先週は、下値サポートとした25日移動平均線を切って終わる

先週の9日(月)の時点での予測では、株式相場は世界経済の減速懸念と追加の金融緩和の綱引きで、下値は8,800円で、ここを切っても25日移動平均線にサポートされることを想定していました。

しかし、アメリカでの4~6月期決算で下方修正が相次ぎ、中国の経済は減速を強めていること、さらに欧州の財務問題も不安定でユーロが売られ、為替も円高となったことで12日(木)の日経平均は▼130の8,720円の6日続落となりました。特にこの日は、オーストラリアの雇用統計の悪化、韓国中央銀行の2009年2月以来の利下げ発表があり、世界景気の悪化懸念が高まって、25日移動平均線(13日8,798円)を切って引けました。週末の13日(金)はSQ清算日で、SQ値は8,678円と8,700円を切りました。日経平均の終値は△4の8,724円となってSQ値を上回って引けたことで、本来ならば今週は堅調というところですが、出来高は低水準のままでしたので上値は重く、下値では8,678円は下値サポートとしては弱いといえます。

週末のNYダウは中国の景気刺激策への期待や金融株の上昇から△203の12,777ドルと反発しましたが、週明けの16日(月)は小売売上高の3カ月連続の減少を嫌気し、▼49の12,727ドルと反落しました。

本格化するアメリカの主要企業決算懸念や中国経済への懸念で上値重い

アメリカの4-6月期決算が先週からスタートしましたが、下方修正が相次いでいます。特に今週は、インテル、IBM、グーグルなどのハイテク関連やゴールドマンサックスなどの大手金融機関の発表もあり、この結果に左右される展開となりそうです。また、17、18日に予定されているバーナンキ議長の議会証言で、追加の金融緩和への期待が出てくると堅調な動きが想定されますが、そうでなければ軟調な動きが継続することになります。NYダウのチャートは徐々に上値を重くしており、7月3日の高値12,946ドルを上に抜けずに、12日の12,492ドルの安値を切ると調整入りの形となります。

13日(金)に発表された中国の4-6月期のGDPは7.6%と3年ぶりに8%を割り込みました。中国政府が一定の余裕を持って設定した今年の成長目標7.5%の水準まで景気が減速してきたことになります。2カ月連続の金利引下げも反応しませんでしたので、むしろ中国景気は今後さらに悪化する可能性を暗示しています。中国政府の景気刺激策と金融政策に期待がかかることになります。

チャートからは9,000円が目先の上値抵抗ラインになる可能性も

日本市場を取り巻く相場環境としては、欧州の債務不安、アメリカと中国の景気減速懸念、為替はリスク回避の円買いの基調となっており、大きく上昇していく状況ではありません。7月12日(木)には日経平均、トピックスともに25日移動平均線を割り込んでおり、早い時期に9,000円台を回復できなければ7月4日(水)の9,136円が当面のピークになってしまうとしていましたが、その可能性が高まってきています。

先週末の13日(金)時点での日足では、25日移動平均線が8,798円、75日移動平均線が9,057円、200日移動平均線が8,954円、週足では13週移動平均線が8,894円となっており、9,000円は大きな上値抵抗ラインになりつつあります。そうなると、次は何らかの悪材料が出ると下値模索の動きが強まり、6月4日の8,238円に対するダブル底を形成していくような動きも想定しておいた方がよいことになります。今のところ、個別株、低位材料株、好業績銘柄は堅調ですので、保有株で上昇する銘柄があれば着実に利益確定して、次の大きな下げを待つスタンスに切り替えていった方がいいかもしれません。 2週間前までは、日経平均がもう一段上昇することを想定していましたが、相次ぐ各国の金利引下げが金余り相場の期待を生まず、逆に世界の景気の予想以上の悪化懸念を生み出していますので、これを織り込むか、打ち消すような好材料が出るまでは様子見が基本となります。

