アメリカ株式の不透明さから14,410円まで下げるものの、週末は14,760円と4週連続陽線

先週の予測では、アメリカ市場ではFOMCによる量的緩和が見送られてNYダウは史上最高値をつけるものの、一転して「見送り」がアメリカ経済の回復の遅さを示すことになるのではとの思惑から下落に転じたことで、日経平均も軟調となりました。しかし、上値は重いとするものの、アベノミクス第2幕への期待が下支えして下値も限定的としました。

NYダウは、FRBの金融政策の不透明感に加え、連邦債務上限引き上げ問題で与野党の協議が難航していることで、25日(水)には5日続落の▼61の15,273ドルまで下げ、26日(木)は△55の15,328ドルと反発するものの、週末27日(金)は引き続き財務問題に対する警戒感から▼70の15,258ドルで引けました。

連休明けの日経平均は、NYダウの下落と98円台への円高を嫌気し、25日(水)は▼112の14,620円で引け、26日(木)は、前場は▼210の14,410円まで下落するものの法人税減税報道をきっかけに先物主導で切り返し、配当落ちの▼80円分を埋めた上に△178の14,799円の急反発となりました。配当落ちを計算に入れると安値から500円近い上昇ということになります。週末27日(金)は、前日の大幅上昇の反動安も懸念されましたが売り物をこなして底堅い動きとなり、一時20日(金)のザラ場高値14,816円を1円上回る14,817円と戻り高値を更新しましたが、上値は追えず▼39の14,760円となりました。前週比△17の14,760円と4週連続の陽線となるものの、10%の上昇で短期の過熱感も意識されるところです。

今週はアメリカの財政問題と日本の安倍首相の発表に注目

先週末27日(金)のアメリカ市場は、引き続き財務問題に対する警戒感から連邦債務引き上げ問題の行方を見極めたいという思惑で▼70の15,258ドルとなり、為替も98.1円までの円高となりました。

今週は、アメリカの財政を巡る与野党の対立が激しくなり、アメリカの景気に影響しないか見極めたいというムードが広がり、日経平均は、前週までの4週連続の上昇で短期の過熱感もあることから調整気味の動きの可能性があります。10月1日の安倍首相が発表する消費税の増税と、このマイナスを補うための経済政策が発表されますが、すでに法人税減税などはある程度織り込まれており、それ以外のサプライズ的な内容がなければ材料出尽くしとなる可能性もあります。

但し、下げても、秋の臨時国会を「成長戦略実行国会」と位置づけており、政策期待が下支えすることになりますし、10月中旬以降は日本企業の今期上期(4-9月)の決算発表を控え、上方修正が相次ぐ可能性があることで、日経平均が大きく下げれば買いチャンスとなります。

本日の日経平均は、アメリカでの与野党の協議がうまくいかず、アメリカの政府機関の閉鎖が濃厚と伝えられ、為替もドルが売られて97円台の円高に振れていることで▼229の14,530円の大幅安で寄り付き、10:45には中国のPMIが予想を下回ったこともあり一時▼334の14,425円となりました。しかし後場になると、日銀のETF買いの期待や明日の安倍首相の政策期待からやや下げ幅を縮小する場面もありましたが、引けにかけて再び売られ▼304の14,455円で引けました。

アメリカの債務上限問題のありそうなシナリオを考えると、政府機関の一部が停止したあと1~2週間かけて最終の与野党の詰めが行われ、土壇場で予算成立ということになるかもしれません。実質的なデフォルトに陥るのは11月からですが、時間の経過とともにデフォルトが意識され相場に悪影響を与えることも考えられます。連邦政府は10月17日までに借入手段が尽きると懸念を表明しており、協議が難航すれば、アメリカのデフォルト、国債の格下げ懸念が高まり、ドル売り・円買いと株安が進行することになります。

