先週は一旦ボックス圏を下放れするが、すぐに回復して、ボックス圏の上限で終わる

先週の予測では、もみあいが続くが上値重く、下値を試す動きを想定し、30日(火)の日銀の金融政策の発表後は材料出尽くしで下への可能性が強いとしました。これまでの動きは、上は200日移動平均線(10月29日時点9,064円)、下は25日移動平均線(8,853円)、75日移動平均線(8,858円)にサポートされ、この間での往来相場となっていました。普通は、このもみあいを上下どちらかに抜けたほうに動くのが普通です。そこで、この日のレポートでは、25日移動平均線を守れるのかどうかがポイントになると思われるとしました。

週明けの29日(月)は、ホンダの決算が下方修正されたことで輸出関連株が売られましたが、翌日の日銀の金融緩和への期待によってサポートされ、しっかりした動きで▼3の8,929円で引けました。30日(火)もすでに報道されている「10兆円規模」を大きく上回る追加緩和期待からしっかりした動きとなっていました。しかし、大引け10分前に発表された日銀の金融緩和の規模は「11兆円」とすでに報道された内容と同じくらいの規模であったことで、日経平均は材料出尽くしとなり、約15分間で152円下げて▼87の8,841円で引けました。これは25日移動平均線(8,853円)を終値で切っていますので、ボックスの下放れという形でした。

しかし、為替が日銀の発表のあと円高進行とならず(10月25日の10兆円規模の報道で80.34円まで円安が進み、織り込んで、既に79円半ばの円高となっていました)、欧州株高、上海株式の上昇、更にハリケーン後のアメリカ市場が落ち着き、経済指標も好調でドル買い・円安の流れとなっていました。そのため10月31日(水)から3日連続の上昇となり、週末の11月2日(金)は△104の9,051円で引けました。この日の200日移動平均線は9,070円でしたので、ボックスの上限にほぼ到達したことになります。つまり、今週は日銀の金融緩和発表後で材料出尽くしとなってボックスを一旦下に切ったものの、欧米株式の堅調さとアメリカの経済指標の改善からボックスの上限まで上昇してきました。そして柴田罫線では、9,051円で短期の買転換が出現しました。

オバマ大統領勝てば上値の重い展開、ロムニー氏勝てば日米株式上昇だが

市場の注目は、6日(火)の大統領選に集まっています。ロムニー氏が勝てば景気への配慮を鮮明にしているため株高、オバマ大統領が再選すれば「財政の崖」へのリスクが高まり上値の重い展開となるというのが一般的な見方です。一時五分五分とみられていた戦いですが、ハリケーンへの対応が評価され、先週の10月雇用統計も予想を上回ったことで現職のオバマ大統領が有利との見方が強まっています。

オバマ大統領の再選ならば、年末の大型減税策の期限切れと来年1月から始まる政府支出の強制削減、いわゆる「財政の崖」がリスクとして浮かび上がってきます。早急に何らかの対応がとられれば別ですが、議会が日本と同じようにネジレ現象を起こしていますので、不透明感が続く可能性があります。オバマ大統領の再選はある程度織り込んでいるとすれば、株式市場の上値が重たい現状は変わらないといえます。そうなると、日本市場も基本的に上値は重たいといえますが、為替がドル買い・円安の流れとなっており、円安基調が続けば9,200円までにはいくつかの大きな抵抗ラインがありますが、この9,200円を試す動きが出てくるかもしれません。

本日は、先週末のアメリカ市場で雇用統計は大幅改善となったものの、大統領選を前に利益確定売りとなってNYダウは▼139の13,093ドルとなっていました。日経平均はこれを受けて▼50の9,000円で寄り付き、前場は下値は為替が1ドル=80円台半ばにあることで輸出株が下支えして▼27の9,023円で引けましたが、後場になると大統領選を控えて様子見ムードが強まり、▼43の9,007円で引けました。目先は、下値は25日移動平均線(5日現在8,848円)で、ここを切ると9,700円水準となります。