本日の日経平均は、アメリカの主要企業の決算を控え、様子見ムードから△16の8,740円でスタートしましたが、安住財務相が円高をけん制する発言をきっかけに上げ幅を拡大し、後場には一時8,808円まで上昇しました。しかし長く続かず、大引けは△30の8,755円となりました。出来高は相変わらずの薄商いですので、上値を試していく状況ではありません。

(指標)日経平均

先週の予想としては、各国の利下げを受けて下値は限定的とみて9,000円をはさんだもみあいを想定しました。ただし、下値は200日移動平均線(9日時点8,954円)を切ると25日移動平均線(8,755円)が下値サポートとしていました。

ところが世界的な追加の金融緩和が逆に、世界経済の減速が予想以上との見方となり、アメリカ株式は6日続落となり、リスク回避の円高進行となって7月12日(木)は▼130の8,720円と25日移動平均線を割り込みました。週末は△4の8,724円と小反発となり、SQ値8,678円を上回って引けましたので戻りを試す可能性が高まりました。

先週は週間ベースで296円安となり、6週間ぶりの下落となりました。欧州問題が落ち着いて買い戻しが続いていましたが、内需株中心のため勢いが無く円高基調のままなので、主力輸出関連株が上昇できませんでした。アメリカの決算で半導体関連企業の決算がよくなければ多少戻りはあっても再度下値模索となってきます。

連休明けの16日(火)は、アメリカの主要企業の決算を控え、買い手控えのなか△16円で寄り付き、10:30頃安住財務相の円高けん制発言をきっかけに、後場には8,808円まで上昇しましたが出来高薄く、大引けでは△30の8,755円と上げ幅を縮小しました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週は、世界経済の減速懸念と世界的な追加の金融緩和との綱引きの中で、4-6月期決算発表があり、決算にらみの展開となるとしました。週前半から中盤にかけて企業業績の下方修正が相次ぎ、7月12日(木)には一時12,492ドルまで下げて▼31の12,573ドルと6日続落となりました。

しかし、週末の7月13日(金)は巨額の損失を出していたJPモルガンの決算が予想を上回り大手銀行が相次いで予想を上回る決算となったことで△203の12,777ドルと急反発となりました。

今週は、本格化する企業決算の中でも17日のインテルが注目となります。この結果によって半導体関連が買われると日本の主力株の反発も期待できますが、そうでなければ主力株は軟調さが続くことになります。

また、17、18日予定のバーナンキ議長の議会報告により、今後の追加の金融緩和の方向が示されることになり、株式相場も左右されます。チャートでは、7月12日の12,492ドルを終値で切ると売転換が出現して調整入りの可能性が高まります。週明けの16日(月)は、6月小売売上高が3カ月連続の減少となったことを嫌気し▼49の12,727ドルと反落しました。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、世界的な追加の金融緩和の流れの中で、アメリカQE3の期待が高まれば日米金利差の縮小で円高、12日の日銀金融政策決定会合で金融緩和策がでてくると円安というように方向感のない動きを想定し79~80円のレンジを基本としました。

結局、79~80円のレンジの中で欧州債務不安は根強くユーロ売りの円買いとなり、一時日銀の金融政策決定会合での金融緩和への期待から7月12日(木)には79.94円までの円安となりましたが、すぐに円高基調となり、週末の7月13日(金)は79.07円まであって79.19円で引けました。チャートの形としては、もみあって下放れのような形になりつつあります。

今週は17、18日予定のバーナンキ議長の議会証言での内容によって緩和期待が後退すれば円売り・ドル買い、期待が高ければドルが売られて円買いの方向となる可能性があります。ユーロを巡っては先週イタリア国債の格付けが引き下げられるなど欧州債務不安がくすぶっていますので、円はユーロに対して上昇しやすい状況といえます。そうなると、円はドルに対しても円高基調となる可能性があります。78~80円のレンジを想定。

ドル/円