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2016年の世界10大リスク
ハッサク
ハッサクのなるほど為替超入門
為替ディーリング歴22年。現役時代は行内で為替業務を社員に教示するなど、為替のイロハを熟知。「お金は、戦後最大の成長産業」と言い切るハッサク。「新聞などの身近な情報で為替分析」が…

2016年の世界10大リスク

2016/1/27
今年の為替相場を予測する上で年間の重要日程を押さえておくことは年初めの必要な作業というお話をしました。そしてその作業に加えて政治要因を加味したグローバルリスクを考えておくことも重要な作業のひとつです。
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2016年の世界10大リスク

今年の為替相場を予測する上で年間の重要日程を押さえておくことは年初めの必要な作業というお話をしました。そしてその作業に加えて政治要因を加味したグローバルリスクを考えておくことも重要な作業のひとつです。昨年も2015年のグローバルリスクについて触れましたが(第33回「今年の10大リスク」2015年1月28日付)、グローバルリスクは経済要因や政治要因を含めた、世界全体に影響を及ぼすリスクのことです。世界にはどのようなグローバルリスクが存在しているのか、そのリスクは大きくなるのかどうか、相場を予測するためにも把握しておく必要があります。そしてあるグローバルリスクが発生した場合、為替、株式、金融市場にどの程度の影響を与えるのか、年初めに考えておくことはその後の相場を予測する上でも非常に役に立ちます。そこで参考になるのが専門家が予測するリスクです。

ユーラシア・グループ「2016年世界10大リスク」

マーケットで最も注目されているのが、米国にある政治リスクの調査会社ユーラシアグループ(イアン・ブレマー社長)が毎年年初に発表している「世界の10大リスク」です。情報自体は有料ですが、数日たつと新聞やネットで概要が公開され、またTVニュースでも特集されるので、それらを参考にすることが出来ます。「2016年の世界10大リスク」は以下の通りです。

ユーラシア・グループ  「 2016年世界10大リスク 」

  • 同盟の空洞化
  • 閉ざされた欧州
  • 中国の存在感
  • 「イスラム国」と支援者
  • サウジアラビア
  • 科学技術者の興隆
  • 予測できない指導者たち
  • ブラジル
  • 十分でない選挙
  • トルコ

イアン・ブレマー氏は今回の10大リスクについて、「同盟の空洞化」をリスクの第1位に挙げた理由をインタビューで述べています。イアン・ブレマー氏は、これまでアメリカの単独主義的な行動が世界の地政学的リスクの火種になると分析してきましたが、今年はそうしたアメリカの単独主義がヨーロッパ諸国との同盟を弱体化させ、更に大きなリスクになると主張しています。実際、2015年の動きを見てみますと、イギリスは中国が提唱するAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立に際し、アメリカに相談せず中国との経済関係を強化しました。また、フランスは同時多発テロ事件で中東での軍事行動を指揮する国を求めたが、アメリカは同調しなかったためロシアに接近し、ドイツが難民問題で頭を悩ませた時、アメリカの対応が不十分だったため、ドイツはトルコに接近しました。このように欧米の同盟関係が揺らいでいる現象は既にもう見られています。2016年は更に弱体化し、世界全体に大きな影響を及ぼすとの予測です。欧米の同盟関係の弱体化によってシリアやイラクの問題、サウジとイランの衝突などの問題に対処することが出来ず、中東の地政学リスクは今後さらに悪化するだろうと述べています。今年のアメリカは大統領選を控えているため、国内で勢力が分断されています。欧米との同盟関係をどうしたいのか、考える余裕がないかもしれません。また、その隙を狙って様々な事件・出来事が世界で起こりやすくなるかもしれません。

