8001 伊藤忠商事 東証1部

11月3日の大手商社の決算発表で、2013年3月期の業績見通しを中国への依存度が高い三菱商事と三井物産が下方修正。一方、伊藤忠商事、住友商事、丸紅は非資源部門を抱えて安定しているため、通期の純利益見通しを据え置いた。

昨年の大地震直後の3月15日の666円からのチャートの動きをみると、7月26日に924円まで上昇後、再下落となって10月4日の676円まで下落。その後、今年になって3月27日の966円と昨年来高値を更新したものの、世界景気の不透明さから調整入りとなり、10月10日の756円まで下げました。ここを安値に反発してもみあい、10月3日の778円、11月13日の774円と2点底となって、12月3日に827円で買転換出現となっています。

9月12日の分析では、8月31日に794円で売転換が出現し、3月27日の966円の高値からの信用期日が9月末にくることから投げを待って700円水準で買うとしましたが、1月16日の754円を割らずに10月10日に756円で止まり、ここでもみあいとなりました。このもみあいの中で、10月3日の778円、11月13日の774円と2点底をつけて、12月3日に827円で買転換出現となっています。

業績的には割安株ですので、日経平均が一段高となれば水準訂正で900円水準を目指すことになりそうです。

伊藤忠商事

1801 大成建設 東証1部

12月3日の四季報速報によると、単体受注は海外の為替目減り等で1兆200億円(前期比5.3%減)に後退。土木は開発順調で建築の労務費上昇吸収。有証評価損で負の税効果ない。利益は改善。

中長期のトレンドをみると、2007年2月26日の481円を高値に大きな調整が続きました。下値の下げ方をみると、2007年5月21日の391円の安値から(1)→(2)→(3)→(4)と徐々に下げ角度を緩やかにして、2009年11月27日の139円で底打ちとなりました。そしてここから緩やかに(A) →(B)→(C)と上昇角度を徐々に大きくなる形となっています。今年になって、5月15日の182円を安値に急角度の上昇トレンド(C)になっているところは注目するところです。特に、自民党政権の経済政策に期待して建設株が買われ、12月3日には一時昨年の3月14日の236円を1円上回る237円まであり、押し目となっています。中期的に保有すれば、来年は期待できる銘柄だと考えられます。

大成建設

1883 前田道路 東証1部

四季報秋号によると、単体受注は緊急工事ないが東北関連が順調、2,000億円(前期比0.4%減)は慎重。豊富な手持ち工事消化が順調で稼働率向上。ただ原油価格が前半にやや軟化も、後半高値懸念あり営業減益。

11月15日(木)に衆議院総選挙が12月4日公示、12月16日投票と決まったことで、新政権の可能性が高い自民党の経済政策に期待して、公共投資の建設、道路関連に資金が流入。11月16日(金)の「一言メッセージ」では、相場が一変したのでカラ売りは中止とアドバイスしました。

11月5日の時点では、チャートの形からはよほどの好材料が出ないと3月14日の1077円を突破するのは難しいとして、1,077円を上回ると損切り前提で、990~1,030円でカラ売りし900~930円で買い戻し、もしくは、買いの場合は900円水準を待つとしました。

ところが、野田首相の突然の解散宣言、これを受けて安倍自民党総裁は大規模の金融緩和や経済政策を打ち出したことで、期待を先取りして建設関連が上昇となっています。更に12月2日に山梨・中央自動車道の笹子トンネルの天井板が崩壊し死者9人の大事故となりました。日本の道路、橋、トンネルなどほとんど老朽化しており、全国的な公共道路、橋、トンネルなどの見直しに新政権は巨額の公共投資を実施することになります。不幸な出来事ですが、投資家からみると内需拡大に寄与することになります。

結果的に11月15日の1,095円で上放れする形となっています。このまま上昇すればいったん見送りとなります。理想的には1,050円以下で買いたいところです。

前田道路

1815 鉄建建設 東証1部

四季報秋号によると、鉄道、道路、マンション建設に強い。受注は鉄道出足鈍いが後半巻き返す。一般工事好調で1,360億円(前期比19・7%増)狙う。手持ち工事少ないが下期大型案件を計上。不採算案件もなくなり労務費の高止まりをこなす。営業増益。

チャートの下値の下げ方を中長期でみると、2006年11月22日の130円から(1)→(2)→(3)と徐々に下げ角度を緩やかにして2010年10月18日の66円で底打ちとなり、緩やかに下値を切り上げる上昇トレンド(A)へ移行しています。この中で、2011年3月11日の大震災後に復興関連銘柄として3月23日の156円まで上昇するものの、その後は9月26日に77円まで下げて変形の三角保ち合い(B)となっていましたが、今年の11月13日に92円をつけて反発し、11月27日に108円で買転換が出現しました。押し目買いの形といえます。7月23日(月)の終値101円の時点で、全体相場が悪化すれば投げが出て90円水準まで下がれば買いチャンスとし、110~120円を利食いとしていました。投げが出て一気に下がるという形にはならず、じりじりと下げて11月13日に92円をつけ、ここから反発となって買転換出現となりました。

目先は、7月3日の124円水準までの可能性が高いので、このまま上昇すれば見送りとなって上昇後の押し目を待つことになります。

鉄建建設

6632 JVCケンウッド 東証1部

11月1日の決算発表で、2012年4-9月期の連結決算は純利益が前年同期比75%減の12億円にとどまった。欧州経済の悪化でオーディオなど車載機器の売り上げが減少した。為替相場の円高・ユーロ安も採算を圧迫。13年3月期は、売上高の見通しを前期比で微減の3,200億円と従来予想から200億円下方修正した。ただし、純利益は16%増の70億円とする従来予想を確保する。11月30日の中期経営計画発表で、2016年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。最終年度に配当性向を25%に引き上げ、有利子負債を実質ゼロにする。デンソーが9月末までにJVCケンウ株を3%まで買い増しており、車載機器での新製品開発など協業を進め収益力を高める。

昨年の7月27日の459円の高値をつけてからのチャートの動きをみると、10月5日の249円まで下げたあと今年の2月27日の394円まで反発し、その後は下向きの先細三角形の下げ方となっています。この中で7月26日に224円の年初来安値をつけて反発し、9月25日に309円まで反発するものの再下落となっています。

10月9日の分析で、309円を抜けずに短期の上昇トレンド(B)を下に切ると下放れの形となるため、1/2押し(253円)水準を待って買い、280~300円の利食い目標としていました。結局下放れとなって、10月15日には255円と1/2押し水準まで下げて反発し、11月1日には297円まであって280~300円の利食い目標に到達しました。その後、11月13日の245円と再び1/2押し水準まで下げて反発し、11月29日には287円で買転換出現となりました。

JVCケンウッド