先週は戻りを試しても上値は限定的としたが、先物主導の予想外の急騰

先週は、大方の見方として、需給関係から今月下旬に5月の高値の信用期日を控えヘッジファンドの決算日でもあり、ドイツ・アメリカは史上最高値を更新して高値警戒感もあり、上値は重いというものであり、私も同じ見方で本格的な12月に入ってからとみていました。その前に14,000円を一時的にでも切るような場面があることを期待していましたが、先物主導の買い仕掛けが続き、現物株も追随して市場ボリュームも膨れ予想外の急騰となって、1週間で1,079円(7.66%)の上げ幅となりました。

目先は、小さな三角保ち合いの中で14,000~14,400円の狭いボックスの動きとなっており、どちらに抜けるか注目としていました。結果的に、11月12日(火)にNYダウの史上最高値更新と為替の99円台の円安を受けて、先物主導で△318の14,588円と小さな三角保ち合いを上に抜けました。この時点では市場ボリュームもそれほど増加していませんでしたので、大きな三角保ち合いの上放れには9月27日の14,817円を突破する必要があるとし、出来高・売買代金を伴ってこないと難しいかもしれないというメッセージを13日(水)に出しました。

しかし、13日(水)のアメリカ市場で、翌日に予定されているイエレン氏の証言内容が事前に配布され、その中で金融緩和政策の継続が示されていたことでNYダウは再び史上最高値を更新し、14日(木)の日本市場は先物主導で上げ幅を拡大し、今度は現物も追随して出来高・売買高も増加して△309の14,876円となりました。引け後のアメリカ市場では、イエレン氏が「資産バブルの徴候はみられない」「金融緩和をやめるべきでない」と言明したことで、NYダウは連日の史上最高値更新となり、為替は金利低下にもかかわらず量的緩和の縮小による世界的株高に重点を置いてリスク・オフのドル買いとなり、円は100円台まで円安が進みました。週末の15日(金)はさらに先物主導で上げ幅を拡大し、△289の15,165円と5月22日以来の15,000円台を回復しました。

 

チャートからは、当面は5月23日の高値15,942円を目指す!

今週は、主要企業の2013年4-9月期決算発表が一巡し国内では材料不足となるものの、イエレン次期FRB議長による金融政策継続の言明から長期化が期待され世界的な株高となっていることで、まず5月22日につけた終値ベースでの年初来高値15,627円を視野に高値圏での動きが想定されます。

ただ、上昇の仕方が先物主導で買い仕掛けを利用し、カラ売りの踏み上げなども誘って上昇してきただけに、さらに上昇が続けば為替などの動向次第で短期的な調整の可能性もあります。225先物への集中的な買いのためNT倍率が急伸し、トピックスが出遅れているという歪な動きとなっています。特に指数への影響が大きい主力大型銘柄(ソフトバンク、ファーストリテイリング、KDDIなど)が買われ、日経平均の指数をけん引する形となっています。5月23日にピークをつけた時の現象と似てきています。例えば、5月22日は日経平均は△246円でしたが、このうちファーストリテイリングのみで△114円の上昇となっており、この翌日に日経平均は戦後11番目の急落となりました。今回はまだ上放れしたばかりですから、短期的な調整は絶好の押し目買いとなりますが、下げの後は物色が変わって、直前に買った銘柄が目先高値づかみとなる可能性がありますので、上昇中の株を買うのはリスクがあります。ここで一服して15,000円台の値固めができれば16,000円水準への上昇の確率は高まります。というのは、先週の上昇は為替が1ドル=100円を超す円安となったにもかかわらず、トヨタなどの輸出関連株の上昇はそれほどでなく、アベノミクス相場のスタート時に上昇した銀行、証券、不動産の内需株中心の上昇でしたので、次は輸出関連株の上昇となる可能性もあります。

今週いっぱいで5月の高値の信用期日も通過し、処分売りも一巡し上値圧力は弱まってきます。昨年の11月13日の8,619円から今年の5月23日の15,942円まで半年間で約85%上昇し、6月13日の12,415円まで急落後、先週上放れするまで5カ月以上の調整期間を経ての上昇ですので、アベノミクス相場第2幕のスタートといってもよいでしょう。ただし、当面は5月23日の15,942円が上値目標となりますので、それまでの間に高値づかみしていた保有株はいったん手仕舞いが基本といえます。今回の戻りのあとの大きな調整が起これば買って、更なる上昇を待つパターンとなります。

本日18日(月)は、イエレン次期FRB議長の発言内容から量的緩和策の長期化が期待され、世界的な流動性相場継続期待からリスク志向が高まっており、△87の15,253円で寄り付きました。しかし、△107の15,273円の高値をつけた後は為替がやや円高に振れたことでマイナス圏に転じ、▼1の15,164円で引けました。出来高・売買代金も減少していますので、目先は15,000円水準の値固めが続けば、先週の急騰での過熱感が冷やされ、さらに上昇しやすくなると考えられます。

