調整局面をどう乗り切るかが投資成績を大きく左右する

このように、調整局面にあるにもかかわらず「バイ・アンド・ホールド」を続けていると、せっかく上昇局面で積み上げた利益の多くを失いかねないばかりか、場合によっては利益を全額吐き出して損失に転じてしまうこともあります。

ですから、調整局面では、上昇局面で得た利益を「いかに減らさずに乗り切るか」が最も重要になってきます。
そのために役立つのは、やはり株価のトレンドを見極めることです。そして、そのトレンドは日経平均株価やTOPIXなどの株価指数ではなく、保有している個別銘柄ごとに見極めていく必要があります。ライブドア・ショック前後の事例でも説明しましたが、株価指数のトレンドと個別銘柄のトレンドは必ずしも一致しないからです。

下降トレンド転換で持ち株は一旦売却

では、具体的にどのようにすればよいのかを説明していきましょう。

上昇局面から調整局面へ移行する際には、株価のトレンドが上昇トレンドから下降トレンドへ転換します。そこで、下降トレンドの転換を確認でき次第速やかに保有株の売却をすることが望まれます。

日足チャートでトレンドを把握すれば、高値圏で保有株を売却することができますが、トレンド自体が頻繁に転換してしまいますし、「ダマシ」も結構起こります。下降トレンドに転じたと思って持ち株を売却したら、再び上昇トレンドに復帰したのであわてて買い直す・・・ということもよく生じます。

こうした面倒を回避したいのであれば、週足チャートでのトレンド把握でもよいと思います。保有株の売却タイミングは日足チャートを用いた場合よりも遅く(つまり、売却時の株価は低く)なってしまいますが、長期的な上昇トレンド下では、それでも十分な利益を確保できます。そして、日足チャートよりもトレンド転換の頻度が少ないため、下降トレンドに転換したときの信頼度が高くなります。

調整局面であっても株価チャートのチェックは忘れずに

調整局面に入り、保有株を売却したらそれで終わり、というわけにはいきません。長期的な上昇トレンドが続いているならば、調整局面がどこかで終わるからです。次の上昇局面に移行する兆候を見逃さないようにしないと、調整局面での損失を抑えることができても、今度は次の上昇局面で乗り遅れてしまうことになります。

そこで、調整局面入りして保有株を売却した後も、定期的に株価チャートをチェックしておきましょう。調整局面では上昇トレンドにある銘柄が少ない状態が続きますが、再び上昇局面に転じるタイミングでは、個別銘柄が次々と上昇トレンドに転換していきます。この変化にいかに早く気づき、新たに買いを入れることができるかがポイントです。

ちなみに、筆者は日々およそ250銘柄の株価チャートをチェックしていますが、その際の観測では、直近では5月22~23日ごろから上昇トレンド転換銘柄が増え始め、5月最終週が終わったころはかなりの銘柄が上昇トレンドに転換しました(日足チャートベース)。

なお、相場全体(日経平均株価やTOPIXなどの株価指数)が調整局面にあるとしても、保有株全てを売却する必要はありません。保有株のうち、上昇トレンドにある銘柄については、保有を続けて問題ないのです。強い銘柄というのは、相場全体が軟調であっても株価が上昇を続けます。そうした銘柄を売却してしまうのは、逆にもったいないことです。