先週は1カ月ぶりに15,000円台回復するも維持できず

先週の予測では、14,000~14,500円のボックス圏で日柄調整中とし、薄商いのなか先物主導の上下動は続くとしました。柴田罫線では18日(火)に14,843円で買転換となっており、前週末において週足ベースで7週間ぶりの上昇を考えると、日柄調整を終えて戻りを試すところですが、市場ボリュームが縮小しており、外国人買いの回復が期待されるところとしました。テクニカル的には25日移動平均線や26週移動平均線を終値で上回るか注目となるが、本格的な戻りは75日移動平均線(21日15,195円)を超えてからとしています。

先週は、週前半の25日(火)は、G20でGDP成長率を2%引き上げる協調行動の公約が採決されて前日の欧米株式が大きく上昇し、為替は102円台半ばで安定していたことで△164の15,002円と1月31日以来の15,000円台を回復してスタートしました。さらにソフトバンクがLINE株取得方針との報道をきっかけに急騰したことで日経平均を押し上げる形となり、一時15,094円まで上昇して△213の15,051円の大幅高となりました。しかし、売買代金は2兆円に届かず今年の最低水準が続いており、さらに上値を追う動きとはなりませんでした。その後、ウクライナ情勢や中国の元相場急落が重なり、為替もリスク回避の円買いの方向となったことで週後半は3日続落となって週末28日(金)は▼82の14,841円で引けました。

 

今週はウクライナ情勢と週末のアメリカの2月雇用統計に注目

今週は、月初めでアメリカの経済指標の発表多く、特に7日(金)の2月雇用統計を控え、又ウクライナ情勢や中国の全人民代表大会期間中の為替の動き(先週末中国当局による元売りで急落)など不透明感が多く、現在の今年の最低水準の売買代金を考えると上値は追えないと思われます。又、テクニカルでみると上値では26週移動平均線(28日14,954円)、100日線(28日15,007円)、75日線(15,235円)、昨年12月30日の16,320円の高値から今年2月5日の13,995円までの下げ幅の半値戻しが15,158円、柴田罫線では15,150円水準と抵抗ラインが束になっており、ここを突破するには市場ボリューム(特に売買代金)が増加する必要があります。

一方で上昇要因をみると外国人の売りが一巡してきており、売買代金の回復に期待がもてる状況になりつつあります。先週までの時点では、寄り前の外資系証券売買注文の差し引き(5日移動平均)は2月4日に14,008円をつけた日を境に売り越し幅が縮小し、徐々に買い越しに転じてきているようです。

日本の株式市場は、先週末で今年になって2カ月を終えましたが、12月30日に終値で16,291円の昨年の高値更新となった(年間で57%の上昇率)新年から9%の下落となり、欧米市場に比べて大きく出遅れています。需給改善に伴って下値リスクはそんなになく、企業業績の上方修正を考えると、日柄調整終了後は反発に転じてもおかしくありません。

以上は先週の時点での予測ですが、その後プーチン大統領はウクライナへの軍事介入を決定し、これに対するオバマ大統領との電話会議での話し合いも決裂し、2日(日)にはクリミア半島に軍隊を派遣して支配下に置いたことで一発触発の状況となっています。これにより今週は14,500~15,000円のボックス圏での日柄調整を想定していましたが、ウクライナ問題が予想を超える展開となってきたことで、状況次第では再び14,000~15,000円のボックス相場を想定しなければならないかもしれません。ウクライナ情勢が悪化したときはどこまで下がるかわかりませんが、相場格言に「遠い戦争は買い」というものがありますように、大きく下がれば買いチャンス到来と考えるところです。

ロシアのウクライナへの軍事介入、円高、中国問題など目先の悪材料を考えると慌ててしまいますが、もともと14,000~15,000円のボックスを想定し、15,000円をいったん超えたために14,500~15,000円のボックスへ移行と思ったところ、予想外の悪材料が出て再び14,000~15,000円のボックスとなって下限を試す可能性があると考えればいいと思います。

柴田罫線では、14,428円を終値で切ると短期の売転換となり、14,000円を試す可能性が高まりますが、そうなれば買いそびれていた人には買いチャンス到来になると思っています。目先でみるとバタバタしてしまいますが、長目のスタンスでみると、日本の為替の円安トレンドは継続しており、企業業績も改善してきていますので、落ち着いてみることができます。そのためには急騰した株を買わない、安いところを待って買う、中途半端な位置で買う場合は損切りポジションを明確にしておくということになります。

