ウクライナ情勢の落ち着きと円安進行で想定より早い15,000円台回復

先週の予測では、ウクライナ情勢での様子見とし、状況次第では14,000~15,000円のボックスの下限を試す場合もありますが、その場合は14,428円を終値で切ると柴田罫線では短期の売転換が出て14,000円を試す可能性が高まり、買いそびれていた人には買いチャンスとなるとしました。

週明けの3日(月)に、前場はウクライナ情勢が緊迫化したことで一時▼397の14,443円と14,428円に接近しましたが、後場になると下げ幅を縮め▼186の14,652円で引けたことで14,500~15,000円のボックス圏の動きが継続しているとしました。

又、先週のコメントで、前週末で日本株式市場は2カ月を終え、12月30日の高値から2月4日の安値まで9%の下落となり、欧米市場が史上最高値近辺の動きになっているということと比較をすれば大きく出遅れており、需給も改善してきて下値リスクは少なく、企業業績の上方修正を考えると、日柄調整後はいつ反発に転じてもおかしくないとしていました。先週の時点では、2月の雇用統計を控えているため、結果次第では今週のSQ以降、大きく動き出すのではと考えていましたが、想定より早く15,000円台回復となりました。

結果的には、4日(火)にプーチン大統領が「クリミア半島へ軍事介入する必要性は今のところない」と発言し、軍事演習を終了したことでウクライナ情勢が落ち着き、欧米株式が大幅反発して為替も円高一服となったことで、先物主導で5日(水)の日経平均は△176の10,897円と大幅上昇しました。6日(木)には、年金積立金管理運用独立法人(GPIF)の運用を巡る厚労省案(運用目標は国内債中心ではなくリスク資産も)報道で為替が円安へ動き、先物の買い仕掛けが入って△237の15,134円と15,000円台を回復し、週末7日(金)は、為替が1ドル=103円台となったことで△139の15,274円で引けました。今年初めての4日連続上昇となりました。

 

今週は週末にSQを控え、15,000円台での荒い動きも

今週は、基本的には先週末発表のアメリカの2月雇用統計が予想を上回ったことで景気の回復期待が高まり、円安の進行が続けば輸出株を中心に堅調な動きが想定されます。ただし、14日(金)にSQを控えており、ウクライナ情勢の変化によっては先物主導で荒い動きとなることも想定されます。

テクニカルでみると、先週末の終値15,274円は75日移動平均線(7日時点15,275円)と同水準で止まっており、25日移動平均線(7日時点14,693円)、100日移動平均線(7日時点15,046円)、26週移動平均線(7日時点15,009円)とことごとく突破しているものの、次は13週移動平均線(7日時点15,342円)と柴田罫線では15,383円水準が控えており、円安の進行が続かなければ15,000円を目先の底に上値の重い展開が続くことになります。出来高・売買代金が伴わないために、上昇しても先物主導で振り回されることになりますので、市場ボリュームの増加が注目となります。

柴田罫線では、2月5日の13,995円を安値とする上向きの先細三角形の型となって、先週末7日(金)にザラ場では15,312円と上放れに近い形となりましたが、終値では15,274円となり、引線の終値では突破できませんでした。柴田罫線の先細三角形の型からは、下げても3月3日の終値14,652円を下回ってこない限り、戻りを継続することになります。

先週末7日(金)のアメリカ市場で2月雇用統計が予想を上回り、為替も1ドル=103.76円まで円安が進んだことでシカゴの日経先物は15,430円まで買われ、本日の日経平均は買い先行で始まることが予想されました。しかし、先週末の大幅上昇の反動で利益確定売りで始まり、先週の土曜日発表の中国の経済指標の悪化、更に朝方発表された国内10-12月期GDPの下方修正、ウクライナ問題の不透明さなどがあり、75日移動平均線を戻りの上限にして下げ幅を拡大し、為替も103円を超える円高となったこともあり、前場は一時▼181の15,092円まで下がって▼152の15,121円で引けました。後場になると、上海市場が急落していることで15,088円まで下げましたが、その後は安値圏のもみあいとなって▼153の15,120円で引けました。

