ドルやユーロが取引される市場(しじょう)を外国為替市場(がいこくかわせしじょう)と言います。外為マーケット(がいためマーケット)とも言います。プロは単に「マーケット」と呼んでいます。

マーケット = 「 いちば 」と「 しじょう 」

一般にマーケットとは、モノ・商品に値段が付いて取引される場所のことを言います。魚や野菜の中央卸売市場、商店街の小売市場など、具体的な場所が特定されているマーケットを市場(いちば)と呼んでいます。モノ・商品にマーケットがあるように、お金にもマーケットがあります。株式市場、債券市場、金や石油市場、外国為替市場など、更に国をまたがって取引できる国際市場。このように具体的な一定の場所が指定されて取引されているマーケットではなく、取引場所や取引参加者が多層に重なっていて、総体としてひとつのマーケットが存在する時に市場(しじょう)と呼んでいます。外国為替市場は、その代表的なマーケットです。

外国為替市場ってどんなマーケット?

それでは外国為替市場とはどんなマーケットでしょうか?

  • どこにあるの?
    前述しましたように、証券取引所のような特定の場所はなく、外国為替(通貨)という商品が取引(売買)されている抽象的な空間を、ひとつのマーケットとして外国為替市場と呼んでいます。テレビのニュースで外国為替市場の報道がされる時に映っているのは、銀行や証券会社のディーリングルーム、あるいはブローカー会社(外国為替の取引を仲介する会社)の取引場面です。あそこが外国為替市場の全体ではなく、一部が映っているということになります。
  • 取引手段は?
    取引手段は、電話や電子取引が主に利用されています。
    1980年代以前は、海外との取引はテレックスという有線の通信機械で取引されていました。そして1980年代以降は、まだインターネットが普及する前に特定の機械で電子取引が行われていました(ロイター通信取引)。そして現在では、インターネットの普及とパソコンの処理能力の飛躍的な進歩のおかげで、一般個人でも自宅に居ながら世界中のニュースを瞬時に知ることができ、そして瞬時に為替を取引することができます。30年で隔世の感があります。30年前に、仮に個人が外国為替市場に参加でき、為替取引ができたとしても、瞬時に世界を駆け巡る政治経済の情報には追いつけず、散々たる目に遭ったものと思われます。そういう意味では、現在は一般個人の情報環境や取引環境はプロとほとんど変わらず、個人にとっては投資の世界が大きく広がっている時代と言えます。
  • 何が取引されているの?
    外国為替市場では、「外国為替」=通貨という商品が売買されています。通貨の主な商品は「ドル」です。ドル円の為替レート(ドルの値段のこと)とは、ドルを円の対価で取引する値段ということになります。ドルは、戦後の国際経済体制の中では基軸通貨として位置し、世界貿易や資本取引の大半がドルで取引されてきました。石油や金など商品の建値がドル建てなのもドル中心で世界が回っているからです。ユーロが誕生してからもドルの優位は変わりません。従って、外国為替市場では、ドルをいくらで買うか売るか、上がるか下がるかもドルが主体の取引となります。テレビや新聞では円が買われた、円が売られた、円が高くなった、円が安くなったと伝えていますが、世界的には通用しない表現です。円は、やはり、ローカルカレンシーとしての位置づけです。ドルとの相対取引で最も多いのがユーロですが、ユーロ取引と円の取引とはかなりの差があるのが現状です。
  • いつ取引されているの?
    24時間、月曜から金曜日まで取引ができます。
    取引される地域の営業時間帯が外国為替市場の中心市場になりますが、下記の図表のように、それぞれの地域で市場が開いている時間帯が重なっているため、24時間連続して取引ができます。つまり、東京時間で言えば、東京市場の営業時間帯は朝7時頃から夕方5時頃までですが、1週間では月曜日の朝3時頃(ニュージーランド・ウェリントンが開く時間)から土曜日の朝6時(米国ニューヨークの終わる時間、夕方5時)まで取引が可能です。但し、現実には外国為替を扱う会社にとっては、月曜の朝6時から土曜日の朝5時までなど、時間制限があります。特に月曜日は、早朝に為替レートが動いても、一般個人が参加できるのは6時や7時からというのが多いようです。それでも、1週間の中で24時間いつでも、大量に取引できる商品は外国為替以外ないと思われます。このことから外国為替は非常に流動性の高い商品いわれます。

地域ごとの市場が開いている時間帯

※上記は夏時間の場合、冬時間の場合は+1時間
※時間は日本時間