ECB理事会の国債の無制限買入計画決定を受け、2/3押し水準より急反発

先週のメッセージでは、9月はイベント多く予想以上の下ブレの可能性があるとし、当面の調整の程度は「欧州債務危機」への対応次第になるとしました。また、週末の米8月雇用統計を控え様子見ともしています。

下値メドは、普通の押し目(上昇幅の1/2押し、2/3押し)で終わらない可能性もあり、そこで買ってもリバウンド率が少なく、売り損なうリスクがあるため、さらに大きな下げを想定した方がよいとしました。

しかし、5日続落のあと9月6日(木)に8,646円まで下げて、2/3押しの8,626円に接近して△0.7の8,680円で引けました。その後海外市場で、ECB理事会によるユーロ圏加盟国の国債の無制限購入を実施することに合意したことで欧米株式が急騰し、為替も円安進行となりました。そのため、7日(金)の日本市場は△191の8,871円で引けました。

欧米株式は、今年の高値水準まで上昇しチャートでは強い抵抗ラインまできていますので、これを一気に突破できるのかどうかとなります。週末の米8月雇用統計は非農業雇用者数が予想を大きく下回り(予想13万人→9.6万人)、失業率も表向きの数字は低下したものの、仕事探しを諦めた人が多く、実質失業率は11.7%となっています。結果的に、FRBによる追加の金融緩和期待が高まり相場を下支えして、NYダウは△14の13,306ドルと続伸して引けました。ドル/円相場は、前日は79円水準までの円安となりましたが、この日は金融緩和期待からのドル売り・円買いとなって78.02円まで円高が進み、78.25円で引けています。

今週は、FOMCの追加緩和判断の内容に左右

先週末の7日(金)は、ECB理事会の国債買取プログラムの決定を受け、欧米、日本の株式市場が大幅上昇となりました。7月26日(木)に、ECBのドラギ総裁の「ユーロを守るためには必要なことは何でもやる」という発言をきっかけに、この日の安値8,328円から8月20日の9,222円までの上昇となりました。 しかし、今回は世界景気の減速懸念はまだ強く、欧米株式が高値圏にあることや今月末に3月の高値期日が到来することを考えると、日本株式の高値を買う投資家が増加してくることは難しいと思われます。

強気のシナリオとしては、ECB理事会の国債買取プログラムの決定に続いて、FOMCで量的金融緩和(QE3)が決定されれば欧米株式は上昇し、日本株式に割安感が出てきます。ただし、この場合は日米金利差の縮小でドル売り・円高となりますので、日銀のタイミングのよい追加の金融緩和が打ち出されるかどうかとなります。世界的な「過剰流動性相場」のような状況となれば世界同時株高となり、9,220円を突破して95,000円が目標となってきます。

弱気のシナリオとしては、ECB理事会の国債買取プログラムの決定も、国債を買い入れてもらう場合の規制が厳しくスムーズに進まず、欧州経済の悪化も進行していることで再び欧州債務不安となり、また、FOMCでのQE3は先延ばしにされて失望売りとなり、上昇は続かず欧米株式が反落し、日本株式は再度下値模索になるという展開です。

結局は、「ECB理事会の国債買取りプログラムの決定」を好感して上昇が続くのか、「FOMCのQE3の実施」を期待して上昇するのか、それとも「ECBの決定は挫折する」「QE3は先延ばしになる」ということで下落となるのかをみる必要があります。大きく戻れば保有株のキャッシュ化もしくはカラ売り、大きく下げれば短期リバウンド狙いの買いとなります。

本日は、為替相場で円高・ドル安基調、円安・ユーロ高基調とまちまちの動きとなっていることで、狭いレンジの動きに終始し、▼2の8,869円、トピックスは△2の737Pとなりました。FOMCでのQE3の方向が出るまでは動きにくいところです。

(指標)日経平均

先週は、週末に米8月雇用統計や欧州での会議や会談を控え方向感を打ち出せず、もみあいになる可能性があるとし、下値模索が続く場合も考えられるとしました。

6日(木)までは下値模索が続き、7月26日の8,328円から8月20日の9,222円までの上昇幅の2/3押し(8,626円)に接近する8,646円まで下落したところで、ECB理事会による国債の無制限購入計画への合意が伝わり、欧米株式が急上昇となって、日経平均も週末の7日(金)は△191の8,871円で引けました。

6日(木)のECB理事会の国債買入れ決定を受けて反発したものの、週末7日(金)の米8月雇用統計の悪化を受けて、12~13日のFOMCでQE3がどうなるかを注目するところであり、上昇が一時的なものなのか、さらに戻りが続くのか様子をみるところです。戻るとすれば、8月20日の9,222円が上値ポイントとなり、このまま下落に転じれば9月6日の8,646円を引線の終値で切ると売転換となって、再度下値模索となります。そこでは、買い場を探す段階となります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、週末に米8月雇用統計を控え、方向感のない展開を想定し、12,858ドルを切らなければ問題はないとしました。

3連休明けの4日(火)に13,000ドルを一時下回る12,977ドルまで下げたものの、6日(木)のECB理事会への期待が下支えとなりました。そして注目のECB理事会では国債買取プログラムが決定され、△244の13,292ドルとなって、終値では2007年12月以来の高値となりました。週末の雇用統計は予想を下回りましたが追加の金融緩和の可能性が高まり、相場の下支えとなりました。はっきりした方向感は出なかったものの3週間ぶりの上昇となり、4年8カ月ぶりの高値更新でした。

今週は、12~13日のFOMCで市場が期待するQE3が決定されるかどうかが焦点となります。先週末の8月雇用統計が予想を大きく下回ったことで、QE3への期待が高まりましたが、年末にかけて大統領選や緊縮財政や増税問題を控えており、ここで最後のカードを切るとは考えにくいところです。追加緩和が先延ばしにされれば、上値では利益確定売りが増えて高値圏でのもみあいとなりそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、ECB理事会や週末に米8月雇用統計を控えて動きにくく、78円台前半での動きを想定しました。

週前半の9月5日(水)までは、78円台前半のこう着した動きが続きましたが、6日(木)にECB理事会で国債の無制限購入の合意がなされたことが報道されるとユーロが買われ、円はドルに対しても売られて79円水準までの円安進行となりました。しかし、7日(金)はアメリカの8月雇用統計の悪化から追加の金融緩和への期待が高まり、今度はドル売り・円買いとなって78.02円まで円が買われ、引けは78.25円でした。

今週は、先週末の米8月雇用統計が予想を大きく下回ったことで12~13日のFOMCでの金融緩和期待が高まり、円が買われやすい状況になると思われます。チャートでは、8月1日の77.91円の円高を上回れば77円台の半ばまでの円高進行となる可能性があります。77.5~78.5円のレンジを想定。

ドル/円