15日(月)に一時8,500円を割るが、火、水、木で『上げの三空』と大幅上昇

先週の予測としては、多少反発しても下値模索はまだ続く可能性が高いとし、大きく上下動して安値圏でのダブル底となるパターンを形成していくことを想定しました。但し、指標面では東証1部のPBRが0.89倍(10月10日時点)と割安感強く、又10月30日(火)の日銀の追加の金融緩和期待が相場の下支えになるため、安値圏での大きな上下動の可能性としたわけです。

しかし、週明けの15日(月)に8488円と一時8500円を切って、終値では△43の8577円と8500円を守り、その後は好材料続出となりました。日足で3日連続で窓を空ける『上げの三空』という形になり、週末は5日連続上昇の9002円と9000円台を回復して引けました。以下、好材料を挙げると次のようになります。

  1. 欧州不安の後退
    スペイン問題で首脳会議が開かれることになり、スペインの債務懸念が後退(但し、週末にはスペイン首相は全面的な国家救済の要請を感じていないと発言)
  2. 米国の経済指標の改善
    特に住宅関連の指標の改善が続く(但し、7-9月期決算は予想を下回るものが多い)
  3. 中国の7-9月期決算を好感
    前年比△7.4%と2009年以来の低水準だが、予想の範囲内であり、今後の中国の新主席による大胆な政策を期待
  4. 10月30日の日銀の追加の金融緩和への期待
  5. 為替の円安進行で円の下放れ(ドルの上放れ)
    ①~④の相場環境を受けてドル買い・円売りが進み、週末の19日(金)は、9月19日の79.22円を突破して79.46円まで円安進行となり、短期のドルの下降トレンドを上放れする形となりました。目先は、10月30日の日銀の金融決定会合で、どの程度の金融緩和が実施されるかが円安の程度にかかってきます。

以上の好材料を受けて、先週の火、水、木と日足では『上げの三空』という目先過熱感を示す形となりましたので、18日(木)のメッセージで要注意としました。この『上げの三空』は、「一つ目の窓空け」で買いたい人が押し目を待ち、「二つ目の窓空け」で押し目を待ったが買えず、「三つ目の窓空け」で我慢できなくなって買い、ここでは最初に買っていた人が利益確定してくることになりそれ以上買ってくる人が少なくなるので、一旦上昇がストップするという心理的側面からの分析です。

日経平均は上値を試すには、もう一段の円安が必要

週末の19日(金)のアメリカ市場は、マイクロソフト、マクドナルド、GEなどの企業決算が予想を下回ったことでNYダウは▼205の13,343ドル、ナスダックが▼67の3005Pの急落となりました。

先週は、基本的には相場環境の好転からリスク回避の円買いが後退し、アメリカ経済の回復期待からドルが買われて円安が進行し、チャートでは短期トレンドでの円の下放れ(ドルの上放れ)となりましたので、輸出関連株中心に買い戻しが入り、9,000円台を回復して引けました。

但し、先週は5日連続の上昇となって468円も上昇したことで過熱感もあり、今週から国内の決算発表が始まりますが、業績不安の見通しが多く、対中国問題の不透明さや目先のアメリカ株式の動き、さらに日本の政局の混乱を考えるとそのまま上値を追うのは難しい状況といえます。

チャートをみると、日足では『上げの三空』となって過熱感があり一服するところですが、為替が円安基調となっていることで下値も堅く、今週は9,000円近辺での一進一退の動きとなりそうです。日経平均のチャートの形としては押し目が浅く(8,800円台で止まり)、次の反発で9,020円を終値で抜くと9,159円を試す動きとなり、ここを抜けると9月19日の9,288円が目標となってきます。そうなるためには、為替の円安がいっそう進行し1ドル=80円を試す動きとなることが前提となると思われます。今のところは、来週30日(火)の日銀金融政策決定会合での追加の金融緩和の内容となります。ここで材料出尽くしとなって円安が一段落するのか、それとも1ドル=80円を試す動きとなっていくのか注目となります。

本日は、先週末の欧米株式の下落と5日連続上昇となっていたことで▼128の8,874円で寄り付き、8,867円まで下げた後は為替がじりじりと円安となったことで先物主導で切り返し、△8の9,010円で引けました。但し、売買代金は9,034億円と1兆円を割っており、輸出関連の値ガサ株の買い戻しで指数が上昇したことになります。

