円安基調を受け、上値は重いものの1週間を通して底堅い展開

7月26日(木)にECBのドラギ総裁の「ユーロ圏を守るためには、あらゆる手段をとる」と発言したことで、欧米株式が急反発し、日経平均は27日(金)は、8,500円台を回復して引けました。 この流れを受けて、先週の予測では、戻りを試す可能性はあるものの、ECB総裁の「あらゆる手段をとる」というものがどういうものになるのかを8月2日(木)のECB理事会で確認する必要があり、FOMCでの追加の金融緩和の方向や、3日(金)の米雇用統計を注目する必要があるとしました。

まず8月1日(水)のFOMCでは、前回と同じ内容の「低金利の維持」「必要に応じて追加緩和策」であり、追加の緩和は見送りとなりました。大方の予想では、追加の緩和はないとみていましたので、大きな失望売りとはなりませんでしたが、▼37の12,971ドルと13,000ドルを割れました。 2日(木)のECB理事会では、26日(木)に発言した「あらゆる手段をとる」といった具体的なものが、スペインなど南欧国債の購入をECBがすぐに再開するのではないかという期待がありましたが、「まず、ユーロ圏が安定基金などで国債を買い入れる」という条件をつけたことで失望売りに変わり、欧米株式は大幅安となりました。

日本市場は、円安基調になっていたことで、2日(木)までは、上値は重いものの8,600円台でのしっかりした動きになっていましたが、週末の3日(金)は、ECB総裁発言で欧米株式が下落したのを受け、▼98の8,555円で引けました。

週前半は、米雇用統計を受け戻りを試す展開。その後は欧州、中国次第

週末3日(金)の7月雇用統計は、予想を大きく超える改善となりました。9月のFRBが追加の金融緩和に動く観測として、7~8月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が2カ月連続で10万人割れになれば、QE3は避けられないとの見方が多く出ていました。 ところが、7月の雇用統計では、予想の10万人を大きく上回る16万3,000人の増となり、これを受けてNYダウは△217の13,096ドルと3カ月ぶりの高値水準となりました。これによって目先はFRBによる金融緩和が遠のいたことで、ドル買い・円売り基調となりますので、日経平均の上昇余地が少し大きくなったかもしれません。但し、このNYダウの大幅上昇は、前日のECB理事会発表の失望売りから、一転して数週間内に債券買取りの枠組みなどが決定されるとの見通しが出て欧州株式が急反発し、NYダウも上昇したところに7月の雇用統計の改善が加わったことによります。 ユーロの反発とドルの買い戻しから目先円安方向の流れが続けば、日経平均は25日移動平均線を突破できて、75日移動平均線まで上昇するかもしれません。

本日は、欧米株高と円安基調を受けて△128の8,683円で寄り付き、8,700円台を回復して25日移動平均線(6日現在8,741円)を前にこう着状態となり、一時8,751円と25日移動平均線を突破する場面もありましたが、終値では△171の8,726円で引けました。ここを突破できれば75日移動平均線(6日現在8,827円)を目指しますが、出来高・売買代金からみる限り、買い戻しによる上昇となっており、上昇するほど戻りの後の下落リスクは高くなり、カラ売り有利となってきます。但し、一段の円安となって外国人の買いが増加してくれば、さらに上値を追えますが、今のところまだわかりません。

(指標)日経平均

先週は、前週末のECB総裁の発言を受け円高基調が一服して戻りを試す局面だが、アメリカ経済は鈍化傾向を示しており上値は限定的としました。 NYダウはFOMCでの追加の金融緩和がなかったことや、ECB総裁の発言が期待ハズレの内容だったことから4日続落となりましたが、日経平均は為替の円安基調を受けてしっかりした動きで推移し、8月2日(木)までは、8,600円台の動きでした。しかし、週末は、前日のNYダウの大幅下落や雇用統計を控えていたことで、▼98の8,555円で引けました。

今週は、欧米市場の落ち着きを元に戻りを試しそうですが、主要企業の決算が冴えず、週後半には中国の経済指標の発表があり、悪化すれば影響は避けられないといえます。このまま反発して、7月31日の8,732円、確実には25日移動平均線(8月3日時点8,753円)を終値で上回れば柴田罫線では短期の買転換出現となって8,900円を目指す展開も想定されます。

本日は、欧米株式の反発と円安基調を受けて△171の8,726円となって短期の買転換が出現しました。このまま25日移動平均線(6日現在8,741円)を上回ることができれば、次は75日移動平均線(6日現在8,827円)を試すことになりそうです。逆に、大きく戻れず反落となって8月3日の8,513円を終値で切ると再び売転換となって下値模索の可能性が出てきます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の7月30日(月)の時点では、上値抵抗ラインを試すところへきており、5月1日の13,338ドルを突破できれば新しい展開となるか、12,721ドルを切って引けると売転換が出現するとし、FOMC、ECB理事会、雇用統計を注目するところとしました。

FOMCでは、追加の金融緩和が見送られ、ECB理事会ではドラギ総裁の発言が失望となり、NYダウは4日続落となって8月2日(木)は12,778ドルまで下げて、▼92の12,878ドルとなりました。しかし、週末の3日(金)の雇用統計は予想を大きく上回る改善となったことで、△217の13,096ドルの大幅反発、3カ月ぶりの高値で引けました。

先週は、雇用統計の改善で米景気の先行き不安が後退したものの、欧州債務問題については不透明感が残り、今週は強弱感が対立して13,000ドルを挟んだ展開となりそうです。柴田罫線では、売転換が出やすい形が継続しており、8月2日の安値12,778ドルを終値で切ってくると確実な売転換出現となります。逆に大きく上に伸びて5月1日の13,338ドルを突破できれば、何か新しい好材料が出てくる可能性があり、新しい相場展開になるかもしれません。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、FOMC、ECB理事会、雇用統計のイベントがあり、円売りと円買いが交錯して神経質な展開になるとしました。

引け値ベースでは、78~78.5円の狭いレンジでのもみあいとなりました。このもみあいの中で、ザラ場では、7月23日の77.947円、8月1日の77.91円とダブル底のような形になっていますので、7月27日の78.67円を引け値で上回るドル高円安となれば、79円台を目指すことになります。逆にドルの戻りが弱く、8月1日の77.91円を下に切ると77円を試す動きとなります。

今週は、ドル買い・円売り基調となる可能性があります。7月の雇用統計が改善され、FRBによる追加の金融緩和が後退したことで、ドルを買う動きが強まることが想定されます。又、ECBによる追加の金融緩和への期待が高まっており、対ユーロでも円安基調となりそうです。78~79円のレンジの中でドルの戻りを試す動き。

ドル/円