(指標)日経平均

先週は、10月30日(火)の日銀の金融政策決定会合での金融緩和発表がすでに報道されている「10兆円」規模を大きく上回らない限り材料出尽くしとなるとしました。テクニカル的には、200日移動平均線(9,064円)と25日移動平均線(8,853円)の間の往来相場となっており、この中で下限を試す可能性が高いとしました。10月30日(火)は、日銀の金融緩和策が発表され、「11兆円」規模となったことで材料出尽くしとなり、▼87の8,841円と25日移動平均線を下回り、ボックスを下放れする形となりました。しかし、その後NYダウが高く、為替の円高が進行しなかったことで3日連続上昇となって、2日(金)は△104の9,051円と往来相場の上限に達して引けました。200日移動平均線は、この日9,070円でした。

今週は、ロムニー氏が勝てばNYダウ上昇となって日経平均もまずは9,200円を試す動きとなりますが、オバマ氏勝利であれば、国内企業の4-9月期決算で通期予想の下方修正が相次いでおり、上値の重い展開が続くこと画想定されます。基本は、25日移動平均線と200日移動平均線の間の往来相場になっており、先週は、25日線を一旦切ったものの反発して、2日(金)は200日線まで上昇し、9,051円で短期の買転換が出現して引けました。チャートの形からは、6月4日の8,238円からの短期上昇トレンド(B)の中で動くとすれば、9,200円水準が上値抵抗ラインとなります。逆に反落して8,841円を終値で切ると8,700円水準が押し目ポイントになります。5日(月)は、6日(火)の大統領選を控え、出来高・売買代金とも大きく減少し▼43の9,007円と4日ぶりの反落となりました。方向性が出るのは7日(水)以降となります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、NYダウが13,000ドルを守れるかどうかが焦点になるとしました。特に2日(金)の10月雇用統計の悪化や企業決算の予想を下回る動きが続けば要注意としました。その前にハリケーン「サンディ」のため、10月29日(月)と30日(火)が休場となり、被害が不透明なことから休場明けの31日(水)が警戒されましたが、落ち着いた動きで始まり、1日(木)は10月のADP全国雇用者数やISM製造業景況指数など経済指標の予想を超える改善となり、△136の13,232ドルと大幅反発しました。注目の2日(金)の10月雇用統計は予想を大きく上回りましたが、大統領選を控えてポジション調整の売りとなり、今度は▼139の13,093ドルと大幅反落しました。結局、限られたレンジを上下動しているに過ぎず、柴田罫線では引線はありませんでした。

今週は、6日(火)の米大統領選の結果が最大の焦点となります。ロムニー氏が勝てば景気を重視する姿勢を鮮明にしているため、NYダウは一段高が期待できます。一方、オバマ氏が勝てば年末の大型減税案の期限切れと来年1月から始まる政府支出の強制削減の対応問題から上値の重い状況が続く可能性があります。ただし、現職有利の味方が多く、相場はオバマ勝利をある程度織り込んでいるものと思われます。チャートでみると、13,344ドル以上の終値で引けると再び高値圏でもみあいになってくる可能性(高値を試す場合も)ありますが、13,000ドルを切ると下値模索となって調整が長引くことになります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、10月30日(火)の日銀の金融政策決定会合での金融緩和発表がすでに報道されている「10兆円」規模を大きく上回らなければ、それ以上の円安は続かず、続くとすれば10月雇用統計が改善される場合だとしました。10月25日(木)に日銀の金融緩和策が「10兆円」と報道され、これを織り込む形で80.34円まで円安となっており、30日(火)の日銀の発表の「11兆円」は材料出尽くしとなったものの、円高は進行しませんでした。逆に、アメリカの経済指標の改善が相次いだことでドル買い・円売りの流れとなり、1日(木)には80.16円で再度のドルの買転換となりました。そして週末2日(金)の雇用統計は予想を上回ったことで、ザラ場では6月25日の80.616円を上回る80.68円まで円が売られ、80.43円と上値抵抗ラインで引けました。

今週は、2日(金)発表の米雇用統計が予想を上回る雇用情勢の改善を示す結果となったことで、ドルを買い戻す動きが続きそうです。大統領選の結果としては、オバマ大統領が勝てば「財政の崖」のリスクからドル売り・円買い、ロムニー氏が勝てばドル買い材料とされています。チャートでは、1日(木)に80.16円でドルの買転換が出現し、2日(金)に80.68円までの円安が進みました。この80.68円を引け値でドルが突破すれば、81円を目指すことになります。

ドル/円