先週は、週前半戻りを試すものの、結局は週後半下落となり短期調整へ

先週は、さらに戻りを試すのか、それとも短期調整入りとなるのか様子見ムードであったと考えられます。すでに「ねじれ国会解消」を織り込み、さらに今月末から本格化する決算もある程度織り込んで上昇しているので、このまま上昇するのは難しいと思われ、調整がほしいところと考えられます。

週初めは、「ねじれ国会解消」による安倍首相の長期安定政権への期待とソフトバンクの上昇が相場をけん引し、23日(火)は△120の14,778円となりました。しかし出来高は膨らまず、上値追いとはならなかったため、24日(水)は▼47の14,731円と反落し、出来高は今年最低の21.1億円でした。25日(木)になると、キヤノンの決算が予想を下回り、今後の決算に警戒感が広がって▼168の14,562円となりました。週末の26日(金)は、アメリカの量的緩和の縮小時期が遅れるとの見方からドルが売られて1ドル=98円台の急激な円高となったことで日本市場は全面安となり、▼432の14,129円の大幅下落となりました。

投資は確率で考えることの重要性を再度実証

結局は、一番期待していた値幅調整となってきましたが、当然の流れと思われます。すでに投資は確率で考えていくべきだと思っておりましたが、今回は「選挙前に利益確定を優先して次の大きな下げを待つ」と予想しました。5月15日(水)には「山高ければ谷深し」というメッセージで急落が起こることを予測し、5月23日(木)に15,942円の高値をつけて反落となり、▼1,143の14,483円と戦後11番目の急落となって、6月5日(水)には、13,000円水準以下の場合は買っていくと予想し、6月13日(木)の12,415円まで下げました。

その後しばらくもみあったあと、6月27日(木)に△379の13,213円と急反発し、4日連続の大幅上昇となって、7月2日(火)には△246の14,098円と14,000円台を回復しました。すでにテクニカル的に過熱感も出ており、7月21日(日)の参議院選挙に向かって上昇すれば、材料出尽くしとなる可能性があり、選挙日前後までには利益をとれるものは利益確定優先としてきました。16日(火)のメッセージでは、「今週いっぱいで手仕舞いしなければいけないのか」ということについてコメントしました。結局、19日(金)に14,913円の高値をつけましたが、短期で下げ幅の70%を戻し、騰落レシオは120%を超え、25日移動平均乖離率は約8%と過熱感が増し、さらに出来高が減少しており、先物主導で大きく下にブレやすい状況などを考えると、確率的に上に行くより、下に行く方が可能性が高いと判断できました。先週末26日(金)の▼432の14,129円の急落は、突然の出来事ではありません。

今週は下値模索だが、上方修正銘柄は押し目買いも可

今週は、円高進行とキヤノンを始めとする主要企業の予想を下回る決算を嫌気し、下値模索の展開となってきました。主要企業の決算発表もピークを迎えることで、個別企業の業績を見極めようとする動きで手控えムードとなり、さらに7月30日(火)~31日(水)のFOMCの量的緩和の縮小時期への示唆や8月2日(金)の7月雇用統計を控えて様子見となることから、悪材料が出ると買い支えが乏しくなると考えられます。これは、下値を模索するパターンであると思われます。自民党勝利による安倍安定政権への評価はあるものの、外国人買いは思ったより膨らんでいない状況です。

週明けの29日(月)は、為替が1ドル=97円台の円高となり、さらに先週のキヤノンを始めとした主要企業の予想を下回る決算から▼230の13,899円の大幅安で寄り付き、先物主導で裁定解消売りを誘い、投げ売りも出て▼468の13,661円の安値引けとなりました。

チャートの下値のフシをみると、25日移動平均線(29日時点14,134円)、75日移動平均線(29日時点13,923円)をあっさり割り込み、6月13日の12,415円から7月19日の14,953円までの上昇幅の1/2押し(13,684円)水準まで下げました。次の下値ポイントは、柴田罫線では13,500円水準となり、その下は26週移動平均線(13,233円)と2/3押し(13,261円)があり、ここまで下げると三角保ち合いの中の下値サポートラインに到達しますので、大きく反発することになります。

