執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 仏大統領選は親EU派マクロン氏が勝利、朝鮮半島有事のリスクもやや低下。企業業績の改善と政治不安の緩和で日経平均上値トライの環境が整いつつある。
  • 4月の米雇用統計が強く、1-3月の米景気減速は一時的との見方が広がる。米FRBは6月利上げを目指すが、トランプ政権がそれを許容するか不明。

(1) ボックス圏に戻った日経平均、次は上値トライか

5月5日の米国市場で、CME日経平均先物(6月限)は19,705円まで上昇しました。5月2日の日経平均終値19,445円を、260円上回る水準です。GW明けの日経平均は、上昇して始まると予想されます。

日経平均週足:2016年1月4日―2017年5月2日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

現在発表中の3月決算は好調で、日本企業の業績回復色が鮮明になりつつあります。そろそろ、日経平均は業績相場入りし、上値トライをしていいタイミングと考えています。

東京市場がゴールデンウイーク(GW)休みで閉まっている間、海外株式市場は上昇、為替はやや円安に動きました。世界の政治不安がやや緩和したこともあり、日経平均が上値トライする条件が整いつつあると考えられます。日経平均の20,000円乗せが視野に入ってきたと考えています。

(2)GW中の海外市場のニュース

以下の通り、日本株にとって好材料が多かったと言えます。

仏大統領選は、事前予想通り、親EU派のマクロン氏が勝利

5月7日(日)に行われた仏大統領選、決戦投票の結果が、日本時間の5月8日朝に判明しました。決戦投票は、親EU派のマクロン氏と、反EU派のルペン氏の対決となりましたが、事前予想通り、マクロン氏が勝利しました。

朝鮮半島有事のリスクはやや低下

米国・中国・ロシアが連携して北朝鮮に圧力をかけ始めたこと、米国が北朝鮮との対話路線に含みを持たせたことから、朝鮮半島有事のリスクはやや低下したと考えられています。

「米景気の減速は一時的」との見方が広がる

4月28日に発表された米1-3月GDP(季調済、速報値)が前期比年率0.7%増と、きわめて低い伸びに留まったことから、米景気失速の懸念が一時広がりました。消費の伸びが減速しました。ただし、1-3月に設備投資の伸びが加速していることは前向きにとらえられました。

日本のGW連休中の5月3日、FOMC(米金融政策決定会合)の結果が発表されました。事前予想通り、政策変更はありませんでした。ただし、注目を浴びたのは、FOMC声明文の中の「1-3月の成長鈍化は一時的と見なす」という表現です。米景気は好調で、6月利上げを示唆した内容と、受け止められました。

さらに、GW中の5月5日に発表された、4月の米雇用統計が強かったことも後押しし、米景気に強気の見方が広がりました。

ドル高、米国株高進む

5月3日に発表された米FOMC議事録に「景気減速は一時的」の文言があり、それが6月利上げを示唆するものととらえられたことから、一時、1ドル113円台まで円安が進みました。米景気好調との見方が広がったことから、米国株(NYダウ・ナスダック)ともに、上昇しました。

ただし、為替については、4日に不安材料も出ました。米商務省が4日発表した3月の米貿易収支では、対日貿易赤字が前月比で33%増えました。これを受けて、ロス商務長官が、「米国は膨張した赤字にもはや耐えられない」とコメントを発表し、日本を批判しました。

トランプ大統領は、低金利・ドル安を望んでいることは明らかで、いつ、トランプ大統領の円安批判が復活するか、予断を許さない状況です。トランプ政権からの政治圧力によって、6月の米利上げができず、また、円安進行が問題視されるようになると、円高・株安が復活するリスクには注意が必要です。

(3)景気敏感株に注目

3月決算の発表がピークを迎えつつあります。半導体関連株・設備投資関連株などの景気敏感株に、決算発表直後に、好決算を好感して上昇する銘柄が増えていることに注目しています。

世界の政治不安のネタは尽きませんが、当面、好業績を発表する景気敏感株に注目できる局面が続くと考えています。

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