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4月スタートする厚生年金基金解散トレンドの影響
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

4月スタートする厚生年金基金解散トレンドの影響

2014/3/13
「厚生年金基金 解散」をGoogleで検索してみてください。なんと楽天証券のコラムが3位に表示されます。筆者の専門は企業年金であることから、ときおり本連載の枠で老後の資産形成に役立つ情報として企業年金改革に関連したコラムを寄せていたのですが…
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「厚生年金基金 解散」をGoogleで検索してみてください。なんと楽天証券のコラムが3位に表示されます。

筆者の専門は企業年金であることから、ときおり本連載の枠で老後の資産形成に役立つ情報として企業年金改革に関連したコラムを寄せていたのですが、なかなか他では書かれていないことから注目が集まったようです。

日経ヴェリタス2014年3月2日付け「厚生年金基金、『解散ラッシュ』のインパクト」という記事で私がコメントしていますが、楽天証券のコラムを見て記者が取材に来たためです。

これに気をよくして、もう一度厚生年金基金の解散について取り上げてみたいと思います。というのも2014年4月1日を法律施行日として、いよいよ本格的に厚生年金基金解散のトレンドが動き始めるからです。

個人の資産運用においてのヒントも少し考えてみたいと思います。

基金解散はやむを得ざるトレンドか

今回の法律改正の概要は過去の記事をチェックいただければと思いますが、厚生年金基金について解散を強く求めるものとなっています。ただし「絶対に解散せよ」というものではなく、「自主的に判断せよ」と各厚生年金基金に決断を委ねているものです。理屈として言えば厚生年金基金は今後も存続しえます。

しかし、厚生年金基金のうち存続を選択するところはほとんどないのではないか、と私は見ています。なぜなら、自主的に、といいつつも現実的には強く解散を迫る(あるいは代行返上後、企業年金部分のみで再編する内容となっているからです。

この法律はひとまず10年間に問題のケリをつけるとしていますが、5年間のあいだにその集中的な取り組みが行われる見込みです。具体的には、(1)特例的な解散のチャンスは最初の5年にのみ限られること、(2)5年を経過した後、財政チェック体制がかなり厳格化し、現状のハードルを1.5倍増しに引き上げること、が決められているからです。

特に後者のハードルが厳しく、最低責任準備金という積み立てノルマについて、毎年1割ずつ引き上げ5年後には現状の1.5倍準備しなければならないとしています。乱暴なたとえをすれば、「資本金を毎年1割ずつ増やして5年後には1.5倍にしろ。でなければ上場廃止だ」と1年前に上場企業に通告するようなものです。

こんなノルマを課せられては、今現在まともな財政状況の厚生年金基金であっても、「国に代行部分は返上して、純粋な企業年金制度を作ったほうがいい」と考えるのが妥当です。財政状況のよいところも悪いところも、まあまあのところも、今回の改正で厚生年金基金をやめる道を選ばざるを得ないのではないでしょうか。

日本経済新聞2013年10月29日記事によれば「95の厚生年金基金が解散議決 全体の2割 厚生労働省調査」という見出しで、2013年秋の段階で2割の厚生年金基金が解散の議決を代議員会で行ったとしています。同紙10月20日記事においては解散の検討レベルでは4割の厚生年金基金が該当すると報じています。

短期的に株価が上昇したとしても、解散の方針が覆ることはほとんど考えられず、むしろ2014年春(ちょうど今頃)行われている代議員会で解散議決を行う基金は増えることと思われます。

一方、日本経済新聞2013年11月2日付け記事では円安・株高の効果により、代行割れ基金は25%まで減少しているとしています(前年度は約4割が該当するとしていた)。2013年度末決算にもよりますが、国に返すべき資産すら不足しているところはかなり減少するのではないかと思われます。追加負担なく解散等を行えることは、むしろ解散を促進させるのではないでしょうか。

自分が基金加入員かどうかをまず確認

さて、厚生年金基金の加入者は426万人(2013年3月末)とされており、厚生年金に加入している人の約12%に相当します。8人に1人くらいが今回の影響を受けることになります。

基本的には厚生年金基金が方針を決定、加入企業への説明と社員の同意取り付け依頼があり、社員レベルに情報が届くと思います。

説明資料等が配布されると思いますので、以下のポイントをチェックしていくといいでしょう。

  • (1)本来得られるはずであった受給権はどうなるのか、一部ないし全部を保障するのか、まったく保障されないのか
  • (2)新しい企業年金制度は存続されるのか、一時金で現金精算されるのか(企業年金連合会への移換という選択肢もあり)
  • (3)選択肢が複数ある場合、自分の会社はどの選択肢を採用するのか
  • (4)積立不足を会社が埋める場合、どの程度の負担をどれくらいの期間にわたって負うのか
  • (5)給付のカットが生じた場合、会社は何らかの代替措置を講じる予定はあるのか(退職一時金で補てんする、など)

何度か説明していますが、国の厚生年金相当額がカットされることはありません。問題は厚生年金基金が約束していたプラスアルファの部分で、こちらは財政状況によって一部ないし全部がカットされます。

この独自の企業年金部分については、月額1万円以下のことが多いのですが、15年保証終身年金だったりして、単純に15年分としても180万円程度、平均余命を勘案すれば、240万円以上になることもある金額で無視できません。できれば、会社が新制度を創設して給付を引き継いでほしいところです。

ところで、積立不足があった場合、これを個人に負わせることはありません。ただし、会社がツケを払う場合、将来の賃上げが見込めないなどの影響が生じる可能性はあります。

マーケットへの株価下げ圧力になるか?

最後に、マーケットへの影響について少し触れてみたいと思います。厚生年金基金の資産額は28.9兆円です(2012年度末)。このうち国に返す厚生年金の相当分(代行部分)と独自の企業年金部分(プラスアルファ部分ないし加算部分)があるわけですが、現在の厚生年金基金については、7~8割がたが代行部分と考えられます。

仮に8掛けとしても、20兆円以上の資金が国に返上されることとなります。このうち株式投資比率は3分の1程度、国内株は20%強というところですから、4兆円ほどの国内株が売りに出ることになります。

2002~2004年度に行われた「代行返上売り」は大企業を中心に行われ、3~4兆円程度が株式市場に出たといわれています(正式な統計はないので推定)。もしかすると当時と同程度の規模と言うことになり「代行返上売り」が再燃する可能性があります。当然ながら株価の下落要因です。

理屈として言えば、TOPIXにほぼ相当した資産のセットであれば、現物で国(というかGPIF)に対して返上が可能ですが、価格変動が生じることを嫌って、現金化の選択肢を選ぶことが多く、代行返上売りが皆無ということはないでしょう。ただし、2002年頃の代行返上と比較すると、厚生年金基金が売るタイミングは3~5年のあいだに分散されると考えられます。景気の実態がしっかりしていれば代行返上売りの影響はむしろ新しい買い手の誕生につながり、影響は軽微ですむ可能性もあります。

あまり代行返上による株価の変動をアテにした投資戦略は練らないほうがいいと思いますが、代行返上が株式市場へ及ぼす可能性については心に留めておくといいでしょう。

厚生年金基金は解散の方向で検討へ

代行返上売りは相場を動かすか

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桐谷広人
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