(指標)日経平均

先週の予測では、上値は重くかつ下値は限定的で14,500~15,000円が基本レンジであり、上を抜くには需給関係が改善されてきているので、市場ボリュームの増加を待つことになるとしました。

結局、3日(月)にウクライナ情勢の緊迫化から一時15,000円を割るものの、プーチン大統領の発言によって情勢が落ち着くとアメリカの経済指標の改善に目が向けられ、アメリカ株式は史上最高値を目指す動きとなり、為替も1ドル=103円台の円安進行となったことで、4日(火)から今年初めての4日続伸となり、7日(金)は△139の15,274円と15,000円台を回復して引けました。

先週柴田罫線のトレンドを引き直しましたが、2月5日の13,995円の安値から上向きの先細三角形(B)となっており、7日(金)にはザラ場では15,312円と上放れしていますが、終値では15,274円とほぼ75日移動平均線(7日時点15,275円)水準で引けました。

今週は、為替も円安方向の動きとなっており、ウクライナ情勢が落ち着いていれば堅調な展開が想定されますが、週末にSQを控えており、先物主導での荒い動きも考えられるところです。

週明け10日(月)は、中国の経済指標の悪化で上海株式が急落し、国内10-12月期GDPが下方修正となり、ウクライナ情勢も不透明のままですので、為替が円高方向に振れ、▼153の15,120円の大幅反落となりました。目先の下値は15,000円という心理的フシですが、その下は3月6日の安値14,871円となります。柴田罫線の上向き先細三角形を下放れするのは、引線の終値において14,632円以下で引けた場合となります。

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、多くの経済指標の発表とウクライナ情勢の動向をみながらの神経質な展開を想定し、特に2月雇用統計に注目としました。

週明け3日(月)は、前日にプーチン大統領がクリミア半島に軍を派遣したことで一発触発の警戒感から▼153の16,168ドルと大幅下落となるものの、4日(火)には軍事介入の必要性は今のところないと発言したことで、ウクライナ情勢に対する警戒感が後退し、景気への期待もあって△227の16,395ドルと急反発しました。その後雇用関連の指標が改善したことで上値を試す動きとなり、7日(金)は2月雇用統計が予想を上回ったことで16,505ドルまであったものの、ウクライナ情勢は依然として不透明なため上値が押さえられ、引けは△30の16,452ドルで引けました。しかし、S&Pは連日の史上最高値更新となっています。

先週末の7日(金)に注目の雇用統計は予想を上回ったもののウクライナ情勢が市場の重しとなって小幅の上昇で引けました。今週も引き続きウクライナ情勢が重しとなり、又寒波の影響で経済指標も読みにくく、高値圏でのもみあいとなりそうです。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、ウクライナ情勢の緊迫化、アメリカの経済指標の落ち込みによってはドル売り・円買いとなる一方、2月雇用統計が予想を上回ればドル買い・円売り要因となるため、振れ幅が大きくなる可能性があるとして100.5~103円のレンジを想定しました。

週明け3日(月)は、ウクライナ情勢の緊迫化から1ドル=101.20円まで円安が進みましたが、6日(木)には雇用関連指標の改善でNYダウは1カ月ぶりの高値水準となり、1ドル=103円台になりました。週末の7日(金)は雇用統計が予想を上回ったことで103.76円まで上昇して103.29円で引けました。1週間を通すと101.20円から103.76円までの振れ幅が大きい相場となりました。

今週は、先週末の雇用統計の非農業部門の雇用者数の伸びが予想を上回ったことでアメリカの景気回復期待からドルが買われた流れが続きそうです。今週発表される経済指標が予想を上回れば円安の流れが勢いづくことになります。但し、ウクライナ情勢が落ち着いていればということがあります。102~104円台のレンジを想定。

ドル/円