アメリカの株式が10月中旬まで不透明さが続くとすれば、日本の株式が上昇するためには、明日の10月1日発表の消費増税とセットで打ち出される経済対策がインパクトを与えるものになるかどうかにかかっています。明日は、朝に発表される9月の日銀短観で景気の改善が確認されたあと、安倍首相が消費税を予定通り来年4月から8%に引き上げる最終決定をすることになります。政府は既に総額5兆円を超える景気対策を発表しており、これらは既に織り込まれていますので、これ以上のものがなければ材料出尽くしとなります。しかし、同時に「日本再興戦略」のフォローアップとして具体的な内容やスケジュールも発表する見込みですので、この中で大胆な規制緩和があれば株式市場にはプラスとなります。とりあえず、明日の発表を待つことになります。目先の下げは、25日移動平均線(本日14,165円)を1つ目の大きな下値ポイントと考えてよいでしょう。)は、損切りポイントを決めて買うということがリスクを少なくする投資といえます。

(指標)日経平均

先週の予測では、目先は7月19日の14,953円を突破できるかどうかというところであるが、アメリカ株式の不透明感や短期の過熱感もあり、下値は限定的であるが上値は重いとしました。

連休明けの日本市場は、アメリカ株式の不透明感と円高基調から軟調な展開となり、25日(水)は▼112の14,620円となりました。26日(木)は、一時14,410円まで下落するものの法人税減税報道をきっかけに先物主導で切り返し、配当落ちの▼80円分を埋めて△178の14,799円となりました。週末27日(金)は、ザラ場では20日(金)のザラ場高値14,816円を1円上回る14,817円をつけて▼39の14,760円となりました。結局、想定通り上値は重いものの前週比△17の14,760円で4週連続の陽線となり、短期の過熱感はまだ残っています。

今週は、10月1日(火)に安倍首相の消費増税とそれに伴う経済対策発表の予定ですが、市場の反応は読みにくいといえます。経済対策はある程度織り込んでおり、予想以上のものがなければ材料出尽くしの可能性もあります。アメリカで財政を巡る与野党の対立が激しく見極めたい雰囲気が広がっており、短期の過熱感もあるところから7月19日の14,953円を上回る上昇は難しく、調整気味の展開の可能性が高いと思われます。

週明け30日(月)は、アメリカで与野党の協議がうまくいかず、政府機関の閉鎖が濃厚と伝えられたことでデフォルト懸念から、日経平均は▼304の14,455円の急落となりました。下値ポイントは三角保ち合いの上値斜線の14,300円水準、ここを切ると25日移動平均線の14,165円となります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、FRBの金融政策の不透明さや連邦債務上限問題での与野党の対立もあり、ドルの上値は限定的で神経質な展開を想定しました。チャートでは、上昇トレンド(B)の上値斜線にあたり、突破できずにいったん下落となっています。

結局、住宅指標が改善して上昇する場面はあるものの、金融政策の不透明さと債務上限問題が重しになり続け、前週20日(金)の▼185の15,451ドルから25日(水)の▼61の15,273ドルまで4日続落となりました。26日(木)は反発するものの、週末27日(金)はすぐに反落となって▼70の15,258ドルで引けました。

今週は、連邦債務上限問題に関する財政協議の行方と9月の雇用統計が注目となります。財政協議の行方がはっきりするまでは上値は重いものの、9月の雇用統計が大幅改善すれば反発の期待もできますが、現水準での弱含みのもみあいが続く可能性が高いと思われます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、FOMC後で円高は一服し、98~100円の中で円安気味に動くことを想定しました。

結局、FOMCの金融政策の不透明さに加え連邦債務上限問題で与野党の協議が難航していることで上値重く、99.36円をドルの高値に、週末27日(金)は98.1円まで下げて98.23円で引けました。

今週は、30日(月)の引け後のアメリカ議会で新会計年度の暫定予算が成立しなければ政府機関の閉鎖に陥り、さらに長引けばデフォルト懸念が出てくるため、ドルは買いにくい地合いが続くことになります。逆に成立すれば100円を再度目指すことになりそうですが、97~99円台でのレンジが想定されます。

ドル/円