執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 株主優待は、自分で使う時、一番価値が高い。売却できる場合もあるが、その場合は、価値が大きく低下する。
  • 株主優待が魅力的で、最高益更新が予想されるビックカメラなどに注目。
  • 優待制度がなくても、ローソンのように配当利回りが高い銘柄には注目できる。

本レポートでコメントする銘柄

ダイヤモンドダイニング(3073)、イオン(8267)、ビックカメラ(3048)、ドトール・日レスHLDG(3087)、ローソン(2651)

(1)昨日のレポート内容の復習

今日のレポートは、昨日のレポートの続編となります。まず、昨日のレポートに書いた重要ポイントを復習します。

  • 2月決算銘柄の株主優待を得るには、2月23日(木)までに株を買わなければならない。
  • 最小投資単位(100株が多い)で投資すると、優待獲得の効率が最も良くなる。株主優待制度では、小口(個人)株主を優遇。大口投資家には不利。
  • 自社商品や自社製品を贈呈する株主優待に魅力的な優待が多い。
  • 株式投資である以上、株価が上昇することも下落することもある。
  • 優待の人気銘柄で、優待取りの買いで株価が急騰している銘柄は投資を避けた方が良い。2月の人気優待銘柄ではダイヤモンドダイニング株は避けた方が良いと考える。
  • 業績が悪化している銘柄は、株価が下がるリスクがある。
  • 優待内容は変更されることがある。最新情報の確認が必要。

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(2)今日、2月の優待投資について、追加でお伝えしたい内容

  • 自分で使う予定のある商品・サービスを選ぶべき→イオンを例に説明
  • 最高益更新が予想される企業に注目→ビックカメラ、ドトール・日レスHLDGを例に説明
  • 優待制度がなくても、配当利回りが高い銘柄は注目→ローソンを例に説明。

(3)優待券は、自分で使うのが、一番有利

外食業では食事券を、小売業ではお買い物券を、株主優待として贈呈する例が多いです。こうした優待券は、有効期限内に使用しないと失効しますので、有効期限に注意しましょう。

500円の券は、自分で使えば500円の価値があります。どうしても有効期限内に使えない場合は、売却することを考えます。インターネットや金券ショップで売却できる場合もあります(売却制限がかかっている優待券は売却できません)。ただし、売却価格は、額面を大幅に下回るのが普通です。

人気の優待券でも、500円券に対し、買い取り価格は400円程度が多く、人気のない優待券では200~300円で売れれば、いい方です。買い取りに応じてもらえない優待券もあります。有効期限が短すぎると、売れない可能性が高まります。

結論として、優待券は、自分で使うのが一番有利です。日常生活で普通に使うものを、優待品としている銘柄が有望です。さまざまな日用品から選択できる優待も使いやすいといえます。

また、株主優待券だけで支払いをする時は、お釣りが出ないのが普通ですから、1枚あたりの金額が小さい優待券の方が使いやすいといえます。

2月決算の優待銘柄で人気がある銘柄に、イオンがあります。投資の最小単位(100株)で投資した場合、2月末と8月末の株主に、「オーナーズカード」が優待券として送られます。

イオンで買い物する時に、このカードを提示し、現金・イオンのカードで支払うと、買い物金額の3%分【注】がキャッシュバックになる特典が受けられます。半年分の買い物金額の3%分が、半年ごとにまとめてキャッシュバックされます。

【注】保有株数が多くなると、割引率が高まります。詳細は同社HPで確認してください。

このキャッシュバックは、毎月20日・30日に実施される「お客さま感謝デー」の5%割引と、同時に使うことができます。ただし、同時に使えない割引もあります。キャッシュバックの適用について詳細は、イオンのHPで確認してください。

2月14日の株価1,667円で100株投資するには、166,700円必要です(売買手数料は除く)。これに対して、キャッシュバック対象となるイオングループ店舗での買い物が、1年間で100,000円ならば3,000円のキャッシュバックが得られます。1年間の買い物が500,000円ならば15,000円、1,000,000円ならば30,000円のキャッシュバックが得られます。イオンでの買い物金額が大きいほど、株主優待の価値が高くなる仕組みです。

イオンの優待の価値が高いか否かは、日常イオンでどのくらいの買い物をするかによって、決まります。

イオンへの投資の問題点は、本業の国内スーパー事業が、コンビニエンスストアとの競争で、苦戦していることです。同業のイトーヨーカ堂は既に、大規模なリストラ・退店を実施しています。

イオンは、大手スーパーで唯一競争力を保って生き残っていますが、将来コンビニとの競争でさらに業績が圧迫される懸念は残ります。

ただし、イオンには安定収益源となる、2つの部門があります。金融部門(イオンクレジット)と、不動産部門(イオンモール)です。スーパー部門の収益力は低下していますが、金融事業や不動産事業が、連結収益を支えています。株価の上値はあまり期待できませんが、優待を楽しむ銘柄としては投資していくことに、特に問題はないと考えています。

(4)最高益更新の小売り、外食業に注目

優待内容だけで、投資銘柄を選ぶと、株価が下落する業績不振銘柄に投資することもあり、注意が必要です。株式投資である以上、業績を見ることは、必要です。そこで、注目できるのが、最高益更新を予想している企業です。

ビックカメラは、今期(2017年8月期)の連結経常利益(会社予想)が、前年比5%増の242億円で、最高益を更新する予想となっています。優待内容が魅力的で、業績好調な銘柄として注目できます。

 

ビックカメラの株主優待(贈呈されるお買い物券の金額):100株保有する株主の場合

(単位:円)

保有期間 1年未満 1年以上2年未満 2年以上
2月末 2,000 2,000 2,000
8月末 1,000 2,000 3,000
合計 3,000 4,000 5,000

(出所:同社HP)

ビックカメラは、上記の表でわかる通り、株主となってからの期間が長くなると優待が増える形としています。買い物券は、ビックカメラの店舗だけでなく、インターネット販売でも使えます。同社は、家電だけでなく、食品や雑貨を幅広く取り扱っているので、買い物券の利用価値は高いと思います。

2月14日の株価1,057円で100株投資するのに、105,700円必要です(売買手数料を除く)。105,700円の投資額に対し、投資期間に応じて、3,000-5,000円の優待券が得られるのは、魅力があると考えます。

ドトール・日レスHLDGは、2月末の株主に対し、1,000円相当の飲食カードを贈呈しています。今期(2017年2月期)の連結経常利益(会社予想)が、前年比11%増の105億円で、最高益を更新する予想となっています。優待取りの効率がいい銘柄とは言えませんが、業績好調な銘柄として注目できます。

(5)優待制度はなくても、配当利回りの高い銘柄は魅力的

コンビニエンス大手ローソンは、株主優待を実施していません。同社は、株主還元は、配当金によって行うことを基本としています。2月14日の株価8,180円で見ると、年間の配当予想配当利回りが、3%あり、魅力的です。

今期(2017年2月期)の連結経常利益(会社予想)は、前年比5%増の730億円で、最高益を更新する予想となっています。

今期は、昨年8月の中間決算では1株当たり125円の中間配当金を出しました。今月末には、2月本決算の配当金(1株あたり125円)を受け取る権利が確定する見込みです。