先週は14,000円守れず、チャート分析で想定した1/3押しの13,500円水準へ再急落

先週は、急落調整局面へ入るとし、目先は下値模索の動きが続くとしました。特に、27日(月)に▼469の14,142円と大幅安となったことで、14,000円を守れなければ、昨年の11月13日の安値8,619円(アベノミクス相場のスタートは、衆議院選挙が決定した11月14日の8,653円ですが、チャートのスタートとしては8,619円となります)から5月23日の15,942円までの上昇幅の1/3押し(13,501円)水準までの下落を柴田罫線のチャート分析で想定しました。

今回の下落は、週刊誌や大手新聞で騒いでいるアベノミクスの「化けの皮が剥れる前の暴落」などではなく、外資系ファンドが、先物主導で一部の日経平均に連動する銘柄(ファーストリテイリング、ソフトバンク、京セラなど)を買い上がって裁定買いを呼び込んで上昇させ、今度の下落局面ではそれらの銘柄を売って先物主導で下落させ、裁定取引解消売りを誘って急落になったという単純な需給関係からの下げといえます。5月23日の戦後11番目の下落以降、連日300円以上の振れ幅の大きい状況は先物主導での仕掛け的な動きによって起こっているといえます。

先週は、27日(月)に▼469の14,142円と大幅下落、28日(火)は△169の14,311円、29日(水)は△14の14,326円と2日続伸しましたが、あまりにも戻り弱く、この時点でOECDの世界GDP伸び率が昨年11月予想の△3.4%から△3.1%へ下方修正されたことで、裁定解消を狙った売り崩しの動きから、30日(木)は▼737の13,589円と一気に13,500円台への再急落となりました。OECDの下方修正は単なるきっかけに過ぎません。なぜならば、今年(2013年)の見通しは引き下げたものの、2014年の世界GDP伸び率は△3.1%から△4.0%へ加速するとなっています。相場は、来年を織り込むのがふつうですので、今年の下方修正は下落のきっかけに使われたに過ぎません。週末の31日(金)は、大幅反発するものの上値重く、△185の13,774円で引けました。

ただし、引け後のアメリカ市場では、NYダウ▼208の15,115ドル、為替1ドル=100.70円となり、シカゴ日経平均先物は△245の13,455円と13,500円を割っています。

どこまで下落し、いつ反発するのか?

どこまで下落し、いつ反発するのかのドンピシャのタイミングは誰にもわかりません。5月15日(水)の「山高ければ谷深し」で、15,000円台で急騰した場合は急落の確率がますます高まるとし、そうなるとこれまでのような少しの下げでは済まず、2,000円近い下げも考えられるとしました。結果的に、1週間後の23日(木)に前場15,942円まで急騰し、後場になると▼1,143の14,483円の急落となりましたが、相場状況(このときは長期金利の1.0%への上昇と中国の経済指標の悪化)が違えば、2週間後、3週間後だったかもしれません。

今回も同じような分析ができます。昨年11月14日の衆議院解散の事実上の決定から今年の5月23日の15,942円まで、約6カ月で80%以上の上昇率(1949年東証再開以来4番目の高い上昇率)のあと、この日に▼1,143の14,483円の急落となりましたので、それ相応の値幅調整と日柄調整が必要となります。

値幅調整でいうと、中長期上昇トレンドでの本格調整は、1/2押しから1/3押しが普通ですので、今回のような円安トレンドがはっきりしており、これから輸出企業の実績を織り込む動きを想定すると、1/3押し(13,501円)水準を1つの目安と考えました。しかし、相場には上にも下にも行き過ぎがありますので、1/2押し(12,281円)水準を目指す動きとなってもおかしくありません。特に、上昇する時に日経225に連動する値ガサ株(ファーストリテイリング、ソフトバンク、京セラ、ファナック、アドバンテストなど)を重点的に買って日経平均の指数を引き上げていますので、下落の場面では、これらが集中的に売られて日経平均の指数を大きく下げることになる可能性があります。

