってきました。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、10月1日に110.09円まで上昇していったん円高に振れるも、10月3日の米雇用統計の結果を受けて早期利上げ観測から109円台後半の円安に進んだが、110円台はチャートのフシになるためいったん一服する可能性があるとし、109~110.5円のレンジを想定しました。

しかし、10月8日の公開議事録を受けて早期利上げへの懸念が後退し、NYダウの大幅下落を受けてドル売りが強まり、大きく円高へ振れて週末の10日(金)は107.68円で引けました。

今週は、これまで円安・ドル高を牽引してきたアメリカの長期金利が一転して大きく下げており、円相場が調整する可能性が出ています。FOMC議事録の内容からドル高けん制の思惑もあり、円売り・ドル買いの仕掛けが投機筋もできにくくなっています。106~109円のレンジを想定。

ドル/円