インタビューでブレマー氏が話していた内容で興味深かったのは、第3位のリスクの「中国の存在感」です。同氏は、「良くも悪くも中国の影響力は巨大になっているが、リスクは中国国内にあるのではない。中国は政府も社会も安定しているため、仮に問題が発生しても中国政府は問題に対処するだけの対策も能力もある。中国の影響を受けるのは他の国々であり、その影響は非常に大きく、状況次第で主要な貿易・金融の相手国の市場を不安定にしてしまう。」と述べています。つまり、中国がリスクではなく、中国が巨大なため、問題が生じた時に他国に与える影響が大きくなることがリスクだと主張しています。2016年に入って人民元安、上海株安で世界の市場が大きく揺れていますが、世界のマーケットが動揺しても、中国そのもののリスクは小さく、揺さぶられた他国の影響が大きくなるという見方は、非常に興味深い分析です。

PHP総研のPHPグローバル・リスク分析

日本でも毎年、PHP総研PHPグローバル・リスク分析を発表しています。毎年12月に専門家集団が実名入りで分析し発表しています。皆さんがご存知の専門家も多いのではないでしょうか。このレポートは発表と同時にネットで見ることが出来、また日本への影響にも触れているため参考になります。PHP総研が発表した2016年版10大リスクは以下の通りです。

2016年PHPグローバル・リスク分析  2015年12月

Global Risks 2016

  • 中国経済悪化と国際商品市況低迷に挟撃されるアジア中進諸国
  • 止まらない中国の海洋進出が招く緊張の増大と拡大
  • 深まる中国依存と主体思想の狭間で揺れ動く北朝鮮
  • テロと移民問題がもたらすEU の亀裂と反統合の動き
  • グローバル化するISIL およびその模倣テロ
  • 加速するサウジアラビアの国内不安定化と原油市場の混乱
  • 地域覇権を目指し有志連合内で「問題児化」するトルコ
  • 選挙イヤーが宙づりにする米国の対外指導力
  • 金融主導グローバル化の終焉で幕が開く、大企業たたきと「P2P 金融」時代
  • 加速するM2M/IoT が引き金を引くサイバー脅威の現実化
(出典:PHP総研)

PHP総研は、ユーラシア・グループよりも1カ月早く、前年の12月に発表していますが、やはり、中国、テロ、ISIL(イスラム国)、サウジアラビア、トルコなど共通するリスク項目は多いです。しかし、アジア情勢についてはPHP総研の方が詳しく分析しています。また、第10位の「サイバー驚異の現実化」については、ユーラシアグループは触れていませんが相当懸念されるリスクです。このリスクは突然起こり、一瞬にして重大な危機をもたらす可能性があります。昨年、日本へのサイバー攻撃を防衛する専門家のドキュメンタリー番組が放映されていましたが、大変な仕事にかかわらず、日本は専門家が非常に少なく手薄になっていることに脅威を覚えました。そのカリスマ的専門家はサイバー攻撃をかなり防衛していましたが(防衛プロセスも放映)、もう限界だと言っていたのが印象的でした。金融市場も例外ではありません。マーケットの投資家はサイバー攻撃などの突発的出来事を予測することも避けることも出来ませんが、現実になるかもしれないということを頭に入れておく必要があります。

PHPグローバル・リスク分析の詳しい内容はネットで調べることができます。項目だけ一覧するだけでも、専門家はこのように見ているのだと分かるため参考になります。今年は項目の説明も箇条書きになっており、かなり読みやすくなっています。

このように専門家が予測するリスクを知っておくと、自分が漠然と感じていた、あるいは予測していたリスクについて焦点を当てることが出来ます。そうすると新聞やニュースの注目度合いが変わってくると思います。この事件は小さな事件だが、大きく発展する可能性があるのではないか、あるいはこのニュースはあのリスクに関わってくるのではないかと考えるようになり、新聞やニュースの読み方・見方が変わってくると思います。そしてその読み方・見方・考え方を繰り返し行うことによって世界の大きな流れを捉えることが出来、相場シナリオの予測に反映することが出来るようになってきます。是非、試みてください。

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