先週は、9,000円割れで、値幅調整入りへ

先週は、日柄調整となるのか値幅調整となるのか見極めるところとしました。その理由は戻り高値に近づくと、商いが増加してくるのが普通ですが、超閑散相場の中の上昇となっており、先物主導で買い戻しによる上昇といえるからです。又、季節要因で9~11月の3カ月は月初めより月末が安くなるパターンとなっており、9月末は3月の高値期日がやってきます。

結局、先週は、8月29日(水)までは何とか9,000円を維持していましたが、30日(木)は▼86の8,983円と9,000円を割り込み、週末の31日(金)は前日のNYダウが大幅安となったことや、寄前の7月鉱工業生産指数が予想外の下ブレとなったことで、あっさりと200日移動平均線(8,978円)、25日移動平均線(8,927円)を割り込み、▼143の8,839円で引けました。日柄調整ではなく、日柄調整を伴った値幅調整となってきました。31日(金)は、日経225先物に柴田罫線では売転換が出現しました。 では、ここからの下値メドはどうなるのかというと、通常の範囲の調整であれば、7月26日の8,328円から8月20日の9,222円までの1/3押し(8,924円)、1/2押し(8,775円)というところが短期の買ポイントになるところですが、週末一気にこの水準まで下げてきましたので、さらに下値模索となってくる可能性が高まりました。この下値を考える上で、先週末に格付会社ムーディーズの「世界経済失速のリスク」についての報告書が参考となります。

【ムーディーズの報告書】

  1. ユーロ圏の景気後退は予想以上に深刻化する
  2. 2013年に入ってから米国で財政緊縮が起こる可能性
    • 前ブッシュ政権時代の減税が今年末に期限切れを迎えるために所得税率の引き上げへ
    • 米議会が財政赤字削減策で合意できなかったので、来年は1,100億ドルの歳出削減が発動される予定
  3. 中国、インドなど新興国の景気が急減速する可能性
  4. 地政学的リスクによる原油高

以上のようなものが主な内容ですが、当面の調整は「欧州債務危機」への対応次第ということになります。9月4日~5日は欧州各国のトップが次々と会議し、スペイン支援や欧州安定化メカニズムについての詰めの協議が行なわれます。これらは、紆余曲折が予想されますが、すでに表面化しているものへの対応ですので、悪材料としてもかなり織り込まれています。しかし、債務問題がスペインからイタリア国債まで波及してくると想定外となって、世界株式は急落する可能性があります。

今週は、週末に米8月雇用統計を控え様子見

9月はイベントが目白押しとなっており、日本の場合は月末に3月の高値の信用期日を迎えることもありますので、下値メドは普通の調整で終わらない可能性も考える必要があります。 ここからの下落の買いは、大きく下げた場合のリバウンド狙いということになりますので、上昇幅の1/2押し、2/3押しというところは出動せず(出動してもリバウンド率が少なく、買っても売り損なう可能性もあります)、さらに大きな下げの可能性を想定して、様子見とするのがよいかもしれません。

今週は、欧州での各国首脳の会議や、週末には8月雇用統計を控えており、引き続き薄商いの中で先物主導による方向感のない展開が続きそうです。上昇する場合は、何らかのキッカケで円高修正となった時だといえます。 本日は、前場は8,873円まで下げ、1/2押し(8,775円)とほぼ一致したところから先物主導で切り返し、後場になると上海市場がプラス圏にあることもあり、一時8,893円まで上昇しましたが長続きせず、結局▼56の8,783円と1/2押し水準で引けました。

(指標)日経平均

先週は、円高修正も一服し、日本の景気基調も下方修正の見通しであることで、調整気味となる可能性があるとしました。一言メッセージでは、日柄調整となるか値幅調整となるのか見極めるところともしましたが、結局週間で230円(2.5%)の下落となり、値幅調整の可能性が高まってきました。円高修正が一服し、中国の景気の減速懸念が広がり、FRB議長の講演を前にポジション調整の売りが出て、週末8月31日(金)は▼143の8,839円で引けました。

今週は、週末に米国の8月雇用統計や欧州での各国トップの相次ぐ会議を控え、方向感を打ち出せず、もみあいとなる可能性があります。但し、日経平均は先週末から下げのスピードが速くなっており、今月末に3月の高値期日の到来となることから下値模索となる場合も考えられるところです。柴田罫線では、日経先物では先週売転換が出現しました。先週末は終値8,839円となって、1/2押しの8,775円に接近してきました。月末に3月の高値期日が接近することを考えると、2/3押し(8,626円)も視野に入ってきます。目先の下値は13週移動平均線8,795円、75日移動平均線8,764円となります。9月3日(月)は、前場に1/2押し(8,775円)とほぼ一致する8,773円まで下げたあと、後場に先物主導で一時プラスに転じ8,893円まで反発するものの続かず、終値は▼56の8,783円となりました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、週末の8月31日(金)にバーナンキ議長の講演で、QE3への期待から相場が揺れ動く展開となりそうだとしました。8月21日に5月1日の13,338ドルの年初来高値にあと8ドルと迫る13,330ドルまで上昇してハネ返されており、高値圏でのもみあいを想定しました。30日(木)には、スペインの国債の格下げの可能性や弱い経済指標を受けて▼106の13,000ドルと下落するものの、31日(金)はバーナンキ議長の講演で、これまで以上にQE3の実施の可能性が高まったとして△90の13,080ドルと反発して引けました。

今週は、3日(月)が休場で、週末の7日(金)に8月雇用統計を控え、ヨーロッパでは各国トップのスペイン支援や欧州安定化メカニズムについての詰めの協議が行なわれているため、方向感のない展開が想定されます。柴田罫線からは、引線の終値で12,858ドルを切らなければ問題はないと考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、国内輸入企業による月末の決済に絡んだドル買い・円売りとバーナンキ議長の講演を前に追加の量的緩和期待からのドル売り・円買いの動きで、78.5~79円のレンジを想定しました。30日(木)までは、想定通り78.5~79円の中でのもみあいとなりましたが、31日(金)はバーナンキ議長の講演内容を受けて量的緩和の実施の可能性がこれまで以上に高まったことで、78.25円の円高で引け、ドルの売転換出現となっています。

先週末のバーナンキ議長の講演で、追加の金融緩和への期待が高まったことでやや円高にふれました。今週は、欧州債務問題への対応や週末の8月雇用統計を控えて動きにくく、78円台前半での動きとなりそうです。

ドル/円