本日3日(月)は、前場はウクライナ情勢が不透明なために投げ売りも出て一時▼397の14,443円と14,500円を割り込みましたが、前場後半から中国の2月非製造業PMIが予想を上回ったことをきっかけに下げ幅を縮小し、▼186の14,652円で引けました。終値ベースでは14,500~15,000円のボックス圏の動きが継続しているといえます。

(指標)日経平均

昨年12月30日の16,320円を高値に今年は年初から下落が続き、2月5日の13,995円で当面の底打ちとなりました。ここから14,000~15,000円の中で大きな上下動を繰り返しながら戻りを試していますが、2月17日の14,214円、2月20日の14,428円と下値を切り上げる展開となっています。2月18日の14,843円で買転換が出現し、2月20日の14,428円まで押し目を入れて2月25日には15,051円と15,000円台を回復しましたが、今年最低の売買代金のなか実需の買いが入らない上に先物主導の上昇ということで、26日(水)からは3日連続安となって週末28日(金)は14,735円まで下げて▼82の14,841円で引けました。

チャートを引き直してみると、昨年6月13日の12,415円から8月28日の13,188円の上昇ライン(A)が下値抵抗ラインとなっており、2月5日の13,995円を終値で切ると調整が長引くことになります。この上昇ライン(A)の中で2月5日の13,995円、2月17日の14,214円、2月20日の14,428円と順次下値を切り上げる短期の上昇トレンドとなっていますが、このまま下げて引線の終値で14,428円を切ると売転換が出現し、14,000~15,000円のボックスの下限を試す動きとなります。

今週は3月入りとなるものの、週末の雇用統計のほかウクライナ情勢や中国全人民代表大会を控えリスク回避の円買い基調となれば日経平均の上値は押さえられることになります。今週は、上値が重くかつ下値も限定的で14,500~15,000円が基本のレンジといえます。外国人売りも一巡し需給関係も改善されてきていますので、あとは売買代金や出来高の増加を待つことになります。

週明け3日(月)は、前日にロシアがクリミア半島に軍隊を派遣して支配下に置いたことで一発触発の状況となり、大きく下げて始まり一時▼397の14,443円まで下落し、▼188の14,652円で引けました。ウクライナ情勢の悪化によって2月20日の14,428円を終値で切ると、次は2月17日の14,214円を試す形となり、当初想定の14,000~15,000円のボックスの下限を試す可能性があります。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週も16,000ドル水準でのもみあいが想定されるが、注目は大寒波が消費に与える影響をみるために小売各社の予定されている決算に注目、イエレン議長の議会証言も注目としました。

先週は、足元の経済指標は予想が下回るものが多いものの大寒波による一時的なものとの見方が多く、低金利長期化期待を背景に堅調な動きとなり、週末28日(金)は△49の16,321ドルと1カ月ぶりの高値、S&Pは△5の1,859Pと史上最高値を更新し、ナスダックも2000年4月7日以来の高値水準となっています。この背景には前日のイエレン議長が景気指標の弱さは大寒波による一時的なものとし、景気情勢次第ではQE3の縮小ベースを検討すると述べたことにあります。

今週は、多くの景気指標が発表され、又ウクライナ情勢の動向をみながらの展開となるため神経質な動きが想定されます。ダウは2月の1カ月間で4%上昇し、S&Pは史上最高値更新となっていることで、ここからさらに買い進めるかどうかとなります。これはウクライナ情勢と7日発表の2月雇用統計にかかることになります。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週は、ドル・円ともに一方的な動きにはなりにくいとし、101.5~103.5円のレンジを想定しました。

26日(水)までは102円台前半の狭いレンジで動いていましたが、27日(木)にはイエレン議長が議会証言で「見通しが著しく変化した場合はQE3の縮小ベースを検討」と示唆したことでドルが売られ101円台後半の円高となりました。28日(金)はさらにウクライナ情勢によるリスク回避の円買いや中国元の続落から101.67円まで円高が進み101.80円で引けました。

今週は、ウクライナ情勢の緊迫化、中国全人民代表大会に絡む元の下落、アメリカの経済指標の落ち込みによってはドルが売られリスク回避の円買いが高まる可能性があります。一方アメリカの雇用統計が予想を上回ればドル買いの要因となりますので、振れ幅が大きくなることも考えられます。100.5~103円のレンジを想定。

ドル/円