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業績好調でも建設・土木株の上値が重い理由
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

業績好調でも建設・土木株の上値が重い理由

2017/2/9
安藤・間が、8日14時に第3四半期(10-12月期)決算を発表しました。第1-3四半期(4-12月)の経常利益は前年比63%増の266億円と、同期間で最高益を更新しました。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 建設・土木業界は、仕事量が豊富な中、粗利の改善が続いているため、業績は好調である。大手ゼネコンは軒並み最高益を更新してきている。
  • 足元の業績が好調でも、2020年以降に仕事量が減るリスクが意識されているため、建設・土木株の上値は重くなっている。

(1)安藤・間(1719)

安藤・間が、8日14時に第3四半期(10-12月期)決算を発表しました。第1-3四半期(4-12月)の経常利益は前年比63%増の266億円と、同期間で最高益を更新しました。

好調な業績発表を受けて、同社株は発表後に売買高を伴って上昇し、8日は前日比28円(3.5%)高の825円と、昨年12月1日の高値につら合わせとなりました。8日終値で見たPER(株価収益率)は6.4倍と低く、株価は割安と考えられます。

安藤・間は、通期(2017年3月期)の経常利益見通しを、前年比46%増の340億円(最高益)のまま据え置きましたが、第3四半期までで既に78%を達成しています。建設・土木業界は、季節的に第4四半期(1-3月期)の利益水準が高くなる傾向があることから、今期の業績は、上ぶれ含みであると予想されます。

(2)鹿島(1812)

鹿島が、8日12時に第3四半期(10-12月期)決算を発表しました。第1-3四半期(4-12月)の経常利益は前年比61%増の1,083億円と、同期間で最高益を更新しました。

業績は好調でしたが、同社株は発表後に売買高を伴って売られ、8日は前日比24円(3.1%)安の754円となりました。8日終値で見たPER(株価収益率)は10倍と低く、株価は割安と考えられます。

鹿島は、通期(2017年3月期)の経常利益見通しを、前年比9%増の1,240億円(最高益)のまま据え置きました。前期(2016年3月期)の経常利益が431%増益であったことと比べると、増益率が大幅に低下する見通しとなっていることが、嫌気されたと考えられます。

ただし、第3四半期までで既に通期計画の87%を達成しており、今期の業績は上ぶれ含みであると推測されます。通期経常利益の市場予想(アイフィス・コンセンサス予想)は、前期比17%増の1,331億円となっています。

(3)大成建設(1801)

大成建設が、8日14時に第3四半期(10-12月期)決算を発表しました。第1-3四半期(4-12月)の経常利益は前年比40%増の1,096億円と、同期間で最高益を更新しました。

業績は好調でしたが、同社株は発表後に売買高を伴って売られ、8日は前日比9円(1.1%)安の791円となりました。8日終値で見たPER(株価収益率)は12倍と低いものの、昨年11月8日に起こったJR博多駅(福岡市博多区)近くの道路陥没事故の賠償問題が、未解決であるため、投資しにくい状況です。

博多の道路陥没事故では、事故原因となった工事を施工した共同企業体(JV)代表の大成建設に、賠償義務が発生すると考えられています。ただし、損害額などが未確定であるため、現時点で業績予想に織り込まれていません。

大成建設は、通期(2017年3月期)の経常利益見通しを、前年比7%減の1,090億円のまま据え置きました。第3四半期までの経常利益が1,096億円で、既に通期計画の100.5%を達成しています。賠償問題を考えないならば、今期の業績は上ぶれ含みであると推測されます。通期経常利益の市場予想(アイフィス・コンセンサス予想)は、前期比1%減の1,167億円となっています。

賠償額が確定しないままでは、投資評価が難しい状態です。

(4)業績好調でも買われにくい建設・土木株、4つのリスク

まだ、10-12月決算を発表していない大林組(1802)・清水建設(1803)も、業績は好調と予想されます。建設・土木業界は、過去3年にわたり、仕事量が豊富な中で建設・土木粗利が改善し、業績好調が続いています。

それでも、株価の上値が重くなっているのは、以下の4つのリスクが意識されているためと考えられます。

  • 2020年以降、仕事量が頭打ちになる可能性があること

2020年まで仕事量は豊富ですが、その後、頭打ちになる可能性があります。仕事量が減れば、過当競争が続く、元の体質に戻るリスクもあります。2020年はまだ3年先で、今からそれを議論するのは早すぎるかもしれません。ただし、そういうリスクがあることがわかっているため、建設株は、PER(株価収益率)で高い倍率に買われにくくなっています。

  • 低めの業績予想リスク

今期(2017年3月期)は、前期(2016年3月期)に続き、建設業の業績は好調です。ところが、建設業には、利益がたくさん出ることを外部に知られたくない体質があります。前期も今期も、期初には非常に低い業績予想を出しておいて、後から上方修正を繰り返しています。

来期(2018年3月期)も、期初は、非常に低い業績予想をたててくる可能性があります。今期業績が好調でも、来期について減益の予想を出されると、株価が嫌気して下がる可能性があります。来期の業績予想が会社から出される、5月ころは要注意です。

  • 東京都関連の公共工事で、価格が高過ぎると批判が出ていること

東京オリンピックや、豊洲(築地新市場)関連の工事で価格が高過ぎると問題視する動きが出ています。一部に、価格の決め方が不適切でなかったかと疑問の声があります。こうしたニュースフローが、ゼネコン業界にネガティブに響いています。

近年、民間工事も公共工事も、採算の改善が進んでいます。ゼネコン各社が施工能力いっぱいの中で、選別受注をしてきた効果と考えられます。ただ、一部の公共工事については、十分な競争が働いていないとの批判もあります。

  • 未解決の賠償問題

大成建設では、昨年11月8日に起こった博多陥没事故の賠償が未解決です。また、三井住友建設(1821)など、マンションくい打ち工事の不正問題での賠償が未解決の会社もあります。

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