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外国人投資家の売り増加(窪田真之)
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

外国人投資家の売り増加(窪田真之)

2017/4/5
3月後半から外国人の日本株売りが増加し、日経平均は下落。外国人の売りが続く間、日経平均の調整が続く見込み。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 3月後半から外国人の日本株売りが増加し、日経平均は下落。外国人の売りが続く間、日経平均の調整が続く見込み。
  • 4月後半に本格化する3月決算で景気・企業業績の改善が続いていることが明らかになれば、日経平均は下げ止まると予想。

(1)3月後半から外国人投資家の売り越しが増加

昨年11-12月に、外国人の日本株買いで日経平均は急騰しましたが、今年に入ってから外国人の買いは止まり、3月後半から売り越しに転じています。

日本株を動かしているのは、外国人投資家です。外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売ってくる傾向があります。外国人の売りにより、日経平均は足元、調整が続いています。

「外国人」と一口に言っても、いろいろな種類があります。日本株の上昇初期に、先物を使って素早く動くヘッジファンドもあれば、上昇が始まってかなり時間がたってから上値を追って買う外国人もいます。

一般的にヘッジファンドの動きが速く、海外の年金基金や政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)の動きが、その後に続きます。

昨年後半の日経平均の上昇は10月に外国人が買い越しに転じてから始まっています。初期は、ヘッジファンドの先物買いが中心でしたが、11月後半に入り、一部年金基金や政府系ファンドの動きも出た模様です。その頃には、現物中心に日本株にバスケット買い【注】を入れる外国人の動きが見られました。

【注】バスケット買い:数十銘柄の買い注文を一括して出すこと

ただし、12月後半から、外国人の買いの勢いは低下しました。2017年に入ってから、徐々に売り越しになり、3月後半から売り越しが拡大しています。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):
2016年1月4日―2017年4月4日

(出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成)
(注:上のグラフの外国人売買で、棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買越、
下(▲の方向)に伸びているのは売越を示す)

(2)裁定買い残高は中立水準

東京証券取引所が発表した3月24日現在の裁定買い残高は1兆7,832億円でした。詳しい説明は、割愛しますが、裁定買い残高の変化は、主に、外国人投資家の投機的な日経平均先物の売買動向を表します。外国人の先物買いが増えると、裁定買い残高が増加し、外国人の先物売りが増えると、裁定買い残高が減少します。

日経平均と裁定買い残高の推移:2007年1月4日―2017年4月4日

(出所:東証データから楽天証券経済研究所が作成)

裁定買い残高の変化は、私がファンドマネージャーで先物売買をやっていた時に見ていた、重要な需給指標です。以下の点に注目しました。

  • 裁定買い残高が継続して増加する局面は、先物は「買い」で攻める
  • 裁定買い残高が継続して減少する局面は、先物は「売り」で攻める
  • 裁定買い残高が上限にちかづいている時は、売りのタイミングをはかる
  • 裁定買い残高が下限にちかづいている時は、買いのタイミングをはかる

現在、裁定買い残高は、1.8兆円で、過去5年のレンジ(0.4―4兆円)の真ん中にあり、3月24日までで見ると、増加トレンドも減少トレンドも出ていません。現時点で、裁定買い残高から得られる投資のインプリケーションは、「中立」です。

(3)需給動向から考えられる短期見通し

日経平均は、外国人が売ると下がり、外国人が買うと上がる傾向が、20年以上続いています。足元、3月後半から外国人の売りが増えていることから、短期的には下げが続く可能性もあります。ただし、裁定買い残高に現時点では大きな変化は見られず、外国人が継続的に売ってくるのか、わかりません。

4月後半から本格化する3月決算は良好と考えられます。短期的には、下値を警戒しつつ、好業績の割安株を買い増しするタイミングをはかっていくべきと考えています。

以下、裁定買い残高の意味について解説しますが、やや難解になりますので、専門的な説明にご興味のある方だけお読みください。

【ご参考】裁定買い残高の意味

裁定買い残高の変化は、主に外国人投資家による、日経平均先物の投機的な売買動向を表しています。外国人投資家が先物を買うと、先物が現物に対し一時的に割高になるので、裁定業者(主に証券会社)が、先物売り・現物買いの裁定取引を実行します。すると、裁定買い残高が増えます。

一方、外国人投資家が日経平均先物を売ると、先物が現物に対し一時的に割安になるので、裁定業者が先物買い・現物売りを実行し、裁定取引を解消します。すると、裁定買い残高が減少します。

今の日本株の短期的な動きを決めているのは、外国人です。とりわけ、足の速いヘッジファンドなどによる先物売買が、短期的な急騰急落に大きく影響しています。したがって、裁定買い残が増加するとき日経平均は上昇し、裁定買い残が減少するとき日経平均が下落する傾向が鮮明です。

裁定買い残高が大きい時は、外国人による先物の投機的買い残高が大きいので、何らかのきっかけで、外国人が投機的ポジションのアンワインド(売り埋め)に動くことを警戒していなければなりません。

裁定買い残高が1兆円を割っているときは、外国人の投機的買いポジションはほとんど整理され、逆に投機的な売りポジションが入っている可能性もあります【注】。

【注】裁定買い残高はゼロにはならない

裁定買い残高は、外国人の投機的な先物買いをきっかけに作られるものばかりではない。投機でない先物買い(投資信託の買いヘッジなど)も裁定買い残高を増加させる。裁定買い残高が1兆円を割れている時は、経験的には、外国人の投機的買いはほとんど整理されていると考えられる。

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