先週の日本株式は、アメリカの財政問題の不透明さから円高進行し、一時14,000円割れ

先週の予測では、アメリカの財政問題と安倍首相の発表に注目としました。アメリカの財政を巡る与野党の対立が激しくなり景気に与える影響を見極めたいというムードが広がり、日経平均も短期の過熱感があり、安倍首相の発表もサプライズ的な内容がなければ、材料出尽くしとなる可能性があるとしました。

10月1日(火)に、アメリカの2014年度の暫定予算が成立せず、17年ぶりに政府機関の一部が停止し協議が難航し続けていることで、17日期限の連邦債務上限引き上げ問題にも警戒感が出て、NYダウは、3日(木)には▼136の14,976ドルと約1カ月ぶりに15,000ドルを割れました。

日経平均は、10月1日(火)に安倍首相が正式に来年4月からの消費増税を発表し、それと同時に12月上旬に5兆円規模の経済対策をまとめる方針を明らかにしたものの、インパクトなく、アメリカの財政問題の不透明さに打ち消され、むしろ材料出尽くしの見方が出て、2日(水)には▼314の14,170円の大幅下落となりました。そして引き続きアメリカの財政問題の決着が不透明な上、QE3の縮小時期の判断に重要な9月の雇用統計の発表が見送りとなったことで、ドルは一時96円台まで売られ、週末4日(金)の日経平均は13,944円まで下げて▼132の14,024円で引けました。

今週は、アメリカの財政問題にらみ安値模索へ

先週末のアメリカ市場では、共和党のベイナー下院議長が債務上限問題についてデフォルト回避に向けて強い意志を表明し、TPP交渉を主導してきたオバマ大統領も8日(火)の首脳会合を欠席してまで財政問題の解決にあたることから、週末に何らかの財政問題への対応が出てくるとの期待でアメリカ株式は3指標とも上昇しました。シカゴCMEの日経平均先物△160の14,200円と反発していました。

しかし、本日7日(月)の日経平均の前場は、週末に期待された財政協議の進展はみられず、円が高止まりしたままであったことでシカゴCMEの日経平均先物(14,200円)にサヤ寄せすることなく△33の14,057円で寄り付き、14,073円まで上昇後は下落に転じ、14,000円を切ると為替が円安に動き、96円台になると日経平均は一段安となって▼172の13,851円まで下げ、前引けは▼150の13,874円でした。後場になっても安値圏でのもみあいとなり、大引けは▼170の13,853円となりました。

今週の日経平均は、財政協議の進展がみられるまでは下値模索が継続となりそうです。アメリカの財政問題を背景に海外投資家は運用リスクを避ける傾向が高まっており、一段と円安が進むようなら日経平均は一段安となります。日本経済の業績は回復中ですが、現時点(長くとも17日までは)では、最悪の場合のアメリカ国債のデフォルト懸念を想定して投資家が動いている面があるので、どこで日経平均が下げ止まるかは財政協議の進展がどこでみられるかにかかっています。

投資家が様子見となる中では、市場ボリュームが細る中で、売り手側はアメリカ国債のデフォルトの可能性を全面に出して、投資家に投げを出させて大きく下落させ、最終的には債務上限問題が解決して急反発するというシナリオを描くのが普通です。オバマ大統領側の民主党と共和党との戦いですが、もし17日までに本当に合意できなければデフォルトとなり共和党の責任になるのは明白ですので、17日までのどこかで合意がされるものと思われます。つまり、日米の株価は下落していても、アメリカの予算問題と債務上限問題の合意ができたというニュースが出れば、上昇に転換することになります。

どこで買うのか?・・・現水準からは、好業績銘柄を買い下がるのがよい

9月30日(月)の時点では下値ポイントを25日移動平均線水準とし、10月2日(水)にはここを一気に切ってきたことで、チャート分析では14,000円水準に75日移動平均線や26週移動平均線があるので、ここが大きなフシになるとしました。週末4日(金)には、26週移動平均線(13,970円)を下回る13,944円まで下がって14,024円で引けました。普通は、14,000円を一時下に切って戻していますので、いったんリバウンド予想されるところでしたが、先週末の財政協議が進展せず、26週移動平均線まで割り込みました。