(指標)日経平均

先週は、チャートの形としては大きな上下動となって7月26日の8,328円、もしくは6月4日の8,238円に対するダブル底のような形を作って、直近の高値を上回ってくると買転換となり上昇に向かうという想定をしました。しかし、週明けの10月15日(月)に8,488円まで下げたものの終値では△43の8,577円と850円を守り、その後はアメリカの経済指標の改善と好決算を受けNYダウが反発、ドルも買われて円安基調となり、日経平均は反発に転じました。さらに10月30日(火)に日銀金融政策決定会合で追加の金融緩和が実施されるという思惑から円安が進行し主力の輸出関連株が買い戻され、5日連続の上昇となって週末の19日(金)は9,002円で引けました。上値を8,700円という想定でしたが、大きく上回りました。

先週は好材料が続出となりましたが、株価を1週間で約470円押し上げた要因は為替の円安だといえます。輸出の主力大型株に買い戻しが入り、指数に連動する大型株が買われて9,000円台を回復して引けました。先週、日足では「三空」の上昇となって過熱感があるところですので、一旦下落して押し目を形成するところですが、下値では10月30日の日銀の金融緩和への期待で下げにくく、9,000円近辺で一進一退の動きが想定されるところです。ここからの押し目を浅くして(8,800円台)、直近の高値19日(金)の9,016円を終値で抜くと9,159円を試す動きが想定されます。主要企業の7-9月期の決算が本格化するために様子見ムードとなりそうです。唯一上値を試す場合は、為替が1ドル=80円を試す場合でしょう。

週明け22日(月)は、欧米株式の下落を受けて▼128の8,874円で寄り付くものの為替の円安がじりじりと進行していることで下げ幅を縮小し、後場になるとプラス圏へ浮上して△8の9,010円で引けました。売買代金は1兆円を割り込みましたので、買い戻しによる上昇といえます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予想では、決算の悪化懸念と経済指標の改善傾向との綱引きになるとし、チャートからみるとNYダウは調整不足であり、上昇幅の1/3押し(13,119ドル)以下の調整がほしいところとしました。

週明けのアメリカ市場は、週前半は欧州不安の後退と好決算を受けて、16日(火)は△127の13,551となり「ろく買」が出現しましたが、この法則が高値圏で出る時は、大きく伸びずに反落する場合は売転換となる場合が多いので要注意としました。結局、週末の19日(金)は▼205の13,343ドルの大幅下落となって、あと1ドル安ければ売転換となるところまで下げました。週間ベースでは、2週ぶりに上昇しましたが、1週間の上げ幅は14ドルに留まり、上げの勢いが弱くなっています。

今週も引き続き7-9月期の企業決算と経済指標が注目となります。先週末の19日(金)は、グーグルに続きマイクロソフト、マクドナルド、GE、キャタピラーなどの決算が次々と予想を下回ったことでNYダウ、ナスダックともに大幅下落となりました。今週は、アップルやアマゾン・ドット・コムなどIT関連、デュポンなどの素材関連の決算発表が相次ぎます。又、経済指標では9月の耐久財受注額や新築一戸建住宅販売の発表や10月23日~24日にはFOMCが開催されます。柴田罫線では、終値13,343ドルと1ドル足りずに売転換が出現しておらず、相場は強いという見方もできますが、このまま反発して19日(金)の高値13,545ドルを上回ると10月5日の13,661ドルまでの可能性があり、このまま下げて13,250ドルを切ると1/3押しの13,119ドルを試す動きとなります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、アメリカの経済指標が良好であればドル買い、一方で欧州の信用不安の再燃や中国の景気減速懸念での円買いがあり、77.5~79円のレンジを想定しました。しかし、アメリカでは経済指標の改善と週半ばまでは企業決算も好調なことでドル買いが進み、さらに欧州信用不安の落ち着きと中国の9月の経済指標からは景気の勢いが回復しているとの見方から円売り、さらに10月30日の日銀金融政策決定会合での金融緩和への期待からの円売りとなり、18日(木)には79.46円までのドル買い・円売りとなりました。

チャートをみると、ドルは今年の3月15日の84.17円の高値から下降トレンド(A)となって急角度の下げとなり、6月1日の77.66円で一旦の底打ちとなりました。その後6月25日の80.61円まで反発した後は緩やかな下降トレンド(B)となっていました。9月13日に77.13円まで下げたあと9月19日の79.22円まで上昇し、その後もみあいとなっていましたが、10月11日の77.95円を安値に反発となり、10月18日に79.46円まであって引け値は79.27円となって、9月19日の79.22円を引け値で上回り、短期下降トレンド(B)の上放れとなっています。目先は8月20日の79.66円が上値抵抗ラインですが、ここを突破すると80円を試す形となります。10月30日の追加の金融緩和の内容次第では材料出尽くしとなるのか、さらに円安となるのかに注目となります。

ドル/円