週前半に目先の上値ポイント(14,800円水準)に到達し、週後半は円高を受けて急反落へ

先週の予測としては、アメリカの財政問題が暫定合意できたことで年内の金融市場の不透明感は後退し、量的緩和策の先送りの見方から世界の主要市場の年初来高値更新の動きもあり、日経平均も戻りを試す動きとなって9月27日の14,817円、ここを抜くと7月19日の14,953円を試す展開を想定しました。但し、為替は日米金利差縮小から円安とはなりにくいため、全体相場の上値は重く、決算に絡んで好業績銘柄が物色される業績相場になると考えた方がよいとしました。

結局、先週の週前半はアメリカのデフォルト回避を受けて世界的な株高の流れを受け、23日(水)の前場には14,799円と9月27日の14,817円に接近する動きとなりました。しかし、後場に9月の雇用統計が予想を下回ったことで、ドル売り・円買いが進んだことで先物主導で一転して急反落となり▼287の14,426円となって、25日移動平均線(この時点で14,432円)を割り込んで引けました。さらに週末の25日(金)は、前日のアメリカ株式は上昇となったものの、円の高止まりが嫌気され結果的にこれまでの円の先安感が後退してしまい、先物主導で下げ幅を拡大して▼398の14,088円となりました。

目先は9月27日の14,817円(もしくは7月19日の14,953円)がピークとなる可能性があり、14,000円水準まで下げてしまうのなら買いチャンスになってくるとし、当面14,000~15,000円のボックス圏の動きを10月24日(木)配信の「出島式長期投資」メッセージにおいて想定しました。しかし、翌日の25日(金)に一気に▼398の14,088円となりました。

8月7日以来の下げ幅となりましたが、特別に大きな悪材料といえるほどのものが出たわけではありません。きっかけは中国の短期金利の上昇で、円が高止まりしている中でリスク回避の円買いが出て、1ドル=96円台へ円高が進んだことにあります。又、週末要因に加え、裁定買い残が比較的高い水準にあるところから、先物の売り仕掛けで裁定買いの解消売りを誘発し、売りが売りを呼ぶ展開となったと指摘されています。考えてみると、10月8日の安値13,748円からの上昇で、薄商いの中を10月23日の14,799円まで10営業日で1,000円近い上昇をしてきたことで(こういう上昇の仕方はキッカケ次第で大幅下落になる場合があるとコメントしておきました)悪材料(円高方向の流れ)をキッカケに反対の動きが出てきたということでしょう。

 

今週は、決算見極めで上値は重く、個別物色へ

今週は、9月中間期決算の発表が本格化し、イベント(日銀金融政策決定会合、FOMC、アメリカの10月ADP雇用統計や7-9月期GDPなど)も相次ぐことから、様子見ムードの中で好決算銘柄の個別株物色の動きが続きそうです。先週末は、先物主導で売り仕掛けから裁定買いの解消売りを誘って大きく下げさせる動きとなりましたが、為替相場に変動が起きると(中国とアメリカの動向に注意)先物主導で需給が乱され大きな上下動となる可能性があります。又、11月は海外のヘッジファンドの決算が集中しており、5月の急落の時も5月末のヘッジファンドの決算に向かっての売りが大量に出ましたので、11月も注意しておく必要があります。但し、そうなっても5月の時点よりも企業の業績見通しはよくなっていますので、現時点では、下げても13,600円(三角保ち合いの下限)水準ぐらいと想定しています。ヘッジファンドの売りが大量に出る状況にならなければ14,000円水準が下値として意識されるところです。

本日は、前場はアメリカ株高と若干の円安から先週末の大幅下落の反動高で始まり、前引けは△151の14,239円でした。後場になると、先週の下落の時と逆に先物主導の上昇で裁定買いを誘い、△307の14,396円の大幅反発となりました。しかし、出来高、売買代金とも低水準で先物主導で指数のみが上昇した形ですので、本格上昇とはいえません。このまま上昇すれば、早めの確実な利益確定優先となります。