さらに、先週末にQE3規模縮小懸念からNYダウが大きく下げていますので、NYダウの一段安と円安が進めば下げを促進することになります。本日は業種にかかわりなく追証が発生しているといわれていますので、セーリングクライマックス的な再度の急落、大商いで反発というテクニカル的な動きも考えられます。しかし、大きく下げているのは主力株の大型株中心であり、小型株の指数は比較的に下落が小さいようです。

本日は、前場で一時▼387の13,387円まで下落して下げ幅を縮小し、▼298の13,475円で引けました。しかし、後場になると先物主導で値ガサ株中心に売られ再び急落となって、大引けは▼512の13,261円でした。

ここまでくると、値幅調整のボトムゾーンは75日移動平均線が13,037円にありますので、13,000~13,500円を現時点では想定するところです。あとは、NYダウ、為替次第のところがありますが、弱気になる必要はないと思われます。ただし、13,000円水準に近づく下げとなっていますので、当面はリバウンド狙いの買いとなり、日経平均の当面の上値目標は15,000円となります。

日柄調整でいうと、6月5日(水)に政府の成長戦略の発表予定があり、週末にはアメリカの雇用統計がありますので反発するきっかけも考えられますが、6月は14日(金)にメジャーSQを控えており、ここまでは本格的に動きにくいところですので、14日(金)のメジャーSQが分岐点になるという見方もできます。

(指標)日経平均

先週の予測では、しばらくはポジション調整的な処理もあり、値動きの荒い展開を想定しました。上昇すると先物主導による売り仕掛けも出やすいので注意する必要があると、24日(金)の13,981円の長い下ヒゲは実体で埋めてくる可能性がありました。

週初めの27日(月)は、▼469の14,142円と14,000円を試す動きとなりましたので、14,000円を守れなければ11月13日の8,619円から5月23日の15,942円までの上昇幅の1/3押しの13,500円水準を下値ポイントとしました。

今週も先週に引き続き、日経平均先物に相場を揺さぶられる場面がありそうです。前週までの急落で投資家は積極的な買いを入れにくくなっており、円相場や長期金利の不安定な動きも重荷となりそうです。一応、1/3押しの13,500円水準は下値ゾーンと思われましたが、6月3日(月)はNYダウの急落と100円台の円安を嫌気し、後場急落となって▼512の13,261円となり「ろく売」が出現しました。柴田罫線では、安値圏でのろく売は確率的に買転換になっていきやすいというのもあります。一応昨年11月13日の8,619円からの上昇トレンドの下値斜線(A)にあたってきています。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、経済指標の好調さはアメリカの景気回復期待から株価上昇要因となるものの、好調な経済指標が相次げば、QE3の早期縮小懸念から株価は下落という方向性の定まらない動きが想定されました。

連休明けの28日(火)は、海外株式の上昇や好調な経済指標を受けて一時△218の15,521ドルまで上昇し△106の15,409ドルとなりました。29日(水)は、OECDの世界GDP伸び率の下方修正やQE3の出口戦略が意識され▼106の15,302ドルと反落。さらに週末の31日(金)は、堅調な経済指標を受けて引き続き出口戦略が懸念され、月末のポジションリバウンドの動きもあって▼208の15,115ドルの大幅下落となりました。

今週は、経済指標の発表が多く、景気回復への期待とFRBによる金融緩和策(QE3)の早期縮小を巡る思惑が交錯しそうです。特に、7日(金)発表の5月雇用統計が注目となります。柴田罫線では、4月19日の14,444ドルから5月22日の15,542ドルまで上昇後、久しぶりの陰線が出現しました。早い段階で15,542ドルを抜けなければ調整となっていく可能性があります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、日本株式の急落によって、これまで円安・株高を期待して買っていたドルをいったん売る動きにつながり、円は高値で推移する公算が大きいとし、レンジを100~102円としました。結局、100~102円台での動きとなり、週末は100.70円で引けました。

現在は、急速な円安・ドル高は調整局面にあり、一進一退を続けています。今週は、米国の経済指標が相次ぐため、景気回復が確認されればドル買い・円売りとなり、そうなるとFRBの早期の金融緩和の縮小の方向からも日米金利差拡大からドル買い・円売りの流れとなります。注目は、7日(金)発表の5月雇用統計といえます。今週も基本レンジは100~102円を想定。

ドル/円