16日に暫定合意が成立。17日に7連騰となって材料出尽くし

先週は、17日(木)の期限までにアメリカの財政協議で暫定合意ができるかに注目としました。交渉がもつれれば、アメリカ株安、ドル安となって日経平均も売られる可能性があるが、交渉がうまくいけば日経平均は戻りが続くことになると予測しました。

連休明けの15日(火)は、アメリカでの与野党の協議に進展がみられたことで△36の14,441円と5日続伸スタートとなりました。17日(木)までに合意ができれば、15日に召集される臨時国会(成長戦略実行国会)と今月の後半の週からの上方修正期待の高い決算発表が始まるので、多少の微調整を交えて、まずは9月27日の高値14,817円を目指すことになるとしました。

結局、16日(水)の夜遅く、上院の超党派による暫定案(債務上限引き上げを来年の2月7日、連邦債務の歳出を1月15日まで認める)を下院も認めたことで合意が成立し、17日(木)のアメリカ株式は、ナスダックは年初来高値を更新し、NYダウは△205の15,373ドルの大幅高となりました。日経平均もこの日は14,664円まで上昇して△119の14,586円と7日連騰となりましたが、既にアメリカのデフォルト回避に向けた暫定合意を織り込む動きが続いていたことで、目先は材料出尽くしとなり、18日(金)は▼24の14,561円と8日ぶりの小反落で引けました。日本市場の引け後のアメリカ市場は、インターネット大手グーグルの好決算をきっかけにハイテク株が大幅高となり、S&Pは連日の史上最高値更新となりました。

本格決算期待を前に、戻りを試す動き

アメリカの財政問題が暫定合意できたことで、年内については金融市場の混乱は回避されましたが、あくまでも債務上限引き上げについては来年の2月7日まで、連邦債務の歳出は1月15日までの猶予であり、それまでに財政問題の進展がなければ、再び国債のデフォルト懸念が生じてきます。ねじれ国会という政治の主導権を争う状況にありますので、想定外のことが起こる可能性を念頭においておく必要があります。

今週は、先週末の18日(金)には、フランス、ドイツ、韓国の株式市場が金融緩和の継続期待から次々と年初来高値を更新してきたことで、日経平均も戻りを試す展開が続きそうです。但し、日経平均は為替とNYダウの動きに左右されますので、QE3の規模縮小が先送りの見方の中でアメリカの金利が低下し、日米金利差の縮小から円安に向かいにくので、日経平均が上値をどんどん追っていく形にはなりにくいと思われます。そのため、全体相場の方向性というより、決算シーズンを迎えて、例年通りの業績相場に移行すると考えた方がよいでしょう。又、アメリカの財政協議への不安から日経平均は東京オリンピック開催決定前の水準まで調整し、オリンピック関連銘柄が調整していましたが、改めて成長戦略の中で首都圏のインフラや関連銘柄は出直しとなるタイミングといえます。

今週は、2013年9月中間期(4~9月)の決算発表本格化を控え動きづらいところですが、好業績期待を背景に9月27日の14,817円、次いで7月19日の14,953円を試す展開となりそうです。アメリカ株式ではNYダウのみが年初来高値を更新しておらず、日経平均もある程度連動することを考えると、NYダウが9月18日の15,709ドルを突破できれば日経平均も14,953円を突破できることになるかもしれません。但し、その場合は売買代金が安定して2兆円を超えなければ難しいといえます。14,953円を超えたとしても、11月下旬に5月の高値期日が到来しますので、このときの異常な出来高、売買代金を考えると戻り売りとなって上値は重くなるといえます。上述したように好業績が物色されたり、出遅れの中低位銘柄が買われる展開となる可能性があります。

本日(10月21日)は、外部環境の良さと業績上方修正期待から、前場は△62の14,624円と反発して始まり、先物主導で△166の14,724円をつけました。後場になると、一時本日の寄り付き水準まで上昇幅を縮小する場面がありましたが、押し目買いが入って△132の14,693円で引けました。

(指標)日経平均

先週の予測では、米財政問題が17日(木)までに合意できるかどうかに左右されるが、合意できれば15日(火)からの臨時国会や企業決算が期待されてしっかりした動きになるとしました。

結局、16日(水)に上院案の債務上限引き上げと政府機関閉鎖再開が期間限定(来年2月7日と1月15日)で合意されたことでアメリカ株式は上昇し、ナスダックとS&Pは史上最高値を更新しました。しかし、為替は円安進行とならなかったことや、日経平均はすでにアメリカの財政問題への合意をある程度織り込んで17日(木)まで7日連続の上昇となっていたことで、逆に目先材料出尽くしで一服となり、18日(金)は▼24の14,561円で引けました。

日経平均は、アメリカの財政協議が合意できなかった場合のデフォルトを織り込む下げではなく、合意ができる前提に戻りを試していたことで、16日(水)に合意が成立すると、17日(木)は△119の14,586円と7日連騰となり、目先材料出尽くしとなって18日(金)は▼24の14,561円と8日ぶりに小幅反落となりました。

今週は、改めて「成長戦略実現国会」と位置づけられた臨時国会のスタートと決算シーズンを迎えて通期の上方修正期待の企業も多く、全体相場の方向性というより業績相場の動きとなりそうです。為替は、当面は大きな円安方向は期待できず、日経平均の上値としては7月19日の14,953円が1つ目の上値ポイントとなります。

週明け21日(月)は、外部環境の良さと業績上方修正期待を元に先物主導で一時△166の14,724円まで上昇し、終値は△132の14,693円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、17日(木)までに財政問題の合意ができるかどうかが焦点になるとしました。合意されれば戻りが続くことになるが、6週間のみの延期で決着した場合は戻りは弱いとしました。

結局は、16日(水)に上院での与野党案の債務上限引き上げを来年2月7日まで、連邦債務の歳出を1月15日まで認める合意案が下院でも可決されました。これを受けてアメリカ株式は上昇し、ナスダックとS&Pは史上最高値を更新、NYダウは反発するものの目先の景気悪化が懸念され、18日(金)は△28の15,399ドルで引けました。

16日(水)の暫定合意で年内は金融市場の不透明感は後退し、今月末のFOMCでもQE3の規模縮小時期見送りは確実で、世界的金融緩和継続期待から上昇基調となりそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、米財政問題を巡って政治に左右される相場展開が続くとし、合意できれば100円に向かう動き、合意できなければ96円台を試す動きになるとし、96~100円のレンジを想定しました。

16日(水)に財政協議は上院の暫定案が下院でも可決されたことで、ドルは一時99.01円まで買われました。しかし、アメリカの景況感悪化懸念からFRBによる量的緩和の規模縮小が先送りされるとの観測からドルは97.56円まで売られました。

当面は、アメリカの9月の失業率と日本の9月のインフレ率を見極める展開となります。目先は、財政問題の不透明感とQE3の規模縮小が先送りされることで、ドルは積極的に買われる状況ではなく、円安方向は限定的となりそうです。97~99円台のボックス相場となる可能性。

ドル/円