先週は7カ月ぶりの高値更新となるものの上値重く、9,500円水準のもみあい状況

先週の予測では、日経平均が9,500円水準でもみあうか、それとも更に一段高になるかはNYダウ次第だとしました。日経平均は為替に連動して動いており、日経平均の上昇は更なる円安が必要で、そのためにはNYダウが上昇してドル買い・円売りとなることが必要としました。

基本的には、円安が一服であれば9,500円水準での一進一退の動きが想定され、アメリカでも同様に「財政の崖」問題や経済指標の結果とからんで、アメリカ株式も一進一退となるかもしれないとしました。

結局、日経平均は9,500円を挟んだもみあいとなり、週前半は終値ベースでは9,500円を突破できませんでしたが、12月6日(木)は、NYダウが13,000ドルを回復したことや円安方向への強まりで△76の9,545円と、前日に続き7カ月ぶりの高値更新となりました。しかし、高値更新といっても値幅は小さいので、実態は9,500円水準の高値もみあいのような動きといえます。週末の7日(金)は、この日も高値更新するものの上値は重く、引け後にアメリカ市場での11月雇用統計を控えていることで▼17の9,527円で引けました。

引け後のアメリカ市場での11月雇用統計は、非農業部門雇用者数と失業率が共に改善したことで△81の13,155ドルとなりましたが、ナスダックはアップルの下落を受けて▼11の2978Pとまちまちの動きでした。為替はNYダウの上昇でドルが買われて一時82.83円まで円安が進みましたが、輸出企業のドル売りで82.47円で引けました。シカゴ日経先物は9,545円となっています。

今週は、強弱の材料が入り混じり、様子見が基本

11月14日に野田首相が解散を宣言した後、株式市場は選挙ムードに包まれ、自民党の政権復帰を見込み、選挙後のより踏み込んだ金融緩和策やインフラ投資の期待から、先週後半には7カ月ぶりの年初来高値更新となって9572円まで上昇しました。3週間で約10%の上昇となります。

一般的な見方としては、選挙結果後の自民党政権への期待を織り込んだ上昇であり、選挙の結果によっていったん材料出尽くしとなって、手仕舞い売り優先になるということになります。しかし、一方でアメリカで「財政の崖」問題が早めに合意に達すれば、ドル買い・株式買いとなって日経平均もサポートされるという見方もあります。とにかく、今週から来週にかけて重要イベントが目白押しで強弱感が対立する相場状況となりますので、一般投資家は冷静に行方を見守るのがよいということになります。

アメリカ市場での強弱材料

先週末の7日(金)の11月雇用統計が大幅改善となったことでドルが一時82.83円まで買われましたが、利益確定売りで82円台前半まですぐ売られました。その理由に、11日(火)~12日(水)のFOMCで追加の金融緩和策が出る可能性があり、そうなるとドル売り・円買いとなるからです。これまで金融緩和策の1つとして行われていた短期債を売って長期債を購入するオペレーション・ツイストといわれているものが今月末で終了するため、その代替緩和策が発表されるという見方が支配的となっています。又、キャピタルゲインの税率が来年から引き上げられるために節税対策として利益確定売りが行われています。アップルの急落は節税対策によるものとみられています。「財政の崖」問題は、要人の発言で一喜一憂していますが、クリスマスまでに合意できればプラスへ、来年に持ち越されるような動きになるとマイナス要因となりそうです。

日本市場での強弱材料

基本的には、上述したアメリカ市場の動きに左右されるため様子見ムードで上値の重たい展開となり、9,500円水準でのもみあいが続きそうです。選挙結果(自民党の政権復帰)でいったん利益確定売りとなる一般的な見方がありますが、単独過半数をとるような圧倒的な勝利であれば、週明けの日銀の金融政策決定会合への期待から上値は重たいものの、高値を更新する(9,600~9,700円)動きとなることも考えられます。

需給関係からは、14日(金)にメジャーSQを控えており、仕掛け的な売りや買いが出る可能性があります。11月30日の時点では、裁定取引に伴う現物株の買い残が2兆2,027億円と1年9カ月ぶりの規模に膨らんでおり、又、円の売り越し数が経験則上の限界水域まで積み上がっているため、目先これらの反対売買が出ると円安・株高が反転することも考えられます。