誰も先のことはわかりませんので、今回の下げでは、リスクをとれる人は1回目の買いを25日移動平均線(14,200円水準)~14,000円水準で買っているのが普通です。次は、ほとんどの投資家が目先14,000円を大きく切っていく想定をしていませんでしたので、逆に14,000円水準から下は下げ過ぎとなっていきますから、ますますリスクの少ない買い場となっていくことになります。チャートでみると、目先は8月28日の13,188円から9月27日の14,817円までの上昇幅の0.618押しの13,810円が下値ポイントです。その下は、アベノミクス相場が始まって以来1度も割り込んでいない150日移動平均線(10月7日時点13,671円)や柴田罫線での13,600円が下値ポイントとして意識されるところです。又、9月3日に空けたマド(13,613~13,748円)も意識されます。つまり、この水準まで下げることを前提に好業績の個別株の押し目を少しずつ買い下がるということになります。いつ上昇へ転換するかはアメリカの財政協議次第ですので、結果が出てからでは買い場のタイミングを逃すことになります。

(指標)日経平均

先週の予測では、10月1日(火)に安倍首相の消費増税をとそれに伴う経済対策の発表予定であるが、材料出尽くしの可能性もあるとしました。アメリカの財政協議の難航もあり、調整気味の展開になるとしました。

結局、2日(水)はアメリカの政府機関の一部閉鎖を嫌気し、又安倍首相の発表内容にサプライズはなく材料出尽くしとなって先物主導で▼314の14,170円の大幅下落となりました。週末4日(金)もアメリカの財政問題での与野党対立が続いていることでドルが96円台まで売られ、日経平均は一時14,000円を割れ、終値は▼132の14,024円で引けました。

今週は、引き続きアメリカの財政問題での与野党対立を背景に世界的に投資家がリスク回避の動きとなっており、一段と円高が進むようなら日経平均は14,000円を割っていく可能性があります。但し、財政問題が進展すればアメリカ株式とドルは反発する公算が大きく、日経平均も連動することになります。もし、債務上限引き上げ期間の17日に向かって与野党対立が解けなければ、もう一段の株安・ドル安となって、日経平均はチャート上において13,600円水準までの下落の可能性があります。

週明け7日(月)は小高く寄り付くものの、先週末に期待されたアメリカの財政協議の進展がなかったことで14,000円を割ると一段安となり、26週移動平均線(本日13,980円)を割り込んで▼170の13,853円で引けました。目先の下値ポイントは8月28日の13,188円から9月27日の14,817円までの上昇幅の0.618押しの13,810円となります。その下は150日移動平均線(本日13,671円)、柴田罫線の13,600円水準があります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、財政協議の行方と9月の雇用統計が注目となり、9月の雇用統計が大幅改善すれば反発の期待もできるが、現水準での弱いもみあいが続くとしました。

10月1日(火)の午前0時までに暫定予算案の合意ができず、政府機関の一部が閉鎖され、その後も財政協議の難航から3日(木)には▼136の14,976ドルと約1カ月ぶりに15,000ドルを割れました。週末4日(金)は、景気回復のペースの鈍化で年内の量的緩和縮小の見送りの可能性から△76の15,072ドルと反発して引けました。

今週も政府機関の一部閉鎖に発展した財政問題を巡る与野党の対立に相場が左右され、さらに17日期限の債務上限引き上げ問題の行方も不透明で、対立が長引けば相場が混乱する可能性もあります。常識的には、どの時点かで合意ができて、急反発というパターンも考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、アメリカで暫定予算が成立しなければ政府機関の一部閉鎖となり、ドルが買われにくい地合いが続くとし、97~99円のレンジを想定しました。

結局、財政協議が与野党対立で政府機関の一部閉鎖となり、さらに長引けば債務上限引き上げ問題も不透明さが増してくることでドルが売られ、3日(木)には一時96円台をつけるドル安・円高となりました。週末4日(金)は97.43円で引けました。

今週も引き続き、アメリカの財政問題への懸念からドル売り・円買いの圧力が高まっています。市場の見方は債務上限引き上げ期間の17日まで、与野党はお互いに譲歩しないとの見方がよいでしょう。96~98円台のレンジを想定。

ドル/円