どこまで下がるのか、いつ反転するのかはわかりませんが、確率で考えると、現水準(13,661円)からは13,300円水準まで下がるのを想定し、業績の上方修正銘柄の押し目買いはリスクが少ないと思われます。

目先は自律反発も考えられますが、来週の9日(金)はSQ日ですので、本格的に反発に転じるとすれば、SQ日前後からとなるかもしれません。

◎確率で投資売買を考えるためには、どうすればよいかという実践術(私の過去10年間のリスク限定の投資法の集約)を理論づけした17冊目の新刊『シンプルに儲ける50代からの株式投資』を8月中旬頃出版予定です。

(指標)日経平均

先週の予測では、自民党圧勝による「ねじれ国会解消」による材料出尽くしが、19日(金)の急落に続いて継続するのかどうかに注目としました。チャートからは、14,828円を終値で上回ると15,000円を試す動きとなり、材料出尽くしとなって調整に入れば、まず7月SQ値14,410円を目指し、ここを切ると7月8日の14,109円となり、その下は13,700円水準としました。

7月23日(火)は、薄商いのなか先物主導で14,820円まで上昇し、終値は△120の14,778円となり、14,828円を上回ることができませんでした。25日(木)はキヤノンの決算が予想を下回ったことで今後の決算に対する警戒感が広がり▼168の14,562円で売転換が出現し、翌26日(金)は主要企業の決算が冴えず、為替が1ドル=99円台前半の円高となったこともあり、▼432の14,129円の大幅下落となって7月SQ値14,410円をあっさり切り、7月8日の14,109円、又25日移動平均線(7月26日時点14,110円)を試す動きとなりました。この大きな下げにより、三角保ち合い(A)になる可能性もあり、下値抵抗ラインまで下げるとすれば13,300円水準も考えられます。その場合は、為替の円高や海外の株式の下落など悪材料が出た時でしょう。今週は、25日移動平均線を守れるかどうかに注目です。守れずに14,000円を切ると次は75日移動平均線(7月26日時点3,915)、その下は13,700円水準となると考えられます。

週明け29日(月)は、為替の一段の円高(97円台)に加え、先週のキヤノンの決算が予想を下回ったのを始めとして他の主要企業も予想を下回るものが多く、又30~31日のFOMCや8月2日の7月米雇用統計を控え先物主導で裁定解消売りを伴い、投げ売りも出て▼468の13,661円での全面安となりました。次の下値ポイントは13,500円水準となり、その下は26週移動平均線(13,233円)や2/3押し(13,261円)があり、三角保ち合いの下限ラインでサポートされるところです。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、高値圏での決算発表のため、その結果に一喜一憂する展開になりそうだとし、特にアップルやキャタピラーの決算には注目としました。

結局、アップルは予想を上回り、キャタピラーは予想を下回るというまちまちの動きとなりました。経済指標もまちまちのため株式市場は高値圏でのもみあいとなり、週間では△15ドル高でした。

今週は、30~31日のFOMCの内容によって量的緩和の早期縮小時期の確認ができ、長期金利の低下、株高となりますが、そうでなければ金利の上昇、株安という動きになりやすいと考えられます。経済指標の発表が多く、特に週末の7月雇用統計が注目となります。高値圏での神経質な展開が続きそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、選挙結果(特に自民党の単独過半数)によっては円の一段安も考えられるが、予想通りであれば材料出尽くしから株と為替は一服とし、99~101円を想定しました。

結局は、自民党の圧勝は想定通りであり、材料出尽くしとなってドルの上値は重く、週末26日(金)には量的緩和の早期開始の後退で金利が低下し、ドルが売られ、98.7円でドルの売転換出現となりました。

今週は、30~31日のFOMCの内容次第ではどちらの方向にもブレやすく、又週末に7月雇用統計を控えて神経質な展開となると考えられます。97~100円のレンジを想定。

ドル/円