日経平均は、当面三角保ち合いの形となる可能性も…1つのシナリオを考える

日経平均が今年の5月23日の15,942円の高値をつけて、6月13日の12,415円まで急落した後のチャートをみてみますと、上値は5月23日の15,942円を高値として7月19日の14,953円、9月27日の14,817円、10月23日の14,799円と上値を切り下げ、一方6月13日の12,415円を安値として6月25日の12,758円、8月28日の13,188円、10月8日の13,748円と下値を切り上げる三角保ち合いの形となっています。この形であれば、先週末の25日(金)に14,088円まで下げてきましたが、この水準でいったん止まって反発し、14,800円水準(もしくは15,000円)に向かって上昇し、ここで再び下落する可能性があります。逆に、戻り弱く、14,000円水準を切って10月8日の13,748円を試すことも考えられます。

すでに欧米株式が史上最高値近辺で推移し、高値警戒感も出ていったん大きな調整をしてもおかしくない状況にありますので、14,000円水準から反発して14,800円水準に向かえば、ここは利益確定してキャッシュ化優先というスタンスがよいと思われます。但し、短期売買ができる人の相場であり、リスクを少なくする人は反発後の大きな下げ、もしくは三角保ち合いが完全に煮詰まるのを待つことになります。

(指標)日経平均

先週の予測では、上値としては7月19日の14,953円が上値ポイントとなるとし、当面の円安方向は期待できないことから全体相場というより、決算シーズンを迎えて上方修正期待の銘柄が多いことで業績相場となって個別銘柄物色の動きになりそうであるとしました。

結局、22日(火)にアメリカの雇用統計が予想を下回ったことで量的緩和策の縮小時期が先送りされる可能性から欧米株式は上昇となりましたが、為替は日米金利差縮小からドル売り・円買いの流れとなりました。23日(水)は、前場はアメリカ株高を受けて14,799円まで上昇するものの、7月19日の14,953円の前の9月27日の14,817円水準で止まり、後場は円高を嫌気して▼287の14,426円となりました。週末25日(金)は、これまでと逆に円の先安感が後退したことで先物主導で売られ、裁定解消売りを誘って急落し▼398の14,088円で引けました。

今週の予測は、三角保ち合いの中で戻りを試せば14,800円水準が上値で、下値模索となれば14,000円水準、ここを切ると10月8日の13,748円が下値ポイントとなります。

週明け28日(月)は、先週末とは逆に先物主導で裁定買いを誘い、大幅上昇となって△307の14,396円と大幅反発しました。しかし、出来高は低水準で売買代金も2兆円に届かず、薄商いの中を指数のみが上下している状況となっています。

(指標)NYダウ

先週の予測では、財政協議が16日に暫定合意となったことで年内は金融市場の不透明感が後退し、今月末のFOMCでQE3の規模縮小時期が先送りされることは確実との観測から、アメリカ株式は上昇基調が続くとしました。

22日(火)には、9月雇用統計が予想を下回ったことでQE3の長期化期待からアメリカ株式は3大指標とも続伸となり、S&Pは5日続伸で史上最高値を更新しました。23日(水)は、中国の成長ベースの懸念から▼54の15,413ドルと反落するものの、24日(木)は中国の10月製造業PMIが予想を上回り主要企業の決算も好調なことから△95の15,509ドル、さらに25日(金)も△61の15,570ドルと続伸し、9月18日の15,709ドルの史上最高値を試す形となってきています。

今週は、政府機関の閉鎖の影響が雇用や景気に出てくる可能性があり、現水準からの上値は重く、高値圏でのもみあいとなりそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、財政問題の不透明感とQE3の縮小時期が先送りされたことで、ドルは積極的に買われる状況ではなく、円安の方向は限定的とし、97~99円台のボックス相場としました。

結局、22日(火)にアメリカの9月雇用統計が予想を下回ったことで現行の量的緩和策の継続期待からドルが売られ、さらに中国の金利上昇懸念からリスク回避の円買いの動きもあって、週末25日(金)は一時96.94円の円高となり、引け値は97.40円でした。

今週も引き続きFRBによる金融緩和策の長期化観測が広がり、ドル安圧力となっています。29~30日のFOMCで景気に慎重な見方が示されるとドル売りがもう少し進む可能性があります。96~98円台のレンジ。

ドル/円