図:NY金 先物 (期近)日足チャート
単位:ドル / トロイオンス

出所:マーケットスピードより楽天証券作成

雇用統計で株高・不安でゴールド高(2017年2月6日(月)掲載分より)

Non-farm payroll(非農業部門雇用者数)は市場予想を大きく上回る22万7,000千人の増加となり、過去4ヶ月で最大の増加幅になりました。確実に経済の好調さを示す数字でダウは大きく177ポイントの上昇となりふたたび20,064ドルと2万ドルを超えるレベルで一週間が終わりました。

ふつうであればこれを受けてゴールドは下落してもおかしくないのですが、ゴールドも1,220ドルと年初来の最高値レベルでの一週間の引けとなりました。ゴールドはやはり、ドルが高くなろうと株が高くなろうと、トランプ大統領による将来の見えない「不確定要素」によりゴールドには買いが入っており、それが株高とゴールド高を同時に招いています。またドル高に対するトランプ政権の警戒感も、ドルの重荷になり、それがゴールドの上昇にまたエネルギーを与えてもいます。

就任2週間にして、選挙キャンペーン中の約束を大統領令を通じて次々と実行に移しており、それが米国内での政治的立場の違う人々の溝をより深いものにしています。今はそれを意識的に深い物にしようとしているようにも見えます。大統領の役割は、国を一つにすること。あきらかにトランプ大統領がしていることはそれに逆行しています。この状況はさらに続きそうです。そしてそれが続く限り投資家はゴールドを必要とすると思います。

また金曜日には金融機関を規制してきたドッドフランク法の見直しを指示する大統領令に署名し、これは金融マーケットには大きな追い風であり、これはまた株式市場を上げる要因になります。しばらく株高、そしてゴールド高も続きそうです。Nymexの投資家のロングもGold ETFの残高も増加に転じています。

CFTC Commitment of Traders Report as of 31 Jan 2017(2017年2月6日(月)掲載分より)

出所:池水氏のレポートより抜粋

右軸:投資家ポジション(トン)

左軸:ドル建てゴールド価格

385トンから411トン、投資家ロングは増加。明らかに今年に入ってから流れが変わりました。

ドル安・メタル高(2017年2月3日(金)掲載分より)

FOMCでのどちらかと言えばハト的な内容、そしてトランプ政権のドル高への警鐘でドルがじわじわと売られ、昨日は113.35あたりから一時二日ぶりにまた112円ぎりぎりまでドル安・円高となる場面があり、それに呼応してゴールドは一時1,225ドルと昨年の大統領選挙後以来の高値をつけました。ドルとの呼応の動きなので円建てはあまりに動かずでしたが。今晩の米雇用統計はNFPが17万人の増加というのがmarket expectationですが、これより大きく増えていれば、FRBの金利上げは3月にも行われるという期待感からドル買い、ゴールド売りになる可能性があります。ただ多くの投資家が将来への不安からゴールドが下がれば買いたいという姿勢にあるので、もし下落することがあれば、そこは絶好の買い場になるのではないでしょうか。ですのであまり大きな下げはないと思います。下げたら買い。今年はやはり何が起こるかわからないので、ゴールドはロングでしょう。

FOMCは予想通りで動きなし(2017年2月2日(木)掲載分より)

1月のFOMCは今朝4時に政策金利発表でしたが、マーケットの予想通りで金利は据え置き。大きな材料にはなりませんでした。ゴールドはアジアではほとんど動きなし。ニューヨークでは、利食いにおされて1,211ドルから1,198ドルまで売られましたが、その後は買い戻されて、FOMCの発表とともにふたたび昨日の高値の1,212ドルまで上昇。引けは1,210ドルを割り込んだところで一日が終わりました。トランプ以外の材料としては金曜日の米雇用統計ですね。円建てゴールドは4,400円ちょうどで、昨年の後半のドルとゴールドの相関関係で4,300円から動かなかったが、今度は4,400円近辺での均衡ができているようです。

インドの1月のゴールド輸入量が前年比で70%の減少とのニュースがあり、やはり実需は低調です。まあ、インド、中国はそれぞれに固有の理由がありますが。。今マーケットを動かしているのは投資家、その投資家を動かしているのは結局トランプ、ちゅーことになりますね。

トランプ発言でドル安・メタル高(2017年2月1日(水)掲載分より)

トランプ、トランプ、トランプ。。。昨日は中国や日本が通貨安誘導をしていると名指しで非難、その発言でドルが急落、113円後半から、一時112円ぎりぎりまでドル安円高となり、ゴールドは1,197ドルから1,215ドルまで急騰、そんなトランプ相場です。何が起こるかわからない、だからやっぱりゴールドは買われるんでしょうね。他のメタルもみんなしっかり。円建ては為替とメタルの相殺で大きな動きはないですが、どちらかというとメタルの上昇の方が大きくしっかりです。貴金属は引き続き強気でよいでしょうね。

LBMA Forecast 2017(2017年2月1日(水)掲載分より)

LBMAから2017年の相場予想が出ました。総じてmildly bullishですね。今現在の相場からそれほど大きな乖離はなしです。

出所:池水氏のレポートより抜粋

矢継ぎ早に出される大統領令(2017年1月31日(火)掲載分より)

ドル高が一服、それによりゴールドも1,190ドル割れでは買い戻されて、1,199ドルまで上がったあと1,195ドル近辺で一日が終わりました。アジアは旧正月でほとんどがお休み、開いてるのは日本だけで静かなマーケットでした。今日もまた中国・香港はお休み。また今日からFOMCが始まり、あさって木曜日の日本の朝4時が金利政策の発表です。マーケットはトランプ大統領が矢継ぎ早に繰り出す大統領令を見守っている感じですが、どうも詳細をつめないまま、とにかくキャンペーンの公約をどんどん実行することだけを考えているようなやり方です。それによる悪影響とかまったく考えていないようなそんな感じですね。今回の対象国入国規制措置で起こった各地空港での混乱も、航空会社のシステム障害と反対デモの責任でありまったく問題はないと、Twitterでつぶやいています。すべてがこんな感じ、自分のやることは完璧で、問題があるとすればそれは相手のせい、という論調ですね。でもこれによってすべてが正当化されるわけではなく、実際的な問題が、いろんな国、企業、個人に降りかかってきています。多くの州が、憲法違反として裁判に持ち込む姿勢を示しています。さすがに大統領選挙後のような一方的なTrump Euphoriaというわけには行かないでしょう。ゴールドへのSafe Haven demandはやっぱりあるでしょうね。

密輸された金地金の入札不調(2017年1月31日(火)掲載分より)

土曜日の日経に小さく出ていたのを昨日発見。密輸で押収された金地金を大阪地検が一般競売にかけたようですが、応札なし、の記事。はじめこれを読んだときに、なぜ誰も応札しなかったのかなと思って、官報を探してみたのですが、もはや削除されたようでした。たぶん、その入札時間が長く、決定するまでも時間がかかるようなそんな按配だったのかなあと想像します。刻一刻動いている金価格ですから、ほんの30分でも価格を据え置くなんてできないですよね。もし土地やパソコンとかと同じ感じで入札を求めたとしたら、誰もビッドしなくて当然ですな。金みたいな透明でcompetitiveなマーケットが存在しているものは、入札制度をやっても全く妙味はないですよね。正解は、きっと何社に同時に何人かで電話をしてそのときのビッドを聞いて、一番高い業者に売る、という単純なスポットマーケットでの売却ですね。それ以上もそれ以下もありません。