20日(水)に11,510円をつけて、22日(金)に11,175円まで下落するが急速に切り返す

先週の予測では、11,000~11,500円の中でのもみあいを想定し、この中で日柄調整を完了するのか、それとも多少値幅調整を伴うのか見極めるところとしました。上値は6日(水)の11,498円を突破するには一段の円安進行が必要であり、下値では押し目買い強く、25日移動平均線(18日時点11,009円)としました。

結果的には、18日(月)にG20のイベント経過から為替が1ドル=94円台の円安進行となったことで△234の11,407円の大幅上昇となり、20日(水)には為替は93円台半ばの円安一服となったものの、欧米株式の大幅高の流れを受け一時11,510円と4年5カ月ぶりに11,500円を回復しました。しかし、出来高・売買代金は減少してきており、上値を追っていくエネルギーはありませんでした。翌21日(木)は、日米首脳会談やイタリア総選挙を前に利益確定売りが広がり、▼159の11,309円となりました。週末の22日(金)は欧米株安の流れから売り先行で始まり、11,175円まで下落して調整ムードが高まりましたが、ここから先物主導で切り返し、後場になるとプラスに転じて△76の11,385円で引けました。

2山形成後の押し目を浅くした上放れ。目先はイタリア総選挙の結果待ち

チャートをみるとわかりますように、目先の下値抵抗ラインが2月15日(金)の終値11,173円にあり(柴田罫線では、これを20円下の11,153円を下回ると売転換としていました)、22日(金)のザラ場では11,175円とあと2円のところまで迫って急反発となりました。市場では、完全に先物主導の動きであり、売りが先行していたCTA(商品投資顧問)の買い戻しによるものではないかと言われていました。日米首脳会談を控えて、内容的には不透明感のままでしたので一方的に買い戻しが入るのもちょっと不思議な気がしましたが、その後日米首脳会談でTPP交渉の参加表明と共同声明という予想以上のものが出てきましたので、早めにこの情報を手に入れて買い戻しに入ったのかもしれません。突然の共同声明というのはありえませんから、担当者間では早い段階にそういう話が煮詰まっていたはずです。

チャートの形は、2月6日の11,498円、2月20日の11,510円とダブル天井のような2山形成をして小さな押し目を作っています。下値では、下値を切り上げる形が続いていますので、このまま直近の下値を切ることなく、11,510円を終値で上回ってくると目先上放れの形となってきます。

結局、週明け25日(月)の日本市場は、NYダウ高、TPP交渉への参加、次期日銀総裁の提示を受けて寄り付きから△178の11,564円と大幅高となり、11,600円を回復する動きとなりました。特にTPP交渉は、「聖域ない関税撤廃が前提ではない」ということをオバマ大統領と共同声明をするという予想以上の内容となりました。更に、日銀の次期総裁にアジア開発銀行の黒田氏(大胆な金融緩和の賛成派)の人事案が固められたことで円は一時95円をうかがう動きとなり、輸出の主力株や金融株、不動産株が買われ大幅上昇となり、大引けは△276の11,662円で引けました。

チャートは、上述した上放れの形「2月6日の11,498円、2月20日の11,510円と2山形成をして浅い押し目を入れて、一段高」となりました。但し、11,600円台からは材料不足で上値重く、イタリア総選挙の結果待ちとなります。下げても、よほどの悪材料でない限り、今度は11,400円台が目先の下値抵抗ゾーンとして作用するのがふつうです。次は11,750円水準に上値のフシがありますが、12,000円を目指す形と考えられます。

(指標)日経平均

先週の予測では、G20の声明を受けて円安一服の可能性があり、利益確定売りも出やすく高値圏での荒い動きを想定しました。その場合、下値ポイントは25日移動平均線(2月15日時点10,978円)であるが、終値で11,153円を切ると日経平均にも短期の売転換が出現するとしました。

18日(月)の△234の11,407円の大幅反発のあと、少し押し目を入れて20日(水)には欧米株式の大幅上昇を受けて一時4年5カ月ぶりに11,510円と11,500円台を回復し、△95の11,468円となりました。しかし、NYダウの反落と円安一服を受けて21日(木)は▼159の11,309円、週末22日(金)は11,175円まで下げるものの、ここから先物主導で切り返し、△76の11,385円で引けました。何とか11,153円を守りました。

今週は、22日(金)の日米首脳会談でTPP交渉への参加が共同声明という予想以上の形で表明されたことで成長戦略の具体化を待っていた投資家の買いが入ってくる可能性があります。一方で、イタリア総選挙の結果では利益確定売りの可能性もあります。チャートをみると、先週下値抵抗ラインの11173円を切らずに11,175円から切り返し、下値切り上げの形で上で2月6日の11,498円、このまま11,510円を終値で上に抜けていくと「2山形成後の浅い押しは上放れ」という形になる可能性が出てきました。

結局、25日(月)は、TPP交渉への参加表明と次期日銀総裁へ金融緩和積極派の黒田氏の起用の提示を受けて1ドル=94円台への円安進行となったことで輸出関連の主力株や金融株が買われ、△276の11,662円で引けました。次の上値は11,750円水準で、ここを突破すると12,000円を目指すことが考えられます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、材料不足は変わらず、上値の重たい展開の中で、前週と同じく14,000ドルを挟んだ動きが想定されるとしました。

連休明けの19日(火)は、欧州株式の大幅上昇を受けて△53の14,035ドルとなるものの、翌20日(水)はFOMC議事録の中で金融緩和の縮小の可能性を示す委員のコメントがあったことで懸念が高まり▼108の13,927ドルの大幅反落となりました。翌21日(木)も▼46の13,880ドルまで続落しましたが、週末22日(金)は欧州の反発と好決算を受けて△119の14,000ドルとなりました。結局、14,000ドル水準を前にもみあいが続いています。

今週も方向性を欠き、高値圏でのもみあいが続きそうです。20日(水)のFOMC議事録の内容を受けてQE3が縮小・終了される観測が広がり、株式市場が下がる場面があり、後で否定されたことで戻したものの懸念はくすぶっています。26~27日のバーナンキ議長証言に注目となりますが、3月1日に歳出の強制削減が迫っていることは不安材料となります。28日の昨年10~12月期のGDPが上方修正になるようだとNYダウの最高値も意識されるところです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、G20の声明を受けて一方的に円安を進めにくい状況となり、また2月中旬から3月初めにかけて期末に向けての輸出企業の円買いも活発になるため、円安の流れは一服する可能性が高まるとしました。

今週は、日銀総裁人事を巡り金融緩和への期待が高まる可能性がありますが、イタリアの総選挙次第では欧州債務不安が再燃し、ユーロ売り・円買いが進むことも考えられます。当面は、92~95円のレンジの動きが続きそうです。

ドル/円