以上、強弱材料を挙げただけでも、どちらに転んでもおかしくない状況ですので、これらを自分なりで解読して売買しても、丁半バクチと同じでリスクがあるといえます。

本日は、△57の9,684円と高値更新して寄り付きましたが徐々に上げ幅を縮小し、後場にはマイナス圏へと沈む場面もありましたが、大引けは△6の9,533円となりました。しかし、トピックスは▼1の788Pでした。

(指標)日経平均

先週の予測では、9,500円を巡る攻防を想定し、円安が続けば9,600~9,700円を目指す可能性もあるが、そうでなければ9,500円水準での一進一退の動きを想定しました。

12月5日(水)までは、終値では9,500円を超えられないもみあいとなりましたが、この日は△36の9,468円と7カ月ぶりの高値更新となりました。6日(木)は、円安方向が強まったことやNYダウの上昇で△76の9,545円と9,500円台を回復し、週末7日(金)は▼17の9,527円となりました。3日連続の高値更新となりましたが上値は重く、結果的には9,500円水準でのもみあいの動きのようなものとなっています。7日(金)は9,572円まであって9,527円で引け、チャートの形からは6月4日の8,238円からの短期の上昇トレンド(B)の上値斜線を突破した形となっています。本来ならば9,500円を抜けたことで一段高となってもおかしくありませんが、ドル・円の上値も重く、FOMCの金融緩和の可能性もあり、又、選挙結果を控えて様子見という状況です。上値は重いものの、3日連続で年初来高値を更新してきていますが、騰落レシオも120%を超えて過熱感が出ており、今週も9,500円水準でのもみあいが続きそうだといえます。

10日(月)は△57の9,684円と高寄りしてスタートするものの、ここがこの日の高値となって上げ幅を縮小し一時マイナスに沈み、終値は△6の9,533円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、引き続き「財政の崖」問題に対する要人の発言に一喜一憂する動きが続き、各種の経済指標の発表もあることから一進一退の動きになるとしました。上値は13,100ドル台としています。11月29日(木)に13,021ドルで短期の買転換が出現しているため戻りを試す可能性があり、その場合は上値のメドを13,100ドル台としました。

週前半は、11月ISM指数の悪化や「財政の崖」問題で軟調な動きでしたが、12月5日(水)は中国の景気刺激策の浮上やオバマ大統領の「財政の崖」問題への楽観的な見方から△82の13,034ドルとなりました。週末7日(金)は11月雇用統計の大幅改善を受けて△81の13,155ドルと3日続伸し、昨年の10月4日の10,404ドルからの上昇トレンドラインの下値斜線に到達しました。13,200ドルからは強力な上値抵抗ゾーンとなります。先週末は、目先の上値抵抗ゾーンとなる13,155ドルまで上昇し、3日連続の上昇となりましたが、市場環境は一本調子で上昇する明るいムードからは程遠いと思われます。「財政の崖」問題は要人の発言で上下動を繰り返しており、この問題に加え11~12月のFOMCで年末期限切れとなる長期金利を下げるためのツイスト(ねじれ)・オペの延長やQE3の延長・拡大の具体策が出るかどうか注目となります。チャートをみると、10月4日の10,404ドルからの上昇トレンドライン(A)にぴったりあたまを押さえられる形となっており、ここを抜けても13,245ドルが抵抗ラインとなります。今週は13,000ドル水準でのもみあいが基本となります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の時点では、安倍自民党総裁の繰り返される金融緩和のメッセージも織り込み、円安が更に進むにはNYダウが上昇し、ドル買い・円売りが必要としました。そこで先週はアメリカの経済指標に注目として81.5~83円のレンジを想定しました。

12月4日(火)は、株式市場は「財政の崖」問題から様子見と米国債利回り低下でドルが売られ、81.72円までの円高となりました。しかし、翌日の5日(水)はオバマ大統領の「財政の崖」問題への楽観的な見方からNYダウが△82の13,034ドルと13,000ドル台を回復し、ドルが買われて82円台半ばまで上昇しました。週末7日(金)は11月雇用統計の大幅改善を受けてドルが買われ、82.83円まで上昇するものの利益確定売りの円買い・ドル売りができ、82.47円で引けました。今週は、11~12月のFOMCで追加の金融緩和が決定すれば一時的に円高・ドル安となりますが、16日(日)の選挙結果を前に様子見となる可能性があります。今週も81.5~83円のレンジを想定。

ドル/円