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2017年スタート・今年は「もめない相続」の準備をしよう(その1)
足立 武志
個人投資家なら誰もが知っておきたい 「相続」の基礎知識
誰もがいつかは経験する相続。相続をスムーズに進め、効果的な相続対策を実行するために最低限知っておきたい知識や情報を厳選して解説。公認会計士・税理士かつ個人投資家だからこそお伝えで…

2017年スタート・今年は「もめない相続」の準備をしよう(その1)

2017/1/13
いよいよ2017年がスタートしました。相続税の基礎控除額引き下げもあり決して他人ごとではなくなった相続の問題。相続でもめると本当に悲惨な状況になります。今回は、相続でもめると一体どんなデメリットがあるのかをまとめてみました。
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いよいよ2017年がスタートしました。相続税の基礎控除額引き下げもあり決して他人ごとではなくなった相続の問題。相続でもめると本当に悲惨な状況になります。今回は、相続でもめると一体どんなデメリットがあるのかをまとめてみました。

「家督相続」から個々の権利意識が重視される時代に

明けましておめでとうございます。2017年も、引き続き個人投資家の皆様はじめ多くの方に、有益な知識・情報の提供に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

実際に相続の現場に触れていて感じるのが、「相続でもめることは非常に多い」ということです。

一昔前は、「家を継ぐ」というように、長男が相続財産はもとより、残された家族の面倒やお墓の維持、祭祀の取り仕切りなど全てを引き継ぐことがいわば当たり前でした。つまり、遺産を長男が全て相続するというのは、財産を長男が独り占めするという意味ではなく、「家」や「家族」を守るための正当な手続きだったのです。

しかし、時代は移り変わります。長男が財産を相続するという「家督相続」という制度も戦後すぐに廃止され、今は相続人個々の権利意識の高まりが非常に強くなっています。どの相続人も、法律で定められた分はしっかりもらいたいと思うのが当然の時代になったのです。

なぜ相続でもめるのか?

ところが、財産の全てが現金や預金など簡単に分割できるようなものなら良いのですが、日本では相続財産の多くを土地・建物といった不動産が占めます。

例えば自宅を複数の相続人でスパッと分割することはできません。「共有」という形であれば複数の相続人で保有することは可能ですが、不動産の共有は後々のトラブルの温床になります。共有はできる限り避けるべき、というのが筆者含め相続にかかわる専門家の共通の見解です。

また、中小企業の社長が亡くなった場合は、社長が保有していた自社株式を後継者1人に集中して持たせないと、議決権が分散してしまい会社経営がうまく行かない恐れが高まってしまいます。中小企業の自社株式を法定相続分どおりに複数の相続人に保有させるなど、会社経営上はあってはならない話なのです。

このように、法定の相続分どおりに遺産を分割できればよいのですが、そうすることができない処々の事情があるため、相続人一人ひとりが権利を主張しあい、もめる相続となってしまうのです。

もちろん、相続人間の仲が以前から悪ければ、相続でも当然もめることになるであろうことは想像に難くありません。

相続でもめるとどうなるのか?

相続が起こった場合、遺産を相続人に分割する方法は主に2つです。

有効な遺言が残されていた場合は、その遺言に記載されている内容に沿って遺産が相続人(相続人以外の人が含まれる場合もあります)に分割されます。

遺言がない場合は、相続人どうしの話し合い(これを「遺産分割協議」といいます)により、誰がどの財産を相続するかを決めていきます。遺言の内容によりますが、遺言があっても相続人全員が遺言の内容と異なる遺産分割協議をすることも可能です。

このように、相続人に遺産を分割する方法は、「遺言」か「遺産分割協議」です。では、相続財産をめぐって相続人間でもめた場合はどうなるのでしょうか。

まず、有効な遺言が残されていれば、その内容に従って遺産が相続人に分割されますから、もめていたとしてもとりあえず遺産分割はできます。

しかし、遺言が残されていなければ、遺産分割協議をしなければなりません。でも、相続人の間で仲が悪かったり、誰がどの遺産を相続するかでもめている場合は、なかなか遺産分割協議がまとまりません。まとまらなければいつまでたっても遺産分割はできません。

遺産分割協議がまとまらないと、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」といった相続税上の特典を用いることができません。相続税の申告期限は相続発生後10カ月以内です。遺産分割協議がそれまでにまとまらなければ、余分な税金を納めなければならなくなってしまうのです。

「調停」となれば相続人間の不仲は免れない状態に

そこで、遺産分割協議がまとまらない場合は相続人の申し立てにより「調停」という手続きをすることができます。これは家庭裁判所にて、調停委員が間に入り、遺産分割をまとめようというものです。

ただ、調停に進んだ場合、遺産分割がまとまったとしても、多くは法定相続分に近い形での分割となります。調停では相続人それぞれが弁護士をつけるのが普通ですが、弁護士へ支払う報酬もかなり高額になります。結局、調停などせず法定相続分に近い形で遺産分割協議をまとめていた方が、相続人それぞれの取り分も多かったのに・・・という話になってしまいます。

何よりも、遺産分割協議がまとまらず調停にまで発展した場合は、相続人間の仲がかなり悪くなることを覚悟しなければなりません。調停では、相続人それぞれが自分の意見を主張することになります(主張しなければ他の相続人の意見が尊重されてしまいます)。主張のぶつかり合いで険悪な雰囲気になってしまうことはなかなか避けられないからです。

「ほったらかし」では何も問題を解決できない

また、遺産分割協議をせずに「ほったらかし」とするケースも良く見受けられます。

とりあえず預金は法定相続分で分割するものの、スムーズな分割が難しい不動産については、未分割の状態で何もせず放っておくのです。そのため、相続が発生しても相続登記がされず、既に亡くなった方の名義のままになっている不動産は意外と多いものです。

しかし、これでは問題を先送りにしているだけで、何も解決できていません。これにより多大な迷惑を被るのは、実は次世代以降の人たちなのです。

未分割の状態とは、法的にいえば「法定相続分の割合で共有」している状態となります。これをそのまま何十年も放っておくと、今度は共有持ち分を所有している相続人に相続が発生し、共有持ち分が相続人の相続人の共有となり、どんどん共有者が増えていってしまいます。これが続くと、一体この不動産を誰がどれだけ保有しているのか、把握することさえ不可能になってしまいます。

所有者がはっきりと決まっていなければ、不動産を処分することもできません。共有持ち分の場合、共有者全員の同意がなければ売却できないからです。また、売却するには相続登記が必要です。売却して換金することもできずに「塩漬け」になったまま、固定資産税や相続税だけはしっかり課税される・・・そんな事態は避けたいものです。

次回は、相続でもめないために、事前にどのような準備をしておくべきか、そしてその際にどのような点に注意すべきかについてお話しします。

<おしらせ>

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