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トランプ会見は期待外れ期待が失望に変わるリスクも
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

トランプ会見は期待外れ期待が失望に変わるリスクも

2017/1/12
日本時間で1月12日の午前1時過ぎに、トランプ次期大統領が記者会見を行った。具体的な経済刺激策に触れず、市場をやや失望させる内容だった。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 日本時間で1月12日の午前1時過ぎに、トランプ次期大統領が記者会見を行った。具体的な経済刺激策に触れず、市場をやや失望させる内容だった。一部、保護主義の暴言が復活していたことも懸念される。
  • トランプノミクスへの期待と、世界的な景気回復を背景に上昇してきた日本および世界の株だが、トランプ氏の大統領就任日(1月20日)が近づくにつれて、期待が現実に近づくか失望に変わるか、慎重にみきわめようとのムードが広がる可能性がある。

(1)注目されたトランプ会見では、具体的な経済政策の表明なし

日本時間で1月12日の午前1時過ぎに、トランプ次期大統領の記者会見がありました。トランプ氏は、当選後これまで記者会見を全く開かず、ツイッターで短い文字数で一方的に意見発信するだけでした。今回、大統領選に勝利してから初めての記者会見となり、きわめて注目が高かったが、具体的な景気刺激策の表明がなく、やや失望される内容でした。

市場が期待していたのは、当選直後に行った「勝利宣言」のような前向きな内容でした。勝利宣言では、①米景気を強くする経済政策(公共投資・減税)の実施、②世界各国との良好なパートナーシップの構築、③米国民の一致団結などを力強く話し、トランプ氏の市場評価を一気に高める内容でした。

今回の会見では、雇用創出に力を入れることを強調したものの、具体的な景気刺激策には触れませんでした。トランプ氏は、ツイッターを通じて米自動車大手フォードがメキシコに工場を移転することを批判していましたが、批判を受けてフォードがメキシコ移転を撤回したことを、「すばらしいニュース」と自賛しました。保護貿易の強硬策をちらつかせることで、世界各国の大企業に、米国に積極投資する方針を述べさせていることを手柄として自慢するだけでは、前向きな経済政策とは言えません。

大統領当選前に語っていた保護主義の「暴言」が、一部復活していたことも、気になります。「メキシコに工場を移転して米国へ輸出する企業に高い関税を課す」「メキシコ国境に壁は必ず作る。1年や1年半も待てない。費用はメキシコに払わせる。直接支払いになるか、関税による徴収になるかはわからない」「貿易では良い取引ができていない。中国との貿易不均衡で損失が出ている。日本・メキシコ・その他ほとんどの国に対しても良い取引ができていない」などの発言がありました。

会見では、経済政策への言及が少なかった代わり、米メディアの批判に対する反論に重点が置かれていました。

トランプ氏は、ロシアが大統領選挙期間中に、米国にサイバー攻撃した可能性を認めたものの、ロシアがトランプ氏を助けるために動いたとの見方は否定し、ロシアと一切取引を行っていないと述べました。また、一部メディアが、「ロシアが、トランプ氏に不利になる情報も握っている」と報じたことについて、「まったくのでたらめ」と否定しました。

また、自身が経営する不動産会社の経営権を、二人の息子に譲ると述べ、不動産経営と大統領の職権で利害相反が起こる可能性も否定しました。

(2)「トランプ・ラリー」と言われているが実態は「世界景気回復を買う相場」

トランプ氏の会見直後に、一時、米国株が下がり、ドル安(円高)が進みました。経済刺激策への言及がなかったことが嫌気されたからです。ただし、その後、株も為替(ドル)も持ち直しました。日本時間で1月12日午前6時半時点で、1ドル115.33円となっています。

トランプ氏当選から、世界景気の回復色が強まり、世界株高が始まっています。今の株高は、トランプ氏に期待する「トランプ・ラリー」と呼ばれていますが、今回の記者会見を見る限りでは、トランプ氏の政策には、期待よりも不安が大きいと再認識しました。

世界景気の回復を買う流れは、簡単には終わらないと考えていますが、トランプ氏の現実の姿が見えてくることが、株式市場にとってリスク要因であると考えます。

今回の会見では、為替(ドル高・円安)への言及はありませんでした。日本との貿易に絡んで、円安批判が復活すると、日本株には悪影響が及びます。

(3)日経平均の過熱感は低下

日経平均日足:2016年8月10日―2017年1月11日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

日経平均は、トランプラリーの急騰で12月中旬には過熱感が高まり、警戒されました。ただし、12月中旬以降、ボックス(横ばい)圏で推移していることから、過熱感は、足元低下しています。

25日移動平均線との上方かい離率は、12月13日に6.3%まで開き、短期的な上昇ピッチの速さが警戒されましたが、足元は1.1%に縮小しています。

12月15日に、東証一部の騰落レシオ(25日移動平均)が、過去最高水準の165.56まで上昇したことが話題になりましたが、それも、足元121まで低下しています。

騰落レシオ(東証一部・25日移動平均線)の推移:2012年1月4日―2017年1月11日

(出所:日経QUICKより作成)
(注)騰落レシオ(25日移動平均線):東証一部の短期的な過熱/売られ過ぎを測る指標、150を越えると短期的な過熱感が強く、60を下回ると短期的な売られ過ぎと解釈する。

トランプ氏の大統領就任が近づくにつれ、再び、日経平均が乱高下する局面が生じる可能性があり、注意を要します。日本の景気・企業業績の回復色が強まることが強材料、トランプ氏の暴言復活への懸念が弱材料になると、考えます。

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