(指標)日経平均

先週の予測では、前週末のアメリカの10月雇用統計の予想外の改善を受けてNYダウが史上最高値を更新し、ドルも買われて円安になっていることで買いが先行するとしました。アメリカでさらに株高とドル高が続けば別ですが、量的緩和の縮小問題への警戒感や国内での目立った材料がないことを考えると、先物主導での荒い値動きが想定されるとしました。

結果的には、アメリカの景気回復期待と次期FRB議長のイエレン氏の金融政策の継続の言明もあり、NYダウは連日の史上最高値更新となって週末は△85の15,961ドルで終え、為替については量的金融緩和の継続で金利が低下しドルが売られるところですが、逆に株高に好感してリスク・オフのドル買いとなり、1ドル=100円の円安となりました。このようにアメリカ株や為替を背景に先物主導の一方的な買い仕掛けが現物株を引っ張り、11月5日のカラ売り規制の解除後の大量のカラ売りの踏み上げもあって、11月12日に14,588円で小さな三角保ち合いを上放れ(1)し、引き続いて11月14日には14,876円で大きな三角保ち合いも上放れ(2)し、週末15日(金)は7月19日の14,953円を突破して15,165円と約半年ぶりに15,000円台を回復しました。可能性が低いとみていたものがすべて実現してしまいました。

今週はチャートからみる限り、上値は15,627円、ここを超えると今年の高値5月23日の15,942円までフシらしいフシはないといえます。アメリカの量的緩和の長期化期待から世界の投資家が株式に資金を振り向ける動きが続いており、上値を試す展開が期待できます。ただし、先週1週間で1,079円(7.66%)と急伸しており、その上げ方が先物の買い仕掛けによる一方的な上昇という側面もあり、円の動向次第では短期的な調整も考えられるところです。さらに急伸すれば、5月のピークをつけた時と同じような動きとなってきていますので、注意は必要です。

週明け18日(月)は、先週末のアメリカ株高と円安を受けて△87の15,253円で寄り付くものの、15,273円をつけた後は為替がやや円高に振れたことで利益確定優先となり、▼1の15,164円で引けました。

 

日経平均

 

(指標)NYダウ

前週末10月8日(金)のアメリカの10月雇用統計の予想外の改善を受けて量的緩和縮小の次期が早まる懸念よりも、アメリカの景気回復期待に重点が置かれ、NYダウが△167の15,761ドルと史上最高値を更新しました。そのため、先週の予測では、そのまま高値圏の動きを維持できるかどうか注目としました。

週明けも引き続き10月雇用統計の改善が好感されて史上最高値を更新し、13日(水)にはイエレン氏が翌日の次期FRB議長の指名公聴会でハト派的発言を行うとの報道から△70の15,821ドルと再び史上最高値を更新しました。そして14日(木)には、公聴会でイエレン氏が量的緩和の継続を言明したことで△54の15,876ドルと連日の史上最高値を更新し、週末15日(金)も△85の15,961ドルで引けました。

チャートをみると、4月19日の14,444ドルの安値から短期の上昇トレンド(B)を高値圏で形成していましたが、すでに10月29日に15,680ドルで柴田罫線では買転換(1)となっており、11月14日の15,876ドルで上放れる形(2)となりました。

今週は高値圏でのもみあいが想定されます。上値は16,000ドルという大台を意識した攻防となり、下値では景気指標に悪いものが出ても量的緩和の長期化期待から買いが入りやすい状況といえます。年末商戦で個人消費が順調なことが確認されれば上昇が期待されるところです。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、前週末のアメリカの10月雇用統計の予想外の改善を受けて量的緩和縮小の次期が早まるという懸念もあり、イエレン氏のFRB議長指名公聴会での発言を見極める必要もあり、動きにくいところで、99円を挟んだ値動きを想定しました。

しかし、10月雇用統計の改善にもかかわらず、イエレン氏が量的緩和の継続を言明したことでNYダウは連日の史上最高値更新となり、金利は低下するもののドルが買われるという市場の想定とは逆の動きとなって、週末15日(金)は100.44円まであって100.25円で引けました。この背景には、麻生財務相の「一方的な円安や円高には為替介入を行う」という発言がドル買い材料となっているようです。又、量的緩和の継続で株式市場が上昇し、リスク・オフのドル買いともなっているといわれています。

今週もアメリカの景気回復期待から低金利の円を売って高金利通貨を買う動きが進みやすく、ドル買い・円売りの流れが続きそうです。20~21日に日銀金融政策決定会合で追加緩和の観測が浮上すればさらに円売りのきっかけとなる可能性があります。

チャートでは、三角保ち合いの上値ラインのところで11月12日に99.7円でドルの買転換(円安)となって、週末には100.44円まで円安が進んでいます。この柴田罫線では、100.7円を上回らなければドルの上放れ(円の下放れ)の形にはなりませんが、実態ではすでに100円台となっており、三角保ち合いをドルは上放れているとみてよいでしょう。

ドル/円