先週は、閑散相場の中での安値圏でもみあい続く

先週は、ウクライナ情勢の緊迫化、内外の重要なイベント、ゴールデンウィーク入りのため様子見が続くことが想定されました。そのため、日経平均のレンジは14,500円を早めに回復しないと戻りが鈍くなり、14,000~15,000円の大きなボックスの中で再び14,000~14,500円の小ボックスへ移行してくる可能性があるとしました。

週明けの4月28日(月)は、前週末のアメリカ株式がウクライナ情勢の緊迫化を嫌気して大きく下落していたことを受け、日経平均も▼141円の15,288円となりました。29日(火)の休日後の30日(水)は、休日の間にアメリカ株式が高かったことで買い先行で始まり、14,421円まで上昇するものの、日銀の会合やアメリカのFOMCを控えて様子見となり先物主導で売られて△15円の14,304円で引けました。しかし、5月1日(木)は、主力株の好決算を受けて地合いが好転し、△181円の14,485円の大幅上昇となりました。週末の2日(金)は、引け後にアメリカの4月雇用統計を控え様子見から▼27円の14,457円で週の大引けとなりました。

結局、ゴールデンウィーク入りで資金の流入が少なく、閑散相場の中で14,200~14,500円の中でのもみあいとなりました。

 

日銀の追加金融緩和は遠のく…成長戦略へ期待

注目された30日(水)の日銀金融政策決定会合では、現状維持で追加の金融緩和策はなく、又引け後の黒田総裁は記者会見で、2016年度の物価上昇率を△2.1%と強気の見通し(消費増税の影響を除く)をしたことで、追加の量的緩和は遠のきました。しかし、状況次第で追加の金融緩和は辞さないとも述べて、期待は維持させることになりました。 今のところ、消費増税の影響は経済界によっても想定内の状況ですので、追加の金融緩和による円安→株高のシナリオは遠のいてしまったと考えられます。そうなると日本の円安→株高は、アメリカの景気回復によるドル高→円安を期待することになり、この流れですと日米金利差の拡大からの円安の流れを待つことになります。

昨年の黒田総裁による「異次元の緩和」による円安進行からの日経平均の上昇は、5月23日の15,942円で織り込み、次の異次元緩和第2弾を期待して待っていましたが、30日(水)の黒田総裁の会見は追加の緩和をしなくとも2年間で2%の物価目標は達成できる可能性を示唆したことで、消費増税による予想以上の悪影響が出ない限り、追加緩和はないということになります。

それでは、日経平均は今後どうなるのかというと、対外的にはアメリカの景気回復が徐々に高まってきていますので、ドル買いによるアメリカの金利高からの日米金利差による円安を期待することになりますが、これは多少時間を要することになります。そうなると、国内では成長戦略がより明確で大胆な具体化となりますが、これは既得権との戦いでもあり、不透明なところがあります。しかし、先進国は日銀の金融緩和による円安からの株式上昇を容認しなくなってきており、成長戦略を通して日本経済を成長へ向かわせることを要求していると思われます。今のところ、戦略的経済特区構想で終わらせようとする動きがみえますが、日本経済が徐々に回復してきていることは事実ですので、これにオリンピックに向けた50年ぶりの社会資本の整備や景気対策、TPPへの合意が加われば、当面の日本経済の成長シナリオを想定することができます。そういうシナリオを株式市場が認めた時が次の本格上昇に発展するタイミングとなると思われます。それにはもう少し時間がかかるかもしれませんので、中期投資の方は好業績銘柄の安いところをじっくりひろって待ち、短期売買の方は14,000~15,000円のボックスを想定しての売買となり、下ブレすればそこはリスクの少ない買い場となります。

 

今週は引き続き安値圏でのもみあい続く可能性

アメリカの経済の回復を示す指標としての主たるものが雇用統計となります。2日(金)の引け後の4月雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想の21.8万人増を大きく上回る28.8万人となり、失業率も予想の6.8%を大きく改善する6.3%となりました。これを受けて一時NYダウは16,620ドルとザラ場の史上最高値4月4日の16,631ドルまであと11ドルと接近しましたが、このことが量的緩和縮小のスピードを早めるのではないかとの懸念が生じ、又ウクライナ情勢の不安定化も重石となって▼45ドルの16,512ドルで引けました。 週明けのアメリカ市場は、5日(月)は△17ドルの16,530ドル、6日(火)は▼129ドルの16,401ドルで引けました。

今週は連休後で3営業日しかなく、14,000~14,500円の中でのもみあいが想定されます。先週末の2日(金)のアメリカの雇用統計が予想を大きく上回れば、NYダウが一段高となって日経平均も戻りを試す展開となることを想定していましたが、結果的に大きく上回ったことがアメリカ景気の回復と雇用の改善を示すだけでなく、市場では「早期の利上げ観測の再燃」への懸念から上値の重たい展開となりました。ゴールデンウィーク明けの7日(水)は、日本が連休の間にNYダウが史上最高値を更新できれば14,500円突破も期待できたところでしたが、ウクライナ情勢の緊迫化からNYダウは下落となり、アメリカの3月貿易収支の赤字幅の拡大や1-3月期GDPの見通し引き下げからドルが売られ、リスク回避の円買いもあって為替は1ドル=101円台半ばの動きとなったことで、輸出関連株中心に売られて、▼424円の14,033円の大幅下落となりました。為替は1ドル=101円が今年の円の上値のフシとなるところですので、101円以上の円高進行とならなければ、日経平均は14,000円水準で止まることが想定されます。

 

 

(指標)日経平均

先週の予測では、ウクライナ情勢の緊迫化や内外での重要イベントが目白押しの上、ゴールデンウィークに入るため資金流入も期待できず様子見が続くことになるとしました。

週明けの4月28日(月)は、前週末のアメリカ株安を受けて▼141円の14,288円で始まり、休日明けの30日(水)は△15円の14,304円でしたが、5月1日(木)は好決算を受けて大型株中心に買われ△181円の14,485円と大幅上昇しました。週末2日(金)は、引け後のアメリカの4月雇用統計を控えて▼27円の14,457円で引けました。結局、閑散相場の中を方向感のない動きとなって14,200~14,500円の中のもみあいとなりました。

今週は、連休明けの3営業日しかなく、先週末のアメリカの4月雇用統計の大幅改善が逆に早期の利上げ観測懸念となってNYダウの上値を重くしており、ウクライナ情勢の緊迫化もあり、先週と同じく14,200~14,500円をベースとするもみあいが継続することになりそうです。ただし、NYダウの上値が重く、ウクライナ情勢の緊迫状況によってはリスク回避の円買いとなって、日経平均ももう一段の下値が出る可能性(14,000~15,000円)があります。

連休明けの7日(水)は、ウクライナ情勢の緊迫や保険大手AIGの予想を下回る決算を受けたアメリカ株式の下落と貿易赤字の拡大からドル売り・円高が進行し、1ドル=101円台半ばまでの急激な円高を嫌気し輸出関連株中心に大幅下落となって、▼424円の14,033円で引けました。下値は14,000円の大台のフシとその下は4月11日の安値13,885円となります。

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、FOMC、GDP発表、4月雇用統計を控え、又強弱入り混じった決算発表となっていることで方向感のない動きを想定しました。チャートからは、4月4日の16,631ドルを終値で抜けると一段高が期待できるとしました。

先週は、週半ばまでは経済指標や好調な決算で上値を試す展開となり、4月30日(水)は△45ドルの16,580ドルと終値ベースで12月31日の16,576ドルの史上最高値を更新する動きとなりました。週末2日(金)は、4月雇用統計が予想を大きく上回ったことで一時16,620ドルとザラ場での4月4日の史上最高値16,631ドルにあと11ドルと迫りました。しかし、景気回復が確実なものになれば量的緩和規模の縮小ペースが早まるとの懸念やウクライナ情勢への緊迫化から上値は重くなり、▼45ドルの16,512ドルで引けました。

今週は、好調な景気指標とウクライナ情勢との綱引き状態で高値圏のもみあいが想定されます。ウクライナで政府側と親ロシア派の衝突が拡大すると上値は重くなります。

週明けの5日(月)は、中国の4月製造業PMIの下方修正やウクライナ情勢の緊迫化を嫌気して一時▼135ドルの16,377ドルまで下げる場面がありましたが、4月ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことをきっかけに下げ幅を縮小し、△17ドルの16,530ドルとプラスに転じて引けました。6日(火)は、ウクライナ情勢の緊迫化や中国の景気減速懸念に加え、保険大手AIGの決算が予想を下回り金融株の大幅下落、更にモメンタム銘柄が売られて▼129ドルの16,401ドルと反落しました。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、ウクライナ情勢の緊迫化からの円買いの一方で、日銀の金融政策決定会合での追加緩和への期待や4月雇用統計の内容によってはドル買い・円売りにつながることになり、結局は方向感のない動きとなって、101.5~103円のレンジを想定しました。

結局1週間を通して、日本市場では102円台前半での小動きに終始しましたが、週末2日(金)の引け後のNY市場では、4月雇用統計の大幅改善を受けてドルが買われ一時103.02円までの円安進行となるものの、ウクライナ情勢の緊迫化からリスク回避の米国債買いでドル売りとなり、リスク回避の円買いも伴って、102.13円までドルが売られ、引けは102.25円でした。

ドル/円