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相続対策の万能薬・生命保険の活用法とは?(その2)
足立 武志
知らなきゃ損する!今日から使える税金のキホン
難しくよくわからない「税金」。だれでもわかるように、知らないと損する情報を公認会計士・税理士かつ個人投資家がお届けします。

相続対策の万能薬・生命保険の活用法とは?(その2)

2016/10/21
「遺産分割対策」・「納税資金対策」・「相続税対策」全てにメリットがある生命保険。今回は遺産分割と納税資金準備の対策としてどのように活用していくのか、簡単な実例とともにご説明していきます
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「遺産分割対策」・「納税資金対策」・「相続税対策」全てにメリットがある生命保険。今回は遺産分割と納税資金準備の対策としてどのように活用していくのか、簡単な実例とともにご説明していきます。

財産は簡単に分割できるものばかりではない

相続が発生した場合、被相続人の財産を相続人で分けることになります。このとき、現金や預金、上場株式など分けやすいものであればそれほど問題にはなりませんが、不動産が相続財産に含まれていると問題が生じる可能性が高くなります。

特に、自宅不動産とわずかなキャッシュ、という場合は要注意です。例えば相続人が長男と次男の2人、8,000万円の自宅不動産と2,000万円のキャッシュが相続財産の全て、というケースを想定します。このとき単純にそれぞれを2分の1ずつ相続するとなると、キャッシュを1,000万円ずつと、自宅不動産を2分の1ずつという形になります。

このとき、キャッシュは2,000万円を2分の1ずつ分けることができますから問題ありません。しかし、自宅不動産を半分に割って4,000万円ずつ相続する、ということは現実問題として不可能です。

かといって不動産の「共有」は絶対に避けるべき

被相続人の生前、長男は親と一緒に暮らして色々と面倒をみていた、となれば、長男としては「キャッシュは全部次男が持っていってよいから自宅不動産は長男の俺がもらう」という気持ちになるでしょう。しかし次男の側からすれば、「2分の1ずつ相続できるはずだから、僕は(8,000万円+2,000万円)÷2=5,000万円もらえるはずだ。兄ちゃんが自宅不動産を全部相続するなら、差額の3,000万円を僕にくれなければ納得いかない」と思うのではないでしょうか。

こうした状況でよくやってしまいがちなのが、不動産の「共有」です。共有とは1つの不動産を複数の人たちで共同で所有することです。あまりに次男が「半分よこせ」とうるさいので、自宅不動産を「2分の1ずつの共有」としてしまうのです。キャッシュも2分の1ずつ、自宅不動産も2分の1ずつとなり、これで問題解決、と思ってしまいがちですが、不動産の共有は絶対に避けるべきことの1つです(共有の問題については非常に重要なので、別の回に改めてご説明します)。

ここで役に立つのが生命保険を使った遺産分割対策

次男は半分よこせという、かといって共有も避けるべき・・・こんなときに効果を発揮するのが生命保険なのです。契約者(保険を契約する人)・保険料負担者(保険料を実際に払う人)・被保険者(保険をかける対象となる人)を被相続人、受取人(保険金を受け取る人)を相続人たる長男とする生命保険に被相続人の生前に加入しておくのです。

そして、遺産分割協議では、自宅不動産の全てを長男が取得、キャッシュ2,000万円を次男が取得、そして代償財産として長男が受け取った保険金を使って次男に3,000万円支払う、という形にします。こうすれば、次男も納得して遺産分割協議に応じてくれるはずです。

遺留分対策にも生命保険が有効

また、こんな使い方もできます。父親は長男と次男のうち、長男に全ての財産をあげたいと思っています。そこで父親は、「私の有する全ての財産を長男に相続させる」という遺言書を遺すことにしました。

しかし民法では、最低これだけはもらえる権利がありますよという「遺留分」の規定があります。次男が遺留分減殺請求(自分にあるはずの遺留分の額だけ財産を渡せという請求)をした場合、法定相続分の2分の1(今回のケースでは1/2×1/2=4分の1)を長男は次男に渡さなければなりません。

このとき、遺留分に相当する金額の保険金が長男におりるように、被保険者父親、受取人長男とする生命保険に加入しておくのです。父親の死後、次男が遺留分減殺請求をしてきても、長男は受け取った保険金を使って次男に必要な額を支払うことができます。

相続税の納税は10カ月以内・だけど払えるだけのお金が手元にない!

相続税の申告および納付は、相続が発生してから10カ月以内に行うことになっています。そして相続税の納付は「金銭一括納付」が原則です。

しかし、財産はたくさん相続したが、その多くが不動産のため納税に必要な資金が足りない、というケースは多々あります。10カ月以内に不動産を売却して換金化することは、思った以上に大変なことです。

また、誰がどの財産を相続するか相続人の間でもめているような場合、遺産分割協議がまとまらないまま納付期限の10カ月が経過してしまうこともあります。遺産分割協議がまとまらないと、いくら相続財産に多額の預金があっても、銀行は引き出しに応じてくれません。また、遺産分割協議がまとまらなければ物納や延納もできません。

したがって、10カ月たっても遺産分割協議がまとまらない場合は、相続人自身の財産から、相続税を納付しなければならなくなります。

でも、相続税を納付するだけの財産など持ち合わせていない、という相続人の方も多いはずです。

納税資金対策にも生命保険は効果を発揮する

そこで、被相続人の生前に、各相続人を受取人とした生命保険に加入しておくのです。生命保険の保険金は民法上相続財産にならず、受け取った相続人固有の財産ですから、自由に使うことができます。また相続発生後大して時間がかからず保険金が支払われるため、相続税の納付期限である10カ月以内に納付を済ませることができます。

このとき、事前に相続税のシミュレーションをして、どのくらいの納税資金が必要かを計算しておき、その結果に基づき生命保険に加入することをお勧めします。せっかく保険金を受け取っても、相続税の納税に全然足りない、というのでは意味がないからです。

さまざまな場面で活躍する生命保険、しかしこれを生かすも殺すも自分次第です。また、よく考えて対策を実行しないと、贈与税が課税されるなど思わぬ落とし穴もあります。公認会計士や税理士などの専門家とよく相談の上、効果的に活用するようにしてください。

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