円安一服で、日経平均は週末一時11,100円割れ

先週の予測では、2月6日(水)のザラ場高値11,498円をピークに「節分天井」となった可能性が高く、このまま日柄調整もしくは値幅調整になっていくことも考えられるとしました。特に先週は、日銀金融政策決定会合、G7、G20を控え、為替が円安継続が不透明なことから円安一服となって、11,200~11,500円のレンジの動きを想定しました。

連休明けの12日(火)には、前日に独と米国の高官による円安容認発言から為替が一時94円台となったことで日経平均も一時11,400円台を回復し、終値は△215の11,369円でした。しかし、G7の声明は円安を容認するものではなく、G20に為替の問題は持ち越されるという報道から円安一服となり、13日(水)には▼117の11,251円と反落し、週末の15日(金)にはG20を控えて対ドル・ユーロで円が買い戻され(ドル/円で92円台、ユーロ/円で123円台へ)、日経平均は一時▼232の11,065円まで売られ、終値は11,173円となりました。

結局、円安一服となり、11,200~11,500円のレンジを守ることができずに終わりました。日経平均だけをみていると調整らしくみえませんが、週末の15日(金)の東証1部の個別株の動きをみると、1414銘柄が下落し、値下がりランキングの上位銘柄の中でも、10%を越える大幅下落をしている中小型株が目立ちます。時価総額の大きい金融株(銀行・証券など)を中心に構成されているトピックスは、この日に▼12の942Pで売転換出現となりました。特に、先駆して上昇していた内需株の不動産・建設株は大きな調整となってきており、買いチャンスと考えられます。

テクニカル面や需給面からみると、調整続く可能性高い

先週末は、G20では為替について、12日(火)のG7の共同声明(円安容認の方向)の見解を支持する見通しがある一方で、G7とは異なる円安批判の可能性も一部ではあることから不透明感が高まり、円高進行(92円台)となって、日経平均も11,173円で引けました。結局、16日(土)のG20では、「通貨の競争的な切り下げを回避する」と明記し、通貨安競争を避ける方針で一致し、日本が円安を誘導しているという名指しの指摘は避けられました。しかし、自国通貨高を懸念する新興国は不満のままで終わったと伝えられています。

G20の共同声明を受けて、円安基調が継続するのかどうか見極めるところですが、週明けの18日(月)は円安基調となりました。日経平均は高寄りして始まり、円が94円台へ進行すると上げ幅を拡大して△234の11,407円で引けました。

高値警戒感はあるものの下値では押し目買いもあり、今週は11,000~11,500円の中のもみあいが想定されます。この中で、日柄調整を完了するのか、それとも値幅調整を伴うことになるのか見極めるところですが、好業績の個別株は1/2押し水準をメドに買い下がっていくところです。2月6日(水)の高値11,463円(ザラ場高値11,498円)を突破するには為替が95円を試す円安進行となる必要がありますが、名指しこそされなかったもののG20の中では批判もあり、日本政府としてもこのまま円安を積極的に継続しにくいところです。

テクニカル的にはまだ過熱感もあり、11月13日の8,613円から2月6日(水)の11,463円まで約3カ月間の上昇期間となっていますので、リズム的にも1カ月くらいの調整があってもおかしくないところです。需給面からも、2月8日時点の信用買い残高は19兆円となって2010年7月以来の大きさとなっており、裁定買い残も2007年2月以来の大きさとなっています。又、3月期末を控えて企業の決算対策売りも出てくるところです。押し目買い強ければ日柄調整、何か悪材料が出れば多少の値幅調整があって、その後再上昇となることが想定されます。今のところ、下値は25日移動平均線(2月18日時点11,009円)が下値抵抗ポイントとなりますので、11,000~11,500円のレンジ内の動きが考えられます。

トピックスは、先週末の15日(金)に短期の売転換が出現しましたが、本日は△20の962Pと大幅に戻しています。このまま伸びて974Pを上回って引けるようだと再度の買転換となりますので、その場合は、日経平均は11,500円を試す動きとなっている可能性があります。

(指標)日経平均

先週の予測では、日銀金融政策決定会合、G7、G20があり、為替に左右される展開になるとし、これまで日経平均は円安を唯一の材料にして上昇してきているため、円安一服で下落となるとしました。また、前週の高値で当面「節分天井」になる可能性もあるとしていました。結局、週初めには昨年来高値に迫る場面もありましたが、円安基調が一服となり上値が重くなって、週末15日(金)は11,065円まで下げて▼133の11,173円で引けました。

今週は、G20の声明を受けてこのまま円安継続が当面は困難になったとも思われますので、円安の流れが一服する可能性が出てきました。そうなると、短期筋による利益確定売りも出やすく、高値圏での荒い動きとなるかもしれません。下値は25日移動平均線(2月18日時点11,009円)が下値ポイントとなりますが、11,046円を終値で切ってくると柴田罫線で短期の売転換出現となってきます。トピックスは既に先週末の15日(金)に売転換が出現しています。

週明けの18日(月)は、G20で日本の直接の批判がなかったということで円安進行となり、1ドル=94円台への進行を受けて△234の11,407円で引けました。11,000~11,500円のレンジが想定されますが、11,153円を引線の終値で切ると短期の売転換出現となります。出来高は31億株と減少してきています。この状況が続けば11,500円突破は難しいところです。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、最高値更新まであと200ドルという高値圏にあるため、何か好材料が出なければ利益確定売りで上値重く、14,000ドルを前にもみあいが続くとしました。結局、14,000ドルを挟んだ小幅のもみあいとなり、1週間で1ドル安、2週連続の下落となりました。1月に活発だった資金の株式市場への流入が鈍り、利益確定売りに押されています。

今週も、材料不足は変わらず上値の重たい展開が想定されます。米企業の決算発表もピークを過ぎ、あとは小売大手の決算や住宅指標を見極めながら先週と同じように14,000ドルを挟んだ動きが想定されます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、G20や日米首脳会談を控え不透明感もあり、円安一服となる可能性があるとしました。2月11日(月)には94.2円台で引けて「ろく買」が出現し、高値圏での「ろく買」は上に伸びることができない場合は売転換出現となって、円安進行がいったん調整に入る可能性が高いとしました。結局、G7高官の発言にブレがあり、新興国は先進国の金融緩和への不満があることで、G20声明では通貨安競争の回避が取り上げられました。

今週は、先週末のG20声明で日本の名指しはなかったものの、これまでのように金融緩和を前面に出して円安方向にもっていきにくい状況となりました。また、2月中旬から3月初めにかけて、期末に向けての輸出企業の円買いが活発になるため、円安の流れは一服する可能性が高まります。2月4日の92.5円を終値で切ってくるとドルの短期の売転換(円高へ)となって、最大で90円水準までの調整の可能性があります。週明けの日本市場では、G20通過で日本が名指しで批判されなかったことで円安進行となり、1ドル=94円台となっています。しかし、G20声明文の中で「金融政策が他の国に与える影響について注視する」といった内容が盛り込まれているため、円安に一定の歯止めがかかる可能性